システムの構成1
分散処理では、1台のコンピュータが停止してもシステム全体は停止しないで済むなどのメリットがある反面、複数台のコンピュータの管理が必要なため、運用保守が複雑になるなどのデメリットがある。
答え:〇
記述の通りです。分散処理は主に次のような長所と短所があります。
長所 | 短所 |
---|---|
1台のコンピュータが停止してもシステム全体は停止しないで済む。 | 複数台のコンピュータの管理が必要なため、運用保守が複雑になる。 |
コンピュータを増やすことでシステムの規模や機能を拡張することができる。 | 不具合が発生した場合、原因の特定に時間がかかることがある。 |
複数のコンピュータで処理をおこなうことで負荷を分散できる。 |
LANに直接接続して、複数のPCから共有できるファイルサーバ専用機をNASという。
(出典:平成25年度秋期分 問59一部改変)
答え:〇
記述の通りです。NAS(ナス:Network Attached Storage)は、パソコンに直接つなぐのではなく、LAN(ネットワーク)経由でアクセスするストレージ機器(データを保存するための機器)のことです。利用者からはあたかも外付けハードディスクに接続しているかのように利用できます。
シンクライアントでは、端末内にデータが残らないので、情報漏えい対策として注目されている。
(出典:平成22年度秋期分 問81一部改変)
答え:〇
記述の通りです。クライアントサーバシステムにおいて、クライアント側には必要最低限の機能しかもたせせず、サーバ側でアプリケーションソフトウェアやデータを集中管理するシステムをシンクライアントシステムといいます。
通常使用される主系と、その主系の故障に備えて待機しつつ他の処理を実行している従系の二つから構成されるコンピュータシステムはデュアルシステムである。
(出典:平成29年度秋期分 問87一部改変)
答え:×
設問はデュプレックスシステムの説明です。なお、デュアルシステムとは同じ処理を行うシステムを二重に用意し、処理結果を照合することで処理の正しさを確認するシステム構成です。
予備機を準備しておき、障害発生時に運用担当者が予備機を立ち上げて本番機から予備機へ切り替える方式をホットスタンバイ方式という。
(出典:平成26年度春期分 問56一部改変)
答え:×
設問はコールドスタンバイ方式の説明です。ホットスタンバイ方式とは、予備機をいつでも動作可能な状態で待機させておき、障害発生時に直ちに切り替える方式です。
一定期間又は一定量のデータを集め、一括して処理する方式をリアルタイム処理という。
(出典:平成30年度秋期分 問94一部改変)
答え:×
設問はバッチ処理の説明です。リアルタイム処理とは、センサーなどからデータが入力された時点でその瞬間に、即座に処理を行う方式です。
システムの構成2
1台のコンピュータを論理的に分割し、それぞれで独立したOSとアプリケーションソフトを実行させ、あたかも複数のコンピュータが同時に稼働しているかのように見せる技術を仮想化という。
(出典:平成30年度春期分 問62一部改変)
答え:〇
記述の通りです。コンピュータを構成するCPUや記憶装置などのハードウェア資源(リソース)を、ソフトウェアを用いて統合・分割する技術のことを仮想化といいます。ハードウェアのリソースを柔軟に分化したり統合したりすることで、運用の効率化やコストの削減などのメリットがあります。
1台の物理的なコンピュータ上で、複数の仮想サーバを同時に動作させることによって得られる効果に関する記述a〜cのうち、適切なものは2つある。
a. 仮想サーバ上で、それぞれ異なるバージョンのOSを動作させることができ、物理的なコンピュータのリソースを有効活用できる。
b. 仮想サーバの数だけ、物理的なコンピュータを増やしたときと同じ処理能力を得られる。
c. 物理的なコンピュータがもつHDDの容量と同じ容量のデータを、全ての仮想サーバで同時に記録できる。
(出典:令和4年度春期分 問99一部改変)
答え:×
仮想サーバは、仮想化の技術によって構築された複数の環境を持つサーバです。これにより、それぞれ異なるバージョンのOSを動作させることができ、物理的なコンピュータのリソースを有効活用できます。
a. 適切。記述の通りです。
b.とc. 不適切。仮想サーバは、いわば他人の家や土地(物理的なコンピュータ)に住まわせてもらっているようなイメージで、物理的なコンピュータがもつハードウェア資源を仮想マシンで分け合うことになります。
よって、適切なものはa.の1つとなります。
