経営者は複数の代替案から日々、最適な意思決定をしなければいけないっす。もし意思決定を誤れば最悪、会社が傾くことだってあるっすよ。
責任重大だ。
近年ではデータをいかに意思決定につなげられるかが企業の競争を左右するといわれてるっす。これまでのように経験や勘に頼った意思決定では生き残れない時代になってるっす。
なるほど。経営者もちゃんと勉強しないとやっていけない時代なんだね。
主な意思決定手法
問題を解決するための効率的な意思決定手法として次のようなものがあります。
デシジョンツリー(決定木)
とりうる選択肢を連ねて表示して可視化し、それぞれの選択肢の期待値を比較検討することで、実際にとるべき選択肢を決定する手法です。
発生しうる金額をそれぞれの発生確率で加重平均した金額の合計を期待値といいます。次の資料にもとづいて、明日の売上金額の期待値を計算してみましょう。
明日の天気 | 売上 | 発生確率 |
---|---|---|
晴れ | 50,000円 | 60% |
曇り | 40,000円 | 30% |
雨 | 10,000円 | 10% |
まずそれぞれの売上金額と発生確率を掛けます。
・晴れ:50,000円×60%=30,000円
・曇り:40,000円×30%=12,000円
・雨:10,000円×10%=1,000円
すべての金額を合計したものが明日の売上の期待値となります。
30,000円+12,000円+1,000円=43,000円
在庫管理
在庫をたくさん抱えるとそれだけ保管費用が多くかかります。逆に在庫を少なくし過ぎてしまうと、頻繁に発注しなければならなくなるため、発注費用が多く発生してしまいます。
したがって、いかに過不足なく在庫を保持できるか、言い換えると、いかに最適な量を発注できるかが重要となります。
主な発注方式として、定量発注方式と定期発注方式があります。
どちらも、安全在庫量が確保できるタイミングで発注しなければならないという点がポイントっすよ。
安全在庫量とは、品切れを起こさないために最低限確保しておかなければならない在庫量です。
在庫が一定の数量(発注点)になったときに発注する方式です。発注点は次の式で求めます。
1日の平均使用量×調達期間(リードタイム)+安全在庫量
(例)1日あたりの平均使用量が10個、調達期間(リードタイム)が5日、安全在庫量が20個のとき、発注点を求めなさい。
発注点は「10個×5日+20個=70個」となり、在庫が70個になった時点で発注をします。
このときの最適な発注量は発注費用と保管費用の総額が最小となる発注量となります。これを経済的発注量といいますが、計算が少し複雑なのでITパスポート試験では出題されません。発注点の計算ができれば十分です。
一定期間ごとに最適量を発注する方式で、発注量は次の式で求めます。なお、発注残とは発注してからまだ納品されていないものをいいます。
(発注間隔+調達期間)×1日の使用予定量+安全在庫-現在の在庫量-現在の発注残
(例)1日あたりの平均使用量が10個、発注間隔(発注サイクル)が7日、調達期間(リードタイム)が3日、安全在庫が20個、現在の在庫量30個、発注残0個のとき、最適な発注量を求めなさい。
「(7日+3日)×10個+20個ー30個ー0個=90個」となり、最適な発注量は90個となります。
与信とは取引先に信用を供与することであり、これを適切に管理することを与信管理といいます。
現代の経済では、現金取引ではなく信用取引(代金の後払い)が一般的です。したがって、債権が回収できないリスクを抑えるためには、どの程度相手に信用を与えるか(いくらまで代金の後払いを認めるか)が重要となってきます。
そこで、取引先の経営状態や財政状態、企業規模などによって債権をコントロールします。
問題解決手法
ブレーンストーミング(ブレスト)
ブレーンストーミング(ブレスト)とは、複数人で会議の際に自由にアイデアを出し合って問題解決などを行う集団発想法です。
