プロジェクトマネジメント1~プロジェクトの概要とPMBOK~

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今回からはガラッと話が変わって、プロジェクトマネジメントっす。

ボキタロー
ボキタロー

ようやく「マネジメント」っぽい内容になるのね。

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シラバスの内容は少ないにもかかわらず、試験でよく出題される分野っすからぜひとも得点源にしてほしいっすね。中でもアローダイアグラムは頻出っすよ。

目標・プロジェクトマネジメントの意義,目的及び考え方を理解する。
・プロジェクトマネジメントのプロセスの基本的な流れを理解する。
説明・システム開発プロジェクトを円滑に推進するために,プロジェクトマネジメント全般の基本的な知識を理解する。
プロジェクトマネジメントの概要

プロジェクトマネジメントとは

プロジェクトとは

プロジェクトとは、一定の期限内に、特定の目標の達成や課題の解決を目指す活動をいいます。独自の製品・サービスを創造するために実施され(独自性)、期限が決まっている(有期性)という点がプロジェクトの特徴です。

プロジェクトには、新商品開発、業務改善、環境対策、採用活動など様々なものがありますが、ITパスポート試験においては「システム開発プロジェクト」を対象とした問題が出題されます。

プロジェクトチーム

各部門から必要な人材(プロジェクトメンバー)を集めた組織をプロジェクトチームと呼びます。そして、このプロジェクトチームを管理する人のことをプロジェクトマネージャといいます。

また、プロジェクトを立ち上げる際に、プロジェクトの目的や成功条件、内容などを記載した文書であるプロジェクト憲章を作成します。プロジェクト憲章でプロジェクトマネージャを任命して、その責任や権限を明確にし、経営者などからの認可を得て、関係者間で認識を共有します。

プロジェクトマネジメントとは

プロジェクトマネージャは、プロジェクト全体の計画や進捗管理、メンバーの統括などの作業を行いますが、これら一連の活動をプロジェクトマネジメントといいます。

ITパスポート試験では、基本的にPMBOKに沿ったプロジェクトマネジメントが問われます。

PMBOK(ピンボック)

PMBOKの10の知識エリア

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクトマネジメントの知識を体系化したもので、10の知識エリアから定義されています。

PMBOK

PMBOKはいわば、プロジェクトマネジメントの教科書のようなものです。これによって、プロジェクトマネージャは自分の経験や勘のみに頼ることなく、標準化された手順・考え方でプロジェクトの管理を行うことができます。

10の知識エリアの概要は次の通りです。

プロジェクト統合マネジメント:プロジェクトマネジメントにおける5つのプロセス(立ち上げ、計画、実行、監視・コントロール、終結)の統一、調整等を行う。具体的には、プロジェクト憲章やプロジェクトマネジメントの計画書を作成し、プロジェクト全体を実行、監視、コントロールします。また、プロジェクトによって創造された知識や教訓などを資産として登録する「プロジェクト知識のマネジメント」を行います。

プロジェクトスコープマネジメント:プロジェクトを成功させるために必要なすべての作業を含み、かつ必要な作業のみを含むことを確実にする活動。

プロジェクトスケジュール(タイム)マネジメント:プロジェクトを所定の時間で完了するように管理する活動。

プロジェクトコストマネジメント:プロジェクトを承認済みの予算内で完了するための、計画、見積り、予算化、資金調達などの活動。

プロジェクト品質マネジメント:ステークホルダーの期待を満たすために、品質目標の策定と品質管理を行う活動。

プロジェクト資源(人的資源)マネジメント:プロジェクトを成功させるために必要な資源を特定し、獲得し、そして管理する活動。

プロジェクトコミュニケーションマネジメント:プロジェクト情報の収集、作成、伝達、配布、保管、廃棄を適時かつ適切な形で確実に行うための活動。

プロジェクトリスクマネジメント:プロジェクトに関するリスクマネジメントの計画やリスクの特定、分析、評価、対応、および監視を実施する活動。

プロジェクト調達マネジメント:プロジェクトに必要な機材やソフトウェアなどをプロジェクトチームの外部から購入または取得する活動。

プロジェクトステークホルダーマネジメント:プロジェクトに影響を与えたりプロジェクトによって影響を受けたりする可能性がある個人やグループまたは組織を特定し、ステークホルダーの期待とプロジェクトへの影響力を分析し、ステークホルダーがプロジェクトの意思決定や実行に効果的に関与できるように管理する。

PMBOKの10の知識エリア

これらのうち、ITパスポート試験でよく出題される「スコープマネジメント」「スケジュールマネジメント」「リスクマネジメント」の3つは次のページで詳しく解説します。

PMBOK学習のコツ

10の知識エリアを見て「これをすべて暗記しないといけないのか」と愕然とする人がいるかもしれません。確かに、1つ1つ具体的に何をするのかを暗記していくときりがありません。しかしながら、ITパスポート試験では「読んで字のごとく」のそのままの問題が出題されることが多くなっています。