複数のコンピュータを連携させ、全体を1台の高性能のコンピュータであるかのように利用する。連携しているコンピュータのどれかに障害が発生した場合には、ほかのコンピュータに処理を肩代わりさせることで、システム全体として処理を停止させないようにするシステムをデュプレックスシステムという。
(出典:平成21年度春期分 問73一部改変)
答え:×
設問はクラスタ(クラスタシステム)の説明です。
デュプレックスシステムとは、同じ構成の2つのシステムを用意し、1つを稼働用(主系)、もう1つを待機用(従系)とするシステム構成です。通常の業務では稼働用のシステム利用し、障害発生時には待機用のシステムに切り替えて処理を継続します。
コンテナ型仮想化は、物理サーバのホストOSと仮想化ソフトウェアによって、プログラムの実行環境を仮想化するので、仮想サーバに個別のゲストOSをもたない。
答え:〇
記述の通りです。コンテナ型仮想化は、ゲストOSを必要とせず、コンテナと呼ばれる仮想的な空間(他のユーザから独立したアプリケーションの実行環境)を構築し、ホストOSの中でそれらを仮想的に分離して使う方法です。1つのホストOSで稼働するので、プロセッサやメモリの消費は少なくて済み、より多くのコンテナを同時に動かすことが可能であるといったメリットがあります。
メンテナンスの際に、仮想マシンで稼働しているシステムを停止させずに物理的に異なるコンピュータに移動させる技術をライブマイグレーションという。
答え:〇
記述の通りです。マイグレーション(migration)には「移動」や「乗り換え」といった意味があります。
RAID1(ミラーリング)の特徴として、1つのデータを分割し、2台以上のハードディスクに並行して書き込むことによって、書き込み動作を高速化するといったことが挙げられる。
(出典:平成23年度秋期分 問82一部改変)
答え:×
設問の記述はRAID0(ストライピング)の特徴です。RAID1(ミラーリング)は、2台のハードディスクに同じデータを書き込むことで、可用性や信頼性の向上を図ります。
容量が500GバイトのHDDを2台使用して、RAID0、RAID1を構成したとき、実際に利用可能な記憶容量の組合せは、RAID0が1Tバイト、RAID1が500Gバイトである。
(出典:令和5年度春期分 問63一部改変)
答え:〇
記述の通りです。
RAID0(ストライピング)は、複数のハードディスクにデータを交互に分散して書き込むことにより書き込みの高速化を実現します。したがって、単純に500GバイトのHDD2台分の1Tバイト(=500Gバイト×2)が利用可能な記憶容量となります。
一方、RAID1(ミラーリング)では2台のハードディスクに同じデータを書き込むことで、可用性や信頼性の向上を図ります。したがって、HDD2台で1台分の容量しかデータを保存できず、500GバイトのHDDを2台使用した場合の利用可能な記憶容量は500Gバイトとなります。
複数のハードディスクを論理的に一つのものとして取り扱うための方式①~③のうち、構成するハードディスクが1台故障してもデータ復旧が可能なものは2つある。
①RAID5
②ストライピング
③ミラーリング
(出典:平成31年度春期分 問62一部改変)
答え:〇
①RAID5は、パリティと呼ばれる訂正符号を用いて、ストライピングによる高速化を実現しつつ故障時のデータ復旧にも対応できるようにしたものです。
②RAID0(ストライピング)では、複数台のハードディスクを1つとして扱うため、内蔵しているハードディスクが1台でも故障すると復旧・アクセスとも不可能になります。
③RAID1(ミラーリング)では、2台のハードディスクに同じデータを書き込むことで、1台のハードディスクが故障してもデータを復旧することができます。
よって、構成するハードディスクが1台故障してもデータ復旧が可能なものは①RAID5と③ミラーリングの2つです。
システムの評価指標
システムの性能を評価する指標と方法に関する次の記述中の「a」~「c」に入る言葉は、aが「ターンアラウンド」、bが「スループット」、cが「ベンチマークテスト」である。
利用者が処理依頼を行ってから結果の出力が終了するまでの時間を「a」タイム、単位時間当たりに処理される仕事の量を「b」という。また、システムの使用目的に合致した標準的なプログラムを実行してシステムの性能を評価する方法を「c」という。
(出典:平成22年度秋期分 問86一部改変)
答え:〇
記述の通りです。

あるコンピュータシステムの故障を修復してから60,000時間運用した。その間に100回故障し、最後の修復が完了した時点が60,000時間目であった。MTTRを60時間とすると、この期間でのシステムのMTBFは540時間となる。
