もし乾電池の大きさがバラバラだったらどうなると思うっすか?
商品ごとにそれに合った乾電池をたくさん用意しないといけないから大変だね。
メーカー側も様々な大きさの乾電池に合わせた製品を作らないといけなくなるっすね。
そりゃあ大変だ。ってことは、乾電池の大きさって世界共通ってこと?
そうっすね。世界には様々なものを標準化している団体があるんすよ。これによって私たちの暮らしがとても便利になってるっす。
目標 | ・標準化の意義を理解する。 |
説明 | ・互換性の確保などのために,ISO や IEC といった標準化団体や業界団体が標準化を行っていることを知り,その活動の意義や標準化の身近な例を理解する。 ・遵守すべき標準とガイドラインとしての標準があることを理解する。 |
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標準化の必要性や意義
私たちの身のまわりには、形、大きさ、品質などが同じになることによって、便利なことがたくさんあります。たとえば、「単3の乾電池」といえば、その形や大きさが決まっています。
もし、形や大きさが決まっていなかったら、製品やメーカーごとに、大きさや形のちがう乾電池をたくさん買わなければなりません。このように、私たちの生活を便利にするために、形、大きさ、品質などを共通化したり互換性をもたせることを標準化といいます。
IT における標準化の例
バーコード
バーコードは、主にレジスターでの精算や在庫管理などで使われている一次元コードで、縞模様状の線の太さによって数値を表します。日本ではJANコードという統一規格が利用されています。
日本は、”49”または“45”から始まるの13桁標準タイプまたは8桁短縮タイプを使用しています。なお、JANコードの重複は基本的に許容されていないので、コードの一意性が担保されます。
JANコードは事業者コード(メーカーの番号)、商品アイテムコード(商品を区別するための番号)、チェックデジット(誤りをチェックするための番号)から構成されています。
QRコード
QRコードは、日本の自動車部品メーカーであるデンソーの開発部門(現在は分社化してデンソーウェーブ)が発明したマトリックス型二次元コードです。データ読み取りや店頭決済用コードとして世界中で利用されています。
QRコードは縦と横の二次元コードであるため、横方向のみの一次元バーコードよりも多くの情報を表すことができ、数字だけでなく英字や漢字など多言語のデータも格納できます。また、QRコードは上下左右どの方向からでもコードを読み取ることができるという特徴があります。
近年では携帯電話やスマートフォンのQRコードリーダー機能の普及に伴い、広く利用されるようになりました。
標準化団体と規格
デジュレスタンダードとデファクトスタンダード
ISOなどの標準化団体が定めた規格ではなく、市場における競争や広く採用された結果として事実上標準化した基準をデファクトスタンダードといいます。
これに対して、標準化団体によって定められた標準規格のことをデジュレスタンダード(デジュリスタンダード)といいます。
特定の分野に関心のある複数の企業などが集まって結成した組織が規格として作ったものをフォーラム標準といいます。
ISO(国際標準化機構)
ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)は、各国の国家標準化団体で構成される非政府組織です。目に見えるもの(製品や材料など)だけでなく、サービスやマネジメントシステム等に関する国際規格を制定しており、ISOの標準を使用することで、安全で信頼性が高く、質の高い製品やサービスの創出に役立ちます。
ITパスポート試験では、以下のようなISO規格が出題されるっすよ。
ISO9000シリーズ | 品質マネジメントシステムの標準規格 |
ISO14000シリーズ | 環境マネジメントシステムの標準規格 |
ISO27000シリーズ | 情報セキュリティマネジメントの標準規格 |
ISO30414 | 人的資本の情報開示のためのガイドライン |
IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)は、電気工学、電子工学、および関連した技術を扱う国際的な標準化団体です。
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)は、アメリカに本部のある電子・通信分野に関する学術研究団体(学会)で、IEEE802.11(無線LAN)などの標準規格も策定しています。「アイ・トリプル・イー」と呼ばれることが多い。
W3C(World Wide Web Consortium)は、World Wide Webで使用される各種技術の標準化を推進するために設立された標準化団体です。HTML、XML等の規格を策定しています。
IEEE802.11とかHTML、XMLとかは意味が分からないと思うっすけど、テクノロジ編で学習するので、ここではスルーしてもらって構わないっす。
JIS(日本産業規格)
JIS(Japanese Industrial Standards:日本産業規格)は、産業標準化法に基づき制定される、日本の鉱工業品、データ、サービス等に関する国家規格です。
日本独自に策定することもありますが、ISOなどの国際標準規格に国内事情を盛り込んでJISとして策定することもあります。
確認○×問題
あるデータを表現するために、1個のJANコードか1個のQRコードのどちらかの利用を検討する。表現できる最大のデータ量の大きい方を採用する場合、検討結果として、JANコードの利用を選択するのが適切である。
(出典:令和4年度春期分 問20 一部改変)
答え:×
QRコードは縦と横の二次元コードであるため、横方向のみの一次元のJANコードよりも多くの情報を表すことができます。したがって、表現できる最大のデータ量の大きい方を採用する場合はQRコードを選択すべきです。
POSシステムにJANコードを採用すると、企業間でのコードの重複がなく、コードの一意制が担保されているので、自社のシステムで多くの企業の商品を取り扱うことが容易である。
(出典:平成29年度春期分 問33 一部改変)
答え:〇
JANコードの重複は基本的に許容されていないので、コードの一意性が担保されます。なお、POSシステムとは商品の売り上げ情報を把握し、それに基づいて売り上げや在庫を管理するためのシステムです。詳しくは別の単元で学習します。
デファクトスタンダードとは、特定の企業やグループなどが採用した仕様が広く使用されるようになり、事実上の業界標準になったものをいう。
(出典:平成21年度秋期分 問1 一部改変)
答え:〇
市場における競争や広く採用された結果として「事実上標準化した基準」をデファクトスタンダードといいます。これに対して、標準化団体によって定められた標準規格のことをデジュレスタンダードといいます。
情報セキュリティマネジメントシステムは、ISO(国際標準化機構)によって規格化されている。
(出典:平成30年度秋期分 問14 一部改変)
答え:〇
ISO27000シリーズにおいて、情報セキュリティマネジメントシステムは規格化されています。
企業がISO9001を導入することによって、品質管理に関する業務運営が標準化され、管理の質や効率が向上するというメリットが期待できる。
(出典:平成28年度春期分 問16 一部改変)
答え:〇
ISO9000シリーズは、品質マネジメントシステムの標準規格です。これを導入することによって、標準化された質の高い品質管理が期待できます。
ISO9000シリーズ | 品質マネジメントシステムの標準規格 |
ISO14000シリーズ | 環境マネジメントシステムの標準規格 |
ISO27000シリーズ | 情報セキュリティマネジメントの標準規格 |
IEEEは、会計分野の国際標準機関である。
(出典:令和3年度春期分 問2 一部改変)
答え:×
IEEE(アイ・トリプル・イー)は、アメリカに本部のある電子・通信分野に関する学術研究団体(学会)で、IEEE802.11(無線LAN)などの標準規格も策定しています。