会計・財務2~損益分岐点~

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今回勉強する損益分岐点はITパスポート試験では頻出っす。ただ少し計算がかかわってくるので、苦手に感じる人がいるかもしれないっすね。

ボキタロー
ボキタロー

電卓を使えば余裕でしょ。

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簿記の試験とは違って、ITパスポート試験では電卓が使えないっす。

ボキタロー
ボキタロー

え?そうなの?

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逆に言うと、電卓を使わなくても計算できるくらいのものしか出てこないということなので、そんなに恐れることはないっすよ。

損益分岐点とは

変動費と固定費

費用は変動費と固定費に分類できます。

変動費

材料費や労務費などは製品をたくさん作れば作るほど比例的に多くなります。このように、生産販売量(売上)の変化に比例して増減する費用を変動費といいます。

上図の「@変動費」は、製品単位あたり(製品1個あたり)の変動費を表します。

固定費

一方、家賃などは製品をたくさん作ったからといって、それと比例して増えるものではありません。このように、生産販売量(売上)の変化にかかわらず一定額発生する費用を固定費といいます。

したがって、総費用(変動費+固定費)は次のような図で表すことができます。

固定費の存在により、生産販売量がゼロでも総費用はゼロにならないという点に注意してください。

損益分岐点

売上高は販売量に比例するものなので、グラフは製品単位あたり販売価格(販売単価)を傾きとして原点から始まる直線になります。

通常、単位あたり変動費よりも単位あたり販売価格の方が大きいので、変動費の直線の傾きよりも売上高の直線の傾きの方が大きくなります。そのため、生産販売量が増えていくと損失は徐々に小さくなっていき、生産販売量がある程度まで来ると売上高の線と総原価(総費用)の線が交わることになります。

損益分岐点図表(CVP図表)

生産販売量がゼロの時は売上高も変動費も発生しませんが固定費は一定額が発生するので、固定費分が全額損失となります。

2つの線が交わるとき、売上高と総費用が同じになるので利益も損失も発生しないこととなりますが、この交点を損益分岐点(BEP:Break Even Point)といいます。

損益分岐点よりも生産販売量が小さいと総費用が売上高を上回り損失が発生します(上図の赤い面積部分)。逆に損益分岐点よりも生産販売量が大きいと売上高が総費用を上回って利益が発生します(上図の青い面積部分)。

損益分岐点の計算方法

ITパスポート試験では、損益分岐点の計算問題が非常によく出題されます。例題を使って計算方法を見ていきましょう。

例題

売上高が100,000円、変動費が40,000円、固定費が30,000円であるとき、損益分岐点売上高を求めなさい。

1.変動費率を求める

変動費は売上高に比例して変わってくるので、まず変動費率(売上高に対する変動費の割合)を求めます。変動費率は「変動費÷売上高」で計算できます。

本問の変動費率は「変動費40,000円÷売上高100,000円=0.4(40%)」となります。

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つまり、売上高の40%が変動費になるってことっすね。

2.限界利益率を求める

売上高から変動費を差し引いたものを限界利益(または貢献利益)といい、売上高に対する限界利益の割合を限界利益率(または貢献利益率)といいいます。変動費と限界利益を足したものが売上高(100%)になるので、限界利益率は「1-変動費率」で計算できます。

よって、本問の限界利益率は「1ー0.4=0.6」となります。

ボキタロー
ボキタロー

つまり、売上高の60%が限界利益になるってことだね。

もちろん、限界利益率は「限界利益60,000円÷売上高100,000円=0.6」で計算しても構いません。

3.損益分岐点売上高を求める

損益分岐点売上高とは損益分岐点(利益も損失もゼロになる点)における売上高のことなので、

(売上高ー変動費)ー固定費=0

→限界利益ー固定費=0

限界利益=固定費

となり、損益分岐点においては限界利益と固定費が等しくなります。

限界利益は売上高に限界利益率を掛けたものなので、

売上高×限界利益率=固定費

損益分岐点売上高=固定費/限界利益率

という関係が成り立ちます。

したがって、本問では損益分岐点売上高をXと置くと次のような式を作ることができます。なお、固定費は売上高によって変化しないという点に注意してください。

Xー0.4X(変動費)ー30,000円(固定費)=0

→0.6X(限界利益)ー30,000円(固定費)=0

→0.6X(限界利益)=30,000円(固定費)

