知的財産権2~ソフトウェアライセンスと不正競争防止法~

snack
snack

ソフトウェアを購入(ダウンロード)する場合、従来は購入時に一括で料金を支払うという形が一般的だったっすよね。

ボキタロー
ボキタロー

うん。でも最近はサブスクとかもあるよね。

snack
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そうっすね。近年はそれ以外にも様々な契約形態があるっす。それぞれのライセンス条件を理解して目的に合った契約を締結することが重要っすね。

ソフトウェアライセンス

権利者が他者と契約を結び、ソフトウェアの利用許諾を与える方法をソフトウェアライセンスといいます。ソフトウェアライセンスの形態や条件は権利者によって定められるため、ソフトウェアによって異なることに注意が必要です。

ソフトウェアの配布形態

配布形態内容
フリーウェア無料で配布されているソフトウェアですが、著作権は存在します
シェアウェア料金を支払う前にそのソフトウェアを一定期間試用することができ、継続利用する場合には料金を支払うソフトウェア。著作権は存在します
パブリックドメインソフトウェア著作権が放棄された無料のソフトウェア。PDS(Public Domain Software)と略される場合もある。
参考

前回学習したように日本では著作者人格権を放棄することはできません。しかし、著作者の死後70年が経過して著作権が失効した場合には、対象の作品はパブリックドメインになります。

ソフトウェアの契約形態

サブスクリプション

定額料金を支払うことで一定期間、商品やサービスを利用できる契約形態。「サブスク」と略される場合もある。

サブスクリプション

ボリュームライセンス契約

複数台分のコンピューターのライセンスをまとめて提供する販売形態。個別に購入するよりも割安である場合が多いため、企業や教育機関といった組織、団体において、同じソフトウエアを大量に導入する際などに利用される。

ボリュームライセンス契約

サイトライセンス契約

特定の企業や学校(特定のネットワーク)にある複数のコンピューターでの使用を一括で許可する契約形態。ボリュームライセンス契約の一形態とも言える。

サイトライセンス契約

ボリュームライセンス契約は特定の(または一定数の)コンピューターでの使用を認めるのに対して、サイトライセンス契約はネットワーク単位(社内LANなど)で複数のコンピューターでの使用を認めます。


CAL(Client Access License)

ソフトウェアをコンピューターにインストールするのではなく、インターネットを通してサーバ上のソフトウェアにアクセスして利用する場合、そのクライアント数(ユーザー数)で契約する販売形態。

CAL(Client Access License)
さらっと学習【アクティベーション】

ソフトウェアをインストールした後、正規のライセンスを保持していることを確認するために行われる認証処理の事をアクティベーション(ライセンス認証)といいます。

不正競争防止法

不正競争防止法は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置などを講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律です。

不正競争防止法では、次のような行為が禁止されています。

  • 需要者の間に広く認識されている他人の商品や営業の表示を真似する行為
  • 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
  • コピープロテクト(音楽・映画・ゲームなどのコンテンツの無断コピーや無断視聴を防止するための技術)の効果を無効化する装置やプログラムなどを提供する行為
  • ドメイン名の不正取得
  • 限定提供データの不正取得
  • 顧客名簿や対応マニュアル、製造方法、ノウハウなどの営業秘密(トレードシークレット)の不正取得
営業秘密

営業秘密に該当するためには、①秘密として管理されていること(秘密管理性)、②有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)、③公然と知られていないこと(非公知性)の3つの要件が必要です。

さらっと学習【限定提供データ】

不正競争防止法で規定されている「限定提供データ」とは次の3つの要件を満たすデータをいいます。

①業として特定の者に提供されること(限定提供性

②電磁的方法により相当量が蓄積されていること(相当蓄積性

③パスワード等でアクセス制限されていること(電磁的管理性

ただし3つの要件を満たしている場合でも営業秘密に該当するものは除外されます。

確認○×問題

問1

フリーウェア(フリーソフトウェア)は無料で配布されているソフトウェアであるため、著作者に断ることなく、コピーや改変を自由に行うことができる。

答え:×

フリーウェアは無料で配布されていますが著作権は存在します。そのため、著作者に無断でコピーや改変などを行うと著作権侵害となります。

著作権が放棄されているのはパブリックドメインソフトウェア(PDS)です。

問2

あるソフトウェアは、定額の料金や一定の期間での利用ができる形態で提供されている。この利用形態はボリュームライセンスである。

答え:×

定額の料金や一定の期間での利用ができる形態はサブスクリプションです。ボリュームライセンスは、複数台分のコンピューターのライセンスをまとめて提供するライセンス形態です。

問3

不正な販売行為を防ぐために、正当な理由なく映像ソフトのコピープロテクトを無効化するプログラムの販売行為を規制している法律は不正競争防止法である。

答え:〇

不正競争防止法では、コピープロテクト(音楽・映画・ゲームなどのコンテンツの無断コピーや無断視聴を防止するための技術)の効果を無効化する装置、プログラムなどを提供する行為を禁じています。

問4

他社に損害を与える目的で、他社のサービス名と類似したドメイン名を取得して使用するような行為を禁止している法律は著作権法である。

答え:×

ドメイン名の不正取得を禁止している法律は不正競争防止法です。

問5

新製品開発に関連した、化学実験の未発表の失敗データは不正競争防止法で保護される営業秘密に該当する。なお、このデータはファイリングされており、ファイルには秘密であることを示す「㊙」のラベルを貼って、キャビネットに施錠保管し、閲覧者を限定して管理している。

答え:〇

営業秘密に該当するためには、「秘密管理性」、「有用性」、「非公知性」の3つの要件が必要です。

・「新製品開発に関連した」→有用性あり

・「未発表の」→非公知性あり

・「秘密であることを示す「㊙」のラベルを貼って・・・」→秘密管理性あり

以上より、3つの要件を満たしているため営業秘密に該当します。

問6

不正競争防止法で規定されている限定提供データとは、特定の第三者に提供する情報として電磁的方法によって相当量蓄積されている技術上又は営業上の情報(秘密として管理されているものを除く)をいう。

答え:〇

不正競争防止法で規定されている「限定提供データ」とは次の3つの要件を満たすデータをいいます。

①業として特定の者に提供されること(限定提供性

②電磁的方法により相当量が蓄積されていること(相当蓄積性

③パスワード等でアクセス制限されていること(電磁的管理性