(出典:平成26年度春期分 問69一部改変)
答え:〇
システムの運用期間中に100回故障し、MTTR(平均修復時間)が60時間なので、システムが正常に稼働していた時間は
運用時間 60,000時間ー修復時間(60時間×100回)=54,000時間
となります。
MTBF(平均故障間隔)は、システムの稼働時間を故障回数で割ることで求められるので、
システムの稼働時間 54,000時間÷故障回数 100回=MTBF 540時間
となります。
稼働率0.9の装置を2台直列に接続したシステムに、同じ装置をもう1台追加して3台直列のシステムにしたとき、システム全体の稼働率は2台直列のときを基準にすると10%上がる。
(出典:平成30年度春期分 問80一部改変)
答え:×
稼働率0.9の装置を2台直列に接続したシステムの稼働率は、0.81(=0.9 × 0.9)となります。
また、3台直列に接続したときのシステムの稼働率は、0.729(=0.9 × 0.9 × 0.9 )となります。
2台直列のシステムから3台直列のシステムに変更した場合、稼働率は0.81から0.729へ0.081ポイント下がるので、2台直列のときを基準とした場合の減少率は、
0.081/0.81=0.1(10%)
となり、システム全体の稼働率は10%下がることとなります。
図に示す2台のWebサーバと1台のデータベースサーバから成るWebシステムがある。Webサーバの稼働率はともに0.8とし、データベースサーバの稼働率は0.9とすると、このシステムの稼働率は0.864である。ここで、2台のWebサーバのうち少なくとも1台が稼働していて、かつ、データベースサーバが稼働していれば、システムとしては稼働しているとみなす。また、それぞれのサーバはランダムに故障が起こるものとする。

(出典:令和6年度春期分 問67一部改変)
答え:〇
2台のWebサーバは並列システムなので、稼働率は
1ー(1-0.8)×(1-0.8)
=1-0.2×0.2
=1-0.04
=0.96
となります。
また、2台のWebサーバとデータベースサーバ間は直列のシステムとなっているで、全体の稼働率は
2台のWebサーバの稼働率×データベースサーバの稼働率
=0.96×0.9
=0.864
となります。

入力画面で数値を入力すべきところに誤って英字を入力したらエラーメッセージが表示され、再入力を求められた。このような工夫をしておく設計思想を表す用語は「フォールトトレラント」である。
(出典:平成31年度春期分 問90一部改変)
答え:×
設問はフールプルーフの説明です。なお、フォールトトレラント(フォールトトレランス)はシステムが一部故障しても、全体として正常に動作を続けられる能力や設計のことを指します。機能を縮小してでも稼働を継続する設計手法です。
システムの経済性の評価において、TCOの概念が重要視されるようになった理由として、「システムの総コストにおいて、運用費に比べて初期費用の割合が増大した」といったことなどが挙げられる。
(出典:令和3年度春期分 問100一部改変)
答え:×
以前は、導入や開発のためのの初期コストが非常に大きかったため、そこに注目されていました。しかし、近年ではクラウドサービスの普及などにより初期コストが低下した反面、運用コストが増大しています。
また、初期コストを安く抑えようとするあまり運用コストが大きくなり、逆に長期で見た場合のトータルコストが高くなっていしまうということもありました。
このような理由から近年では、初期コストだけでなく長期で見た場合の運用コストも含めたTCOによる評価が重要視されています。
したがって、「システムの総コストにおいて、初期費用に比べて運用費の割合が増大した」が正しい記述となります。
販売管理システムに関する次の記述のうち、TCOに含まれる費用は2つある。
①販売管理システムで扱う商品の仕入高
②販売管理システムで扱う商品の配送費
③販売管理システムのソフトウェア保守費
④販売管理システムのハードウェア保守費
(出典:令和元年度秋期分 問96一部改変)
答え:〇
TCO(Total Cost of Ownership)とは、システムの取得から廃棄に至るまでの総コストのことをいいます。そして、このTCOには導入時にかかる初期コスト(イニシャルコスト)、稼働後にかかる運用や保守のための運用コスト(ランニングコスト)があります。
①と②はイニシャルコストにもランニングコストにも該当しない(システムに係る費用ではない)ため、TCOには含まれません。
一方で、③と④はいずれもランニングコストに該当するため、TCOに含まれます。
よって、TCOに含まれる費用は③と④の2つが正解です。