業務分析の手法の1つとしてデータを分かりやすく可視化することがあるっす。
可視化ってなに?
要するに図やグラフにして表すということっすね。今回は多くの図やグラフが登場しますが、文章で覚えるのではなく、視覚的に捉えていくことが学習のコツっす。
目標 | ・身近な業務を分析し,データの利活用によって問題を解決するための代表的な手法を理解し,活用する。 ・業務を把握する際のビジュアル表現を理解し,活用する。 |
説明 | ・身近な業務を把握して分析する手法,代表的なビジュアル表現,データ利活用,OR(Operations Research)及び IE(Industrial Engineering)の手法を理解し,活用する。 |
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業務分析手法
業務分析や業務計画で利用される代表的な図式には次のようなものがあります。
パレート図
値が降順(大きい順)にプロットされた棒グラフとその累積構成比を表す折れ線グラフを組み合わせた複合グラフです。
各項目割合が明らかになるため、要因の中から最も重要なものを把握することができます。
棒グラフと折れ線グラフを組み合わせたグラフを複合グラフといいます。
パレート図を用いて、累積構成比などから要因をAランク(0%~70%程度)、Bランク(71%~90%程度)、Cランク(91%~100%程度)の3つに区分し、対応の優先度などを分析する手法です。Aランクの要因が最も重要なので優先的に対応します。
ITパスポート試験では、パレート図は超頻出っすよ。
散布図
縦軸と横軸に2項目の量や大きさ等を対応させ、データを点でプロットした図です。散布図は相関分析や回帰分析に用いられます。
2項目間に相関関係(関連性)があるかを把握します。点が右上がりになっていると「正の相関」、右下がりになっていると「負の相関」、点がバラバラだと「相関なし」ということになります。
点の中心くらいに直線(回帰直線)を引き、それを「Y=aX+b」という一次式で表すことによって、X(図の例では気温)に値を代入することにより、Y(図の例ではアイスの売上)の値が予測できます。
特性要因図
特性(結果)と要因(原因)の関係を系統的に線で結んで表した図です。品質に影響している要因を追及する場合などに用いられます。
なんか魚の骨みたいな形してるね。
なので、特性要因図はフィッシュボーンチャートと呼ばれることもあるっすよ。
さらっと学習(Bランク用語)
管理図
生産管理において、品質や製造工程が安定的に管理されている状態にあるかどうかを判定するために使用するグラフです。
2本の管理限界線(上方管理限界線(UCL)、下方管理限界線(LCL))を逸脱したデータを異常なものとして判定します。
系統図
目的を達成するための手段や方策を枝分かれさせながら順序立てて展開していく図です。
図表・グラフによるデータ可視化
データは図やグラフによって適切な方法で可視化することによって、特徴や傾向を掴みやすくなったり、他者に対してデータの説明がしやすくなります。そのためには、不適切に作成されたグラフにだまされないこと、及びそのようなグラフを作成しないことが重要となります。
データを可視化するための代表的な図やグラフには次のようなものがあります。
レーダーチャート
複数の変数を多角形上にプロットし、隣同士の値を線で結んだものです。凸凹具合から全体のバランスや特徴を把握したり、項目間を比較するのに役立ちます。
ヒストグラム
度数分布表を棒グラフで表現することにより、視覚的にわかりやすく図式化したものです。度数分布表とは、対象のデータを降順(大きい順)または昇順(小さい順)に並べ、範囲ごとに区切ってリスト化したものです。
さらっと学習(Bランク用語)
マトリックス図
ある事象の中から対になる要素を見つけ、それらを行と列に配置した表です。各要素の関係の有無や関連度合いを把握することができます。
簿記1級 | 簿記2級 | 簿記3級 | |
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独学 | |||
専門学校 |
箱ひげ図
