前回までは戦略のための目標設定などについて学んできたっすね。
はい、学んできたっす。
従業員たちがその目標に向かって動き出すわけっすが、情報の有効活用によってそれを支援するための仕組みや管理手法にどんなものがあるのか?っていうのが今回のテーマっす。
てゆーか、英語を略した用語が多すぎん?日本語で頼むわ。
省略する前の英語をちゃんと見ておくのが覚えるコツっすよ。
目的 | ・経営管理システムの基本的な考え方を理解する。 |
説明 | ・経営管理を効果的に行うために,経営管理システムがあることを知り,その基本的な考え方を理解する。 |
CRM(顧客関係管理)
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)は、顧客と長期的に良好な関係を築き、顧客満足度の向上や取引関係の継続につなげる仕組みです。顧客データベースによって、購入履歴や問い合わせ履歴など顧客とのすべてのやり取りを管理することで、顧客のニーズや欲求に対する理解が深まり長期的な関係を築きやすくなります。
顧客との良好な関係を構築し、維持することが利益の源泉になるという考え方にもとづいたもので、その主な手法としては次のようなものがあります。
コールセンターシステム
大人数のオペレータによる業務を可能にするための電話応対システムです。
発信者の情報により、顧客データベースをオペレータのPC画面に表示したり、着信履歴などの自動更新を行ったりなど、コンピュータと電話とを結びつけた機能をCTI(Computer Telephony Integration)といいます。
SFA(営業支援システム)
SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)とは、営業活動で入手した顧客の情報を一元管理し、社内で共有できるようにした営業支援を行うためのシステムです。
営業担当者個人で留まりがちな顧客情報や案件の進捗、商談事例等の営業活動に関わる情報をデータ化して活用することで、営業の生産性を上げ、効率化を進めることを目的としています。
SFAは「勘」「根性」「経験」の営業から「科学的」「自動的」な営業に改善するという概念・システムっす。
カタログやセール情報などを個人宛に送信します。ダイレクトメールは規顧客の獲得や既存顧客の育成などに活用でき、顧客からの直接的な反応を受け取りながら関係性を構築できます。
SCMとVCM
SCM(供給連鎖管理)
SCM(Supply Chain Management:サプライチェーンマネジメント)とは、調達、生産、流通を経て消費者に至るまでの一連の業務を、取引先を含めて全体最適の視点から見直し、納期短縮や在庫削減を図る管理手法です。
商品の生産から消費に関係する部門や企業の間で、商品の生産、在庫、販売などの情報を相互に共有して管理することによって、商品の流通在庫の削減や顧客満足の向上を図ります。
VCM(価格連鎖経営)
VCM(Value Chain Management:バリューチェーンマネジメント)は、企業が提供する製品やサービスの付加価値が事業活動のどの部分で生み出されているかを分析するための経営管理手法です。
主活動(購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービス)と支援活動(全般管理、人事・労務管理、技術開発、調達活動)に区分し、付加価値がどこで生み出されているのかを分析することによって自社の競争優位の源泉を明確化することができます。
その他の経営管理システム
ERP(企業資源計画)
ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)は、企業内の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を統合的に管理し、最適化することで効率的な経営活動を実現するための手法です。
各部門に散らばっている情報を一元管理することによって、企業の状況を正確かつタイムリーに把握し、意思決定の迅速化や業務の効率化を実現することができます。
なお、ERPを実現するソフトウェアパッケージ(市販されているソフトウェア)のことをERPパッケージといいます。ERPパッケージには、様々な業界や企業に対応できるように、製造・調達・購買・物流・在庫管理・販売・財務会計・人事給与などの幅広い機能が備わっています。ERPを導入する企業は、これらのERPパッケージの機能から、自社に必要なものを選択して利用することができます。
ナレッジマネジメント
ナレッジマネジメントとは、個人が持っている情報や知識を組織全体で共有し、有効活用することで業務改善や業績向上につなげる経営管理手法です。
企業内ではグループウェア(組織内のコンピュータネットワークを活用した情報共有のためのアプリケーションソフトウェア)などを使って知識共有の試みが行われることが多い。
個人が蓄積した知識や経験(暗黙知)を組織全体で共有して形式知化し、新たな発見を得るための知識創造プロセスのことで、ナレッジマネジメントの理論のひとつです。
「Socialization(共同化):暗黙知の移転」、「Externalization(表出化):言語化して共有」、「Combination(連結化):異なる形式知を組み合わせて新たな知を創造」、「Internalization(内面化):新たな形式知を体にしみこませる」という4つのプロセスを繰り返し行い、新たな知識や技術を生み出します。
