情報システム戦略と戦略目標

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企業のやりたいことが変われば、そのために必要なシステムも変わるっす。

ボキタロー
ボキタロー

そりゃそうだ。すべてに対応できる万能なものなんてないよね。

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今回は新しいシステムを構築・運用していくための戦略などを見ていくっすよ。

目的・情報システム戦略の意義と目的,戦略目標の考え方を理解する。
説明・経営戦略を実現するために立案される情報システム戦略について,意義と目的,戦略目標の考え方を理解する。
情報システム戦略の概要

情報システム戦略

情報システム戦略とは

情報システム戦略とは、経営戦略を実現するために、いかに情報システムを構築・活用するかという戦略です。なお、情報システム戦略の最終責任者はCIO(最高情報責任者)となります。

情報システム戦略のイメージとしては、まず経営戦略を実現するためにそれぞれの事業部ごとの事業戦略を策定します。そして、事業戦略を実現するために各部門において機能別戦略を策定しますが、このうち、情報システム部門で策定される戦略が情報システム戦略となります。

情報システム戦略のイメージ
  • 経営戦略の例:世界的なグローバル企業を目指す
  • 事業戦略の例:海外に出店して支配的シェア獲得
  • 機能別戦略の例:研究開発戦略、購買戦略、生産戦略、物流戦略、商品戦略、広告戦略、営業戦略、人事戦略、情報システム戦略など

情報システム戦略立案時のポイント

①全体最適化を目指す

情報システムは、自社の経営戦略や事業戦略を実現することを目的に構築されるものです。したがって、例えば特定の部門にとって都合のいいようなシステムを構築するのではなく、組織としての情報システム全体の最適化を目指すことが情報システム戦略策定の主な目的となります。

②経営戦略との整合性を図る

繰り返しになりますが、情報システム戦略は経営戦略を実現するための戦略です。どれだけ素晴らしいシステムが出来上がったとしても、経営戦略を実現するために何の役にも立たないようなシステムでは意味がありません。情報システム戦略の立案にあたっては、必ず経営戦略や事業戦略との整合性を図る必要があります

③現状の把握とあるべき姿の設定

目標を立てるためには、まず現状の把握とあるべき姿の設定が大事です。

EA(エンタープライズアーキテクチャ)

EA(Enterprise Architecture:エンタープライズアーキテクチャ)は、現状の業務と情報システムの全体像を可視化し(As-Isモデル)、将来のあるべき姿(To-Beモデル)を設定して、全体最適化を行うためのフレームワークです。現状の姿とあるべき姿(理想像)との乖離を明確にし、両者の差を埋めるように業務とシステムの改善を図ります。

EA(エンタープライズアーキテクチャ)
参考

EAは、ビジネス(BA:Business Architecture)、データ(DA:Data Architecture)、アプリケーション(AA:Application Architecture)、テクノロジ(TA:Technology Architecture)の4つの階層で表します。

エンタープライズサーチ

エンタープライズサーチは、ファイルサーバ、データベースサーバ、Webサーバなどで管理されているデータを横断的に検索するためのしくみのことです。組織内に点在しているファイルやデータといった企業の情報を企業内検索エンジンで一元的に検索できます。

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外部のWebサイトに公開されている情報も検索対象に含めることができるっすよ。

エンタープライズサーチ

インターネットの検索エンジンと同じように、企業内の様々なデータを検索できるようになるため、業務効率化、コスト削減などが期待できます。

新システム導入までの流れ

システム導入までのざっくりとした流れは次のようになります。

新システム導入までの流れ

情報システム戦略は、とりあえず新システムを導入すればいいというものではありません。現状のシステムで対応できるのであれば、それに越したことはないわけです。システム化することが業務にとって必要、または有効であると判断された場合のみ、新システムを導入することになります。

そのため、まず業務の把握・分析、その見直しや改善などを行い、それでも対応できないとなったときに、新しいシステムの導入を検討することになります。

新システムの導入には、ソフトウェアの購入、ソリューションの活用(SaaSなど)、システムの開発・改修などの手段があります。

戦略目標

経営戦略や事業戦略は、経営環境の分析やSWOT分析などを通じて、具体的な目標が設定されます。導入するシステムはその戦略目標に沿ったものである必要がありますが、何を主目的とするシステムかによってSoRとSoEに分類できます。

SoR(Systems of Record)

記録を主目的として構築されるシステムです。記録処理や信頼性を重視するシステムで、主として企業の基幹系システムがこれに該当します。SoRは運用者(システムを扱う従業員)の満足度を重要視します。

SoE(Systems of Engagement)

顧客とのつながりを主目的として構築されるシステムです。処理速度や利便性を重視するシステムで、オンラインゲームやSNSなどがこれに該当します。SoEは利用者(顧客)の満足度を重要視します。

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システムを設計・構築・運用する場合に、そのシステムがSoRかSoEのどちらに該当するかを意識することで作り込み方が違ってくるっすよ。

確認○×問題

問1

情報システム戦略の内容を踏まえて経営戦略が策定される。

答え:×

経営戦略と情報システム戦略の関係性が逆になっています。正しくは、「経営戦略の内容を踏まえて情報システム戦略が策定される」となります。

問2

4つの検討事項、「開発期間の短縮方法の検討」、「経営戦略との整合性」、「コストの削減方法の検討」、「最新技術の導入計画」のうち、情報システム戦略の立案に当たって必ず考慮すべき事項は「コストの削減方法の検討」である。

答え:×

設問の4つの検討事項のうち、必ず考慮すべき事項は「経営戦略との整合性」です。他の3つは立案される情報システム戦略によっては考慮しないケースも考えられます。

問3

経営戦略に基づいて策定される情報システム戦略の責任者は、システム開発プロジェクトマネージャである。

答え:×

情報システム戦略の責任者はCIO(最高情報責任者)です。一部門の責任者や担当者、プロジェクトマネージャなどではありません。

問4

企業内の様々なシステムに蓄積されている定型又は非定型なデータを、一元的に検索するための仕組みをエンタープライズサーチという。

答え:〇

エンタープライズサーチは、ファイルサーバやデータベースサーバなどで管理されているデータを横断的に検索するためのしくみのことです。組織内に点在しているファイルやデータといった企業の情報を企業内検索エンジンで一元的に検索できます。

問5

業務と情報システムを最適にすることを目的に、例えばビジネス、データ、アプリケーション及び技術の四つの階層において、まず現状を把握し、目標とする理想像を設定する。次に現状と理想との乖離を明確にし、目標とする理想像に向けた改善活動を移行計画として定義する。このような最適化の手法をEA(Enterprise Architecture)という。

答え:〇

EA(Enterprise Architecture)は、原状の業務と情報システムの全体像を可視化し(As-Isモデル)、将来のあるべき姿(To-Beモデル)を設定して、全体最適化を行うためのフレームワークです。

問6

顧客とのつながりを主目的として構築され、利用者(顧客)の満足度が重要視されるシステムはSoRである。

答え:×

顧客とのつながりを主目的として構築され、利用者(顧客)の満足度が重要視されるシステムはSoEです。なお、SoRとは記録を主目的として構築されるシステムです。SoRは運用者(システムを扱う従業員)の満足度を重要視します。