社員の教育訓練や情報セキュリティーのための投資など、利益に直結しないような投資は後回しにされがちっすよね。
そりゃあ、経営者は目の前の利益が欲しいからね。
しかし、財務の視点からの経営のみでは短期的な利益は獲得できたとしても、長期的には戦略目標の達成に悪影響が出てしまうこともあるっす。
なるほど。いろんな視点からの評価が必要ってことか。
そのとおりっす。それがバランスの取れた経営ってもんっすよ。
目的 | ・ビジネス戦略立案のための代表的な情報分析手法,目標設定手法を理解する。 |
説明 | ・ビジネス戦略立案における情報分析及び目標設定のために,指標や手法があることを理解する。 |
CSF・KGI・KPI
CSF(Critical Success Factors:重要成功要因)とは、目標実現のための重要な成功要因となるもので、通常は定性的な(数字で表せない)ものとなります。
また、目標(ゴール)を達成するための具体的な指標としてKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を定義し、KGI達成のためには何をすればいいのか?というKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。KPIをモニタリングすることでKGIの達成状況を評価します。
KPIには、目標達成のための手段を評価する先行指標と目標達成度を評価する結果指標の二つがあります。
なんかよくわかんないなぁ。
例えば、目標が「将来のために資格を取得する!」だったとします。そして、この目標を達成するための具体的な指標としてのKGI(重要目標達成指標)を「3か月後にITパスポート試験合格」と定義したとします。この場合のCSF(重要成功要因)としては「時間を作って毎日勉強する」ということが考えられます。また、KGIを達成するためのKPI(重要業績評価指標)としては「1時間早起きして勉強する」などが考えられます。
目標 | 将来のために資格を取得 |
KGI | 3か月後にITパスポート試験合格 |
CSF | 時間を作って毎日勉強する |
KPI | ・1時間早起きして勉強する(結果指標) ・1時間早く寝る(先行指標) |
なお、KGIとKPIとの関係性についてツリーの形状を使って可視化したものをKPIツリーといいます。
質問を通じて相手を目標達成へ導いていくコーチング手法です。「Goal(目標)」、「Reality/Resource(現実の把握)」、「Options(選択肢)」、「Will(意志)」という4つのプロセスに沿って質問をします。
適切で明確な目標を立てるために欠かせないとされる「Specific(具体的に)」、「Measurable(測定可能な)」、「Achievable(達成可能な)」、「Related(経営目標に関連した)」、「Time-bound(時間の制約がある)」という5つの要素を含んだ目標設定の指標です。
BSC(バランス・スコア・カード)
BSC(Balanced Score Card:バランススコアカード)とは、従来の財務的指標中心の業績管理手法の欠点を補うものであり、戦略・ビジョンを4つの視点(財務の視点・顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点)で分類し、それぞれの視点から業績評価をする経営管理手法です。
- 財務の視点:株主や従業員などの利害関係者の期待にこたえるため、企業業績として財務的に成功するためにどのように行動すべきかの指標を設定する。
- 顧客の視点:企業のビジョンを達成するために、顧客に対してどのように行動すべきかの指標を設定する。
- 業務プロセスの視点:財務的目標の達成や顧客満足度を向上させるために、優れた業務プロセスを構築するための指標を設定する。
- 学習と成長の視点:企業のビジョンを達成するために組織や個人として、どのように変化(改善)し能力向上を図るかの指標を設定する。
バリューエンジニアリング
バリューエンジニアリング(VE:Value Engineering)とは、製品やサービスの「価値」を、それが果たすべき「機能」とそのためにかける「コスト」との関係で把握し、 システム化された手順によって「価値」の向上をはかる手法です。
バリューエンジニアリングは、製品やサービスが果たす機能をコストで割ることで商品の価値を把握します。
VEでは基本的に、機能とコストを次のように変化させることで価値の向上を実現できると考えます。 (↑はUp、→は維持、↓はDownの意味)
1.コストダウンによる価値向上
「価値(Value)↑ = 機能(Function)→ / コスト(Cost)↓」・・・同じ機能のものを安いコストで手に入れる。
2.機能UPによる価値向上
「価値(Value)↑ = 機能(Function)↑ / コスト(Cost)→」・・・同じコストで、より優れた機能をもったものを手に入れる。
3.機能UP&コストUPによる価値向上
「価値(Value)↑ = 機能(Function)↑↑ / コスト(Cost)↑」・・・コストは上がるが、なお優れた機能をもったものを手に入れる。
4.機能UP&コストダウンによる価値向上