なので、細かいことにはこだわらずに、選択肢をよく読んでその中からそれっぽいものを選ぶという方法でも十分対応できます。

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具体的には確認〇×問題で練習するっすよ。

確認○×問題

問1

プロジェクトは、定常的な業務として繰り返し実行され、終了時点は決めないで開始し、進捗状況を見ながらそれを決める活動である。

答え:×

独自の製品・サービスを創造するために実施され(独自性)、期限が決まっている(有期性)という点がプロジェクトの特徴です。

問2

以下の記述のうち、プロジェクトに該当するものは2つある。

  1. 会社合併に伴う新組織への移行
  2. 社内システムの問い合わせや不具合を受け付けるサービスデスクの運用
  3. 新規の経理システム導入に向けたプログラム開発
  4. 毎年度末に実施する会計処理

答え:〇

プロジェクトの特徴は以下の2点です。

独自性:独自の製品・サービスを創造するために実施される、1度限りの断片的で非経常的な業務である。

有期性:期限が決まっている(始まりと終わりがある)。

1.の記述:合併は1度限りの断片的・非経常的な業務で、期限も決まっているため、プロジェクトに該当します

2.の記述:繰り返し実行される定常的な業務はプロジェクトに該当しません。

3.の記述:新規の経理システム導入に向けたプログラム開発は、独自性と有期性があるため、プロジェクトに該当します

4.の記述:毎年定期的に実行される定常的な業務はプロジェクトに該当しません。

問3

プロジェクトマネジメントは、企画、要件定義、システム開発、保守の順番で行う。

答え:×

設問はシステム開発の進め方です。プロジェクトマネジメントは、目標を達成するための計画を作成し、実行中は品質、進捗、コストなどをコントロールしながら目標の達成に導きます。

問4

プロジェクト立ち上げ時に、プロジェクトの活動を総合的に管理及び調整するために、プロジェクト憲章を定める。プロジェクト憲章には「具体的なスケジュール」「体制」「品質マネジメント計画」などが盛り込まれる。

答え:×

プロジェクト憲章には、プロジェクトの目的・目標・成功条件、プロジェクトマネージャの氏名などが記載され、経営者などからの認可を得て、関係者間で認識を共有します。

なお、プロジェクト憲章には「概算のスケジュールや予算」が記載されますが、具体的なスケジュールや予算はこの段階ではまだ記載されません。

問5

プロジェクトマネジメントの知識エリアには、プロジェクトコストマネジメント、プロジェクト人的資源マネジメント、プロジェクトタイムマネジメント、プロジェクト品質マネジメントなどがある。システム開発のプロジェクト品質マネジメントにおいて、成果物の品質を定量的に分析するための活動として、適切なものはaである。

a完成した成果物の数量を基に進捗率を算出して予定の進捗率と比較する。
b設計書を作成するメンバに必要なスキルを明確にする。
cテストで摘出する不良件数の実績値と目標値を比較する。
dプログラムの規模や生産性などを考慮して開発費用を見積もる。

答え:×

a.タイムマネジメント完成した成果物の数量を基に進捗率を算出して予定の進捗率と比較する。
b.人的資源マネジメント設計書を作成するメンバに必要なスキルを明確にする。
c.品質マネジメントテストで摘出する不良件数の実績値と目標値を比較する。
d.コストマネジメントプログラムの規模や生産性などを考慮して開発費用を見積もる。

問6

プロジェクトステークホルダーマネジメントに関する記述として、適切なものはcである。

aプロジェクト憲章やプロジェクトマネジメントの計画書を作成し、知識や教訓を組織の資産として登録する。
bプロジェクト全体を通じて、最も長い所要期間を要する作業経路を管理する。
cプロジェクトの結果に利害を及ぼす可能性がある事象を管理する。
dプロジェクトの実施とその結果によって利害を被る関係者を調整する。

答え:×

a.統合マネジメントプロジェクト憲章やプロジェクトマネジメントの計画書を作成し、知識や教訓を組織の資産として登録する。
b.タイムマネジメントプロジェクト全体を通じて、最も長い所要期間を要する作業経路を管理する。
c.リスクマネジメントプロジェクトの結果に利害を及ぼす可能性がある事象を管理する。
d.ステークホルダマネジメントプロジェクトの実施とその結果によって利害を被る関係者を調整する。

問7

情報システムを請負契約で海外ベンダに発注することになった。このときのプロジェクト調達マネジメントとして、適切な記述はdである。

aプロジェクト情報の作成や配布の方法を明確にする。
bプロジェクトが生み出す製品やサービスなどの成果物と、それらを完成するために必要な作業を定義し管理する。
cスケジュールを作成し、進捗管理を行う。
d契約時に、納品するドキュメントや開発中の仕様変更ルールなどを文書で合意する。

答え:〇

a.コミュニケーションマネジメントプロジェクト情報の作成や配布の方法を明確にする。
b.スコープマネジメントプロジェクトが生み出す製品やサービスなどの成果物と、それらを完成するために必要な作業を定義し管理する。
c.スケジュールマネジメントスケジュールを作成し、進捗管理を行う。
d.調達マネジメント契約時に、納品するドキュメントや開発中の仕様変更ルールなどを文書で合意する。