エンジニアリングシステム

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現在の製造業では、企画や製造などの全工程ををすべて手作業で行っているところはないっすよね。

ボキタロー
ボキタロー

伝統工芸とかだったらあるんじゃない?

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まぁしかし、一般的な企業ではコンピューターやITを利用して企画・製造・生産などを効率化・自動化してるっすよ。そういったような生産工程を管理、支援するシステムの総称がエンジニアリングシステムっす。

目的・エンジニアリング分野における代表的なシステムの特徴を理解する。
説明・エンジニアリング分野におけるシステム活用状況を理解するために,代表的なエンジニアリングシステムの特徴や考え方を理解する。
エンジニアリングシステムの概要

代表的なエンジニアリングシステム

コンカレントエンジニアリング

コンカレントエンジニアリング(Concurrent Engineering:CE)は、製品の設計、開発、生産などの複数のプロセスを同時並行で進めることにより、開発期間を短縮し、コスト削減を図る開発手法です。

コンカレントエンジニアリング

CAD(キャド)

CAD

CAD(Computer Aided Design:コンピュータ支援設計)は、コンピュータを用いて設計をすること、あるいはコンピュータによる設計支援ツールのことです。自動車・航空機などの機械設計、住宅設計、工業製品の設計まで行うことができます。

人間では難しい微細な情報なども正確に処理でき、編集が容易であること、データ化による再利用や3D設計などが可能になるといった利点があります。

CAM(キャム)

CAM(Computer Aided Manufacturing:コンピュータ支援製造)は、CADで作成されたデータを元に、工作機械を制御するデータを出力するコンピュータ上のシステムです。

従来は工作機械にデータを直接手で入力していましたが、操作者に高い技術の習得が要求され、さらに時間がかかるといったデメリットがありました。CAMを使うことで、この手間を省いて早く正確に加工プログラムを作成できます。

参考

CADとCAMを組み合わせたシステムのことをCAD/CAM(キャドキャム)システムと呼びます。

さらっと学習【センシング技術】

センサーを通じてさまざまな情報を計測・数値化する技術をセンシング技術といいます。人感センサーによる自動扉の開閉やエアコンによる温度、湿度の調整などの身近なものから、原子炉内の調査、海洋探査、火山活動の把握など、人間では難しい観測にも使われます。

代表的な生産方式

JIT(ジット)

JIT(Just In Time:ジャストインタイム)は、必要なものを、必要な時に、必要な量だけ生産する生産方式です。在庫を徹底的に減らして最小限にすることで、無駄を省き生産を効率化することができます。

さらっと学習【かんばん方式】

かんばん方式は日本のトヨタ自動車が考案した生産管理方式です。部品を使用したときに、部品箱についている「かんばん」(商品名・品番・保管場所などが記録されたカードや電子タグ)を外し、これを部品工場に渡すことで、部品工場は使われた分だけ新たに部品を生産します。これにより、無駄な在庫を削減することにつながります。

かんばん方式

MRP(資材所要量計画)

MRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)は、生産計画をもとに資材の必要数を計算し購入時期を決める生産管理手法のことです。

使用した分をその都度補充するのではなく、製品の生産スケジュールにあわせて必要になる資材や部品を事前に割り出すことで、在庫管理や発注業務の効率化を実現します。

リーン生産方式

リーン生産方式は、製造工程におけるムダを排除することで、必要以上の時間や在庫を削減した生産を目指す管理手法です。JIT、かんばん方式などを活用して、製品および製造工程の全体にわたって、トータルコストを減らそうとするのが狙いです。

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リーン(lean)には「ぜい肉がない、無駄がない」という意味があるっす。

FMS

FMS(Flexible Manufacturing System:フレキシブル生産システム)は、一つの生産ラインで異なる種類の製品を柔軟に製造できるシステムです。

これまでの生産ラインは、一つの製品に特化したラインを構築する手法が主流でしたが、FMSでは産業用ロボットなどを活用して、すべての工程を自動化することで、機械同士がデータを相互に利用できるようになります。

さらっと学習【FA】

FA(Factory Automation:工場の自動化)は、工場を自動化するシステムの総称です。産業用ロボットを用いて、従来人間によって行われていた作業を無人化することで、人間による作業ミスの削減、作業効率の向上、安全性の向上を図ります。

確認○×問題

問1

製造業のA社は、製品開発のリードタイムを短縮するために、工程間で設計情報を共有し、前工程が完了しないうちに、着手可能なものから後工程の作業を始めることにした。この考え方はコンカレントエンジニアリングにもとづくものである。

答え:〇

コンカレントエンジニアリング(Concurrent Engineering:CE)は、製品の設計、開発、生産などの複数のプロセスを同時並行で進めることにより、開発期間を短縮し、コスト削減を図る開発手法です。

問2

CADの導入効果として、設計データを再利用して作業を効率化しやすくする、といったことがある。

答え:〇

CAD(Computer Aided Design:コンピュータ支援設計)は、コンピュータを用いて設計をすること、あるいはコンピュータによる設計支援ツールのことです。設計した情報をデータ化できるため再利用が可能となります。

問3

CAMの導入効果として、コンピューターを利用して工作機械を制御することで、製造作業の精度や効率を高めることができる、といったことがある。

答え:〇

CAM(Computer Aided Manufacturing:コンピュータ支援製造)は、CADで作成されたデータを元に、工作機械を制御するデータを出力するコンピュータ上のシステムです。CAMを導入することで、製造作業の精度や効率を高めることができます。

問4

必要な時期に必要な量の原材料や部品を調達することによって、工程間の在庫をできるだけ持たないようにする生産方式をMRPという。

答え:×

設問はJIT(Just In Time:ジャストインタイム)の説明です。なお、MRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)は、生産計画をもとに資材の必要数を計算し購入時期を決める生産管理手法のことです。

問5

1個の製品Pは2個の部品Qで構成され、部品Qは4個の部品Rで構成されている。部品Qは1個、部品Rは3個の在庫があるとき、製品Pを6個生産するには、部品Rはあと41個必要である。

答え:〇

1個の製品Pは2個の部品Qで構成されているため、製品Pを6個生産するには部品Qが12個必要となります。ただし部品Qは1個の在庫があるので、新たに生産する必要がある部品Qは11個となります。

部品Qは4個の部品Rで構成されているため、部品Qを11個生産するには部品Rが44個必要となります。ただし部品Rは3個の在庫があるので、新たに生産する必要がある部品Rは41個となります。

問6

製品の開発から出荷までの工程を開発、生産計画、製造、出荷とするとき、FMS(Flexible Manufacturing System)の導入によって省力化、高効率化できる工程は開発工程である。

答え:×

FMS(Flexible Manufacturing System:フレキシブル生産システム)は、産業用ロボットなどを活用して、一つの生産ラインで異なる製品や種類を柔軟に製造できるシステムを指します。よって、FMSによって効率化される工程は製造工程です。