「価値(Value)↑ ↑ = 機能(Function)↑ / コスト(Cost)↓」・・・より優れた機能を果たすものを、より安いコストで手に入れる。
確認○×問題
経営戦略の目標や目的を達成する上で、重要な要因を表すものCSFという。
(出典:平成22年度秋期分 問29一部改変)
答え:〇
CSF(Critical Success Factors:重要成功要因)とは、目標実現のための重要な成功要因となるもので、通常は定性的な(数字で表せない)ものとして設定します。
A社の営業部門では、成約件数を増やすことを目的として、営業担当者が企画を顧客に提案する活動を始めた。この営業活動の達成度を測るための指標としてKGI(Key Goal Indicator)とKPI(Key Performance Indicator)を定めたい。本活動におけるKGIは「成約件数」、KPIは「提案件数」が適切である。
(出典:令和5年度春期分 問8一部改変)
答え:〇
具体的な目標となる指標として、KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を定義します。また、KGIの達成状況を評価するためのKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。
本問では成約件数を増やすことが目的であるため、「成約件数を〇〇件増やす」といったことなどをKGIとして定義し、その達成状況を評価するため「営業担当者一人あたり〇〇件の提案」などといったKPIを設定します。
戦略目標の達成状況を評価する指標には、目標達成のための手段を評価する先行指標と目標達成度を評価する結果指標の二つがある。戦略目標が「新規顧客の開拓」であるとき、先行指標としては「見込み客訪問件数」などが、結果指標としては「新規契約獲得率」などが適切である。
(出典:令和3年度春期分 問18一部改変)
答え:〇
「新規顧客の開拓」が目標である場合、その目標達成度を評価するための指標(結果指標)としては「新規契約獲得率」などが考えられます。また、新規契約を獲得するための方法の一つとして「見込み客への訪問」という手段が考えられるため、「見込み客訪問件数」などが目標達成のための手段を評価する先行指標として適切です。
企業のビジョンや戦略を実現するために、“財務”、“顧客”、“業務プロセス”、“学習と成長”の四つの視点から、具体的に目標を設定して成果を評価する手法をSWOT分析という。
(出典:平成31年度春期分 問7一部改変)
答え:×
設問はBSC(Balanced Scorecard:バランススコアカード)の説明です。なお、SWOT分析(スウォット分析)は、自社でコントロールが可能な内部環境である「強み」と「弱み」、自社でコントロールが不能な外部環境である「機会」と「脅威」を検討する分析手法です。
航空会社A社では、経営戦略を実現するために、バランスコアカードの四つの視点ごとに戦略目標を設定した。bに該当するものは「業務プロセスの視点」である。ここで、a~dは四つの視点のどれかに対応するものとする。
四つの視点 | 戦略目標 |
---|---|
a | 利益率の向上 |
b | 競合路線内での最低料金の提供 |
c | 機体の実稼働時間の増加 |
d | 機体整備士のチームワーク向上 |
(出典:平成30年度春期分 問29一部改変)
答え:×
BSC(Balanced Scorecard:バランススコアカード)とは、従来の財務的指標中心の業績管理手法の欠点を補うものであり、戦略・ビジョンを4つの視点(財務の視点・顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点)で分類し、それぞれの視点から業績評価をする経営管理手法です。
- 財務の視点:株主や従業員などの利害関係者の期待にこたえるため、企業業績として財務的に成功するためにどのように行動すべきかの指標を設定する。
- 顧客の視点:企業のビジョンを達成するために、顧客に対してどのように行動すべきかの指標を設定する。
- 業務プロセスの視点:財務的目標の達成や顧客満足度を向上させるために、優れた業務プロセスを構築するための指標を設定する。
- 学習と成長の視点:企業のビジョンを達成するために組織や個人として、どのように変化(改善)し能力向上を図るかの指標を設定する。
設問の各戦略目標に該当するバランスコアカードの四つの視点は次のようになります。
四つの視点 | 戦略目標 |
---|---|
財務の視点 | 利益率の向上 |
顧客の視点 | 競合路線内での最低料金の提供 |
業務プロセスの視点 | 機体の実稼働時間の増加 |
学習と成長の視点 | 機体整備士のチームワーク向上 |
よって、bに該当するものは「顧客の視点」となります。
バリューエンジニアリングにおいて、価値を定義する二つの要素は「粗利」と「売上原価」である。
(出典:平成25年度春期分 問29一部改変)
答え:×
バリューエンジニアリングにおいて、価値を定義する二つの要素は「機能」と「コスト」です。バリューエンジニアリングは、製品やサービスが果たす機能をコストで割ることで商品の価値を把握します。