四角い箱の上下に、ひげが生えている形をしている図です。ひげの一番下が最小値、箱の下部の辺が第1四分位数(25%点)、真ん中の線が第2四分位数(中央値)、上部の辺が第3四分位数(75%点)、そしてひげの一番上が最大値を表しています。
四分位数とはデータを小さい順に並べて4等分したものです。
箱ひげ図はデータのばらつき具合を示すのに用います。データのばらつきはヒストグラムでもみることができますが、箱ひげ図は異なる複数のデータのばらつきを比較する事ができます。
ヒートマップ
2次元データ(行列)の個々の値を色や濃淡として表現した可視化グラフの一種です。Webページ上のクリックやスクロール、注目しているコンテンツなどのユーザー行動をサーモグラフィーのように可視化するWebヒートマップなどがあります。
ロジックツリー
事象をツリー形式でまとめることにより、分析対象の要素を分解して整理し、結果の原因を追究したり、問題の解決策を分析するための図です。
コンセプトマップ(概念地図)
関連性の強い言葉を並べて、「AはBを引き起こす」、「CはDに必要とされている」などといった関係を線で結んで表した図で、視覚的に情報を整理することができます。
特に決まった形はないので、自由に単語を書き込んでそれを線で結んでいきます。
ある特定のキーワードと一緒に利用されるキーワードのことを共起キーワードといいます。例えば「ITパスポート」の共起キーワードとしては、「過去問」「受験料」「合格率」などが考えられます。共起キーワードを分析することにより、マーケティング活動やWebサイトのコンテンツ作成などに利用することができます。
確認○×問題
製造業のA社では、製品の組み立てに必要な部品を購買している。A社では、自社の収入金額全体に占める割合が大きい部品を、重点的に在庫管理を行う対象として選びたい。このとき利用する図表としてはパレート図が適している。
(出典:平成23年度特別分 問11 一部改変)
答え:〇
パレート図は、値が降順(大きい順)にプロットされた棒グラフとその累積構成比を表す折れ線グラフを組み合わせた複合グラフです。要因の中から最も重要なものを把握でき、優先的に対応すべきものを明らかにできます。
ABC分析とは、優先的に管理すべき対象を明確にするために、売上金額などの累積構成比をもとに重要度のランク付けを行う手法である。
(出典:平成22年度春期分 問23 一部改変)
答え:〇
ABC分析とは、パレート図を用いて、累積構成比などから要因をAランク(0%~70%程度)、Bランク(71%~90%程度)、Cランク(91%~100%程度)の3つに区分し、対応の優先度などを分析する手法です。
以下の図では、売上と気温の関係が正の相関となっている。
(出典:平成23年度特別分 問15 一部改変)
答え:×
散布図は2項目間のデータの関係性を表した図です。図では点が右下がりになっている(気温が上がると売上が下がる)ので、負の相関となります。
ある商品の売上と気温の関係が一次式で近似できるとき、予測した気温から商品の販売量を推定する手法は回帰分析である。
(出典:令和6年度春期分 問14 一部改変)
答え:〇
回帰分析は、散布図において点の中心くらいに直線(回帰直線)を引き、それを「Y=aX+b」という一次式で表すことによって、Xに値を代入することによりYの値を予測します。
ソフトウェアの設計品質には設計者のスキルや設計方法、設計ツールなどが関係する。品質に影響を与える事項の関係を整理する場合などに用いる、魚の骨の形に似た図形は管理図である。
(出典:平成26年度春期分 問4 一部改変)
答え:×
設問の図形は特性要因図です。特性要因図は、特性(結果)と要因(原因)の関係を系統的に線で結んで表した図で、品質に影響している要因を追及する場合などに用いられます。魚の骨の形に似ているのでフィッシュボーンチャートとも呼ばれます。
品質管理において、測定値の存在する範囲を幾つかの区間に分け、各区間に入るデータの度数を棒グラフで表したものをレーダーチャートという。
(出典:平成28年度春期分 問32 一部改変)
答え:×
設問の図形はヒストグラムです。度数分布表を棒グラフで表現することにより、視覚的にわかりやすく図式化したものです。