さらっと学習(Bランク用語)
TQC(全社的品質管理)
TQC(Total Quality Control:全社的品質管理)とは、主に工場などの製造部門に対して適用される品質管理の手法であるQC ( Quality Control:品質管理)を発展させ、QC(品質管理)を製造部門以外(設計部門、購買部門、営業部門、マーケティング部門、アフターサービス部門、etc)に適用し、体系化したものです。
ある製品を企画設計する段階から、製造販売そしてアフターサービスまでの全プロセスで総合的に品質管理を行います。また、企業の一部門だけが取り組むのではなく、企業全員(経営者、管理者、監督者、作業者etc)が取り組むことも大きな特徴です。
TQM(総合的品質管理)
TQM(Total Quality Management:総合的品質管理)とは、TQCをさらに進化させた考え方で、TQCを経営戦略へ適用したものです。
TQCが全社的な製品の品質管理を目的としているのに対して、TQMは業務や経営全体の質を向上させるための管理手法であるという違いがあります。
シックスシグマ
シックスシグマとは、品質のばらつきを抑制することによって、品質の保証と顧客満足の向上を図る活動のことです。
品質が基準よりも悪いのがダメなのは当然っすけど、良すぎるのも逆に問題なんすよ。
TOC(Theory Of Constraints:制約理論)
全体の生産量は、生産工程におけるボトルネック(制約)によって決定されるため、生産性を向上させるにはボトルネック工程を集中的に改善する必要があるという考え方です。
確認○×問題
CRMの導入効果として、売掛金に対する顧客の支払い状況を把握しやすくなる、といったことが期待できる。
(出典:平成21年度秋期分 問15一部改変)
答え:×
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)は、顧客と長期的に良好な関係を築き、顧客満足度の向上や取引関係の継続につなげる仕組みです。
CRMの導入効果としては、顧客のニーズや欲求に対する理解が深まり長期的な関係を築きやすくなる、といったことが期待できます。
業務の効率化を目指すために、SFAを導入するのに適した部門は製造部門である。
(出典:令和元年度秋期分 問28一部改変)
答え:×
SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)とは、営業活動で入手した顧客の情報を一元管理し、社内で共有できるようにした営業支援を行うためのシステムです。営業担当者個人で留まりがちな顧客情報や案件の進捗、商談事例等の営業活動に関わる情報をデータ化して活用することで、営業の生産性を上げ、効率化を進めることを目的としています。
よって、SFAを導入するのに適した部門は営業部門です。
SCMシステムを構築する目的は、商品の生産から消費に関係する部門や企業の間で、商品の生産、在庫、販売などの情報を相互に共有して管理することによって、商品の流通在庫の削減や顧客満足の向上を図ることにある。
(出典:令和4年度春期分 問22一部改変)
答え:〇
SCM(Supply Chain Management:供給連鎖管理)とは、調達、生産、流通を経て消費者に至るまでの一連の業務を、取引先を含めて全体最適の視点から見直し、納期短縮や在庫削減を図る管理手法です。
バリューチェーンとは、企業が提供する製品やサービスの付加価値が事業活動のどの部分で生み出されているかを分析するための考え方である。
(出典:平成30年度春期分 問12一部改変)
答え:〇
バリューチェーンとは、企業が提供する製品やサービスの付加価値が事業活動のどの部分で生み出されているかを分析するための考え方で、この考え方を基礎とした経営管理手法をVCM(Value Chain Management:バリューチェーンマネジメント)といいます。
ERPとは、経営資源の有効活用の観点から企業活動全般を統合的に管理し、業務を横断的に連携させることによって経営資源の最適化と経営の効率化を図る手法である。
(出典:平成22年度秋期分 問25一部改変)
答え:〇
設問のとおりです。
X社では、工場で長期間排水処理を担当してきた社員の経験やノウハウを文書化して蓄積することで、日常の排水処理業務に対応するとともに、新たな処理設備の設計に活かしている。これは、TQM(総合的品質管理)の事例といえる。
(出典:平成27年度春期分 問29一部改変)
答え:×
設問はナレッジマネジメントの事例です。ナレッジマネジメントとは、個人が持っている情報や知識を組織全体で共有し、有効活用することで業務改善や業績向上につなげる経営管理手法です。
なお、TQM(Total Quality Management:総合的品質管理)とは、TQCをさらに進化させた考え方で、TQC(組織全体として統一した品質管理目標への取り組み)を経営戦略へ適用したものです。
一連のプロセスにおけるボトルネックの解消などによって、プロセス全体の最適化を図ることを目的とする考え方をシックスシグマという。
(出典:平成29年度春期分 問6一部改変)
答え:×
設問はTOC(Theory Of Constraints:制約理論)の説明です。なお、シックスシグマとは、品質のばらつきを抑制することによって、品質の保証と顧客満足の向上を図る活動のことです。