ブレーンストーミングには4つのルール(4原則)があります。
- 批判厳禁:自由なアイデア抽出を制限するような、批判を含む判断・結論は慎む。
- 自由奔放:誰もが思いつきそうなアイデアよりも、奇抜な考え方やユニークで斬新なアイデアを重視する。粗野な考えでも歓迎する。
- 質より量:様々な角度から、多くのアイデアを出す。質よりも量を重視する。
- 便乗歓迎:他人の意見に便乗することが推奨される。別々のアイデアを結合して改善することで、新たなアイデアを生み出していく。
ブレストなどで出た情報をカード(付箋)に記述してグループごとにまとめ、アイデアを整理する手法を親和図法(KJ法)といいます。
確認○×問題
いずれも時価100円の4つの株式があり、そのうちの1つに投資したい。経済の成長が高成長、中成長、低成長の場合、それぞれの株式の予想値上がり幅が表のとおりであるとき、値上がり幅の期待値が最も高い株式はDである。ここで、高成長、中成長、低成長になる確率はそれぞれ0.4、0.4、0.2であり、経済が成長しない場合は考えないものとする。
株式 | 高成長 | 中成長 | 低成長 |
---|---|---|---|
A | 20 | 10 | 15 |
B | 30 | 20 | 5 |
C | 25 | 5 | 20 |
D | 40 | 10 | -10 |
(出典:平成21年度春期分 問7 一部改変)
答え:×
期待値は、発生しうる金額をそれぞれの発生確率で加重平均した金額の合計で計算します。
株式 | 高成長(0.4) | 中成長(0.4) | 低成長(0.2) | 期待値 |
---|---|---|---|---|
A | 20×0.4 =8 | 10×0.4 =4 | 15×0.2 =3 | 8+4+3 =15 |
B | 30×0.4 =12 | 20×0.4 =8 | 5×0.2 =1 | 12+8+1 =21 |
C | 25×0.4 =10 | 5×0.4 =2 | 20×0.2 =4 | 10+2+4 =16 |
D | 40×0.4 =16 | 10×0.4 =4 | -10×0.2 =-2 | 16+4-2 =18 |
よって、値上がり幅の期待値が最も高い株式はBとなります。
需要量が年間を通じて安定している場合において、定量発注方式での最適な発注量は、発注費用と在庫維持費用の総額が最小となる場合である。
(出典:令和5年度春期分 問24 一部改変)
答え:〇
設問のとおりです。この場合の発注量を経済的発注量といいますが、ITパスポート試験では計算の出題はされません。
定期発注方式で部品の発注をしたい。1日あたりの平均使用量が30個、発注間隔が14日、調達期間が6日、安全在庫が50個、現在の在庫量30個、発注残0個のとき、最適な発注量は620個である。
答え:〇
定期発注方式での最適な発注量は次の式で求めます。
(発注間隔+調達期間)×1日の使用予定量+安全在庫-現在の在庫量-現在の発注残
よって「(14日+6日)×30個+50個ー30個ー0個=620個」となり、最適な発注量は620個となります。
ブレーンストーミングでは、量よりも質の高いアイデアを追及するため、アイデアの批判を奨励する。
(出典:平成30年度春期分 問20 一部改変)
答え:×
ブレーンストーミング(ブレスト)とは、複数人で会議の際に自由にアイデアを出し合って問題解決などを行う集団発想法です。
ブレーンストーミングは4つのルール(4原則)があります。
- 批判厳禁:自由なアイデア抽出を制限するような、批判を含む判断・結論は慎む。
- 自由奔放:誰もが思いつきそうなアイデアよりも、奇抜な考え方やユニークで斬新なアイデアを重視する。粗野な考えでも歓迎する。
- 質より量:様々な角度から、多くのアイデアを出す。質よりも量を重視する。
- 便乗歓迎:他人の意見に便乗することが推奨される。別々のアイデアを結合して改善することで、新たなアイデアを生み出していく。