X=30,000円(固定費)/0.6(限界利益率)

X=50,000円

確認○×問題

問1

ある商品の売上高が800万円、利益が80万円、固定費が240万円であるとき、この商品の損益分岐点売上高は600万円である。

答え:〇

まず変動費を求めます。売上高から変動費と固定費を差し引いたものが利益なので、

売上高800万円ー変動費ー固定費240万円=利益80万円

→売上高800万円ー固定費240万円ー利益80万円=変動費

変動費=480万円

次に変動費率を求めます。

変動費率=変動費480万円/売上高800万円

変動費率=0.6

限界利益率は0.4(=1-変動費率0.6)なので、損益分岐点売上高は

損益分岐点売上高=固定費240万円/限界利益率0.4

600万円

となります。

問2

販売価格300円/個、変動費100円/個、固定費100,000円の条件で商品を販売するとき、損益分岐点売上高は150,000円である。

答え:〇

まず変動費率を求めます。

変動費率=変動費100円/販売価格300円

変動費率=1/3

よって限界利益率は2/3(=1-1/3)となります。

割り切れないので分数のまま計算します。

損益分岐点売上高=固定費100,000円/限界利益率2/3

=固定費100,000円×3/2

150,000円

となります。

【別解】

販売量をA、利益を0円として計算する方法もあります。

売上高(300円/個×A)ー変動費(100円/個×A)ー固定費100,000円=利益0円

→200A=100,000

→A=500個

損益分岐点の販売量が500個なので、これに販売価格300円/個を掛けたものが損益分岐点売上高となります。

損益分岐点売上高=300円/個×500個=150,000円

問3

当月の売上高は300,000円、変動費は120,000円、固定費は150,000円であった。来月は60,000円の利益を確保したいと思っている。このとき必要となる売上高は350,000円である。なお、固定費及び1個あたりの変動費は来月も変化しないものとする。

答え:〇

まず変動費率を求めます。

変動費率=変動費120,000円/売上高300,000円=0.4

したがって、限界利益率は0.6(=1-変動費率0.4)です。

60,000円の利益を確保できる売上高をAとすると、

限界利益0.6Aー固定費150,000円=目標利益60,000円

→限界利益0.6A=固定費150,000円+目標利益60,000円

→A=(固定費150,000円+目標利益60,000円)/限界利益率0.6

→A=350,000円

損益分岐点売上高(=固定費150,000円/限界利益率0.6)は利益がゼロとなる売上高なので、分子に目標利益を加算すればいいだけです。

問4

今月のある商品の販売価格は1,000円/個、変動費600円/個、固定費600,000円であったが、来月は販売価格を800円/個に変更することを予定している。このとき、赤字にならないためには少なくとも3,000個販売する必要がある。なお、固定費及び1個あたりの変動費は来月も変化しないものとする。

答え:〇

利益がゼロとなる損益分岐点の販売量を求めれば、赤字にならないための販売量がわかります。

まず変動費率と限界利益率を求めます。

・変動費率=変動費600円/販売価格800円=0.75

・限界利益率=1-変動費率0.75=0.25

よって損益分岐点売上高は、

固定費600,000円/限界利益率0.25=2,400,000円

です。

来月の販売価格は800円/個なので、来月の損益分岐点販売量は2,400,000円÷800円=3,000個です。

【別解】

売上高と総費用を表す一次式を使って解答する方法もあります。

・売上高を表す式は、原点を通り傾き800(販売価格)の直線となります。

y=800x

・総費用を表す式は、固定費600,000を切片とした傾き600(@変動費)の直線となります。

y=600x+600,000

この2つの直線が交わるところが損益分岐点販売量となります。

800X=600x+600,000

200x=600,000

x=3,000