新しいシステムを導入するにしてもしなくても、まず現状の業務を把握する必要があるっす。
なんで?
既存のシステムで対応できるのであれば、それに越したことはないっすよね。そのためにも業務の把握・分析・見直し・改善が必要になるっすよ。
経営者からしたら、既存システムで対応できた方がコスト削減にもなるしね。
目的 | ・業務改善,問題解決などに向けた考え方を理解する。 ・業務モデルにおける代表的なモデリングの考え方を理解する。 ・グループウェア,オフィスツールの効果的な活用を理解し,活用する。 ・コンピュータ及びネットワークを利用した業務の効率化の目的,考え方を理解する。 |
説明 | ・担当業務のシステム化について,検討に参加することができるよう,業務プロセスをモデル化して改善策を検討する考え方を理解する。 ・コンピュータ及びネットワークを効果的に活用することによる業務改善やコミュニケーションの円滑化を図る。 |
業務プロセスの分析
業務プロセスとは仕事の流れや手順のことを意味します。業務改善や問題解決を図るためには、現状の業務プロセスを分析して把握する必要があるため、その際に利用する代表的なモデリング手法を見ていきます。
複雑なビジネスの仕組みや業務プロセスを可視化し、単純化して分かりやすく表すことをモデリングといいます。
青字の部分が今回の学習内容です。
E-R図
E-R図(Entity Relationship Diagram:実体関連図)とは、エンティティ(Entity:実体)とリレーションシップ(Relationship:関連)を使い、データの関連性を表した図です。
E-R図はデータベース設計などによく使われるっすね。
ITパスポート試験では、データベースのところでE-R図が問われることが多いので、詳しくはテクノロジ編で学習します。
DFD
DFD(Data Flow Diagram)は、業務を構成する処理とその間で受け渡されるデータの流れを示した図です。DFDはデータの流れを図式化したものですが、データの流れと業務の流れは連動しているケースが多いため、業務プロセスを把握するためにも使われます。
DFDは、外部(データ源泉)、データフロー、処理(プロセス)、ファイル(データストア)という4つの要素を用いて図を表します。
記号と名称 | 意味 |
---|---|
データの発生源や出力先を表します。 | |
データの流れを表します。 | |
データの処理(プロセス)を表します。データの加工は必ず「処理」で行われます。 | |
データそのもの、またはデータの蓄積・保管を表します。データベースの場合もあれば、紙などのファイルの場合もあります。 |
業務プロセスの改善
業務プロセスを把握・分析したら、次はそれらを見直して改善できないか検討します。代表的な改善方法を見ていきましょう。
BPR
BPR(Business Process Re-engineering)は、既存業務の手順を見直し、業務の流れを抜本的に再設計し、業務の効率化やコスト削減を目指す考え方です。
BPM
BPM(Business Process Management)は、実際に業務を実行し、その改善や再構築を繰り返し行いながら業務改善を行っていく業務管理手法です。PDCAサイクル(計画→実行→監視→改善)を回しながら、継続的に改善活動を行います。
RPA
人間が行ってきた定型的な事務作業を、ソフトウェアで実現したロボットに代替させることによって、自動化や効率化を図る技術をRPA(Robotic Process Automation)といいます。処理を自動化することで、業務効率の向上や人為的なミスを防ぐことができます。
RPAは形のあるロボットではなく、定型的な事務作業を行うソフトウェアです。
ロボットには、「人の代わりになんらかの作業を自動的かつ連続的に行うもの」という意味があるっすよ。
電子化された申請書や通知書をあらかじめ決められた作業手順(決裁ルート)に従って、決裁処理を行うこと。稟議・報告書・届出申請の承認手続きを電子化して、スピード向上、業務効率化、内部統制強化を図ることができます。
ITの有効活用
新システムの導入において、もっとも手っ取り早いのは製品化された市販のソフトウェアパッケージを導入するという方法です。オフィスツールと呼ばれるワープロや表計算のような汎用的なソフトウェアを集めたパッケージから、財務会計などの職種別のもの、製造業向けや小売業向けといった業種別のものまで様々なソフトウェアパッケージが存在します。
グループウェア
社内コミュニケーションのために導入されるツールをグループウェアといい、Web会議、電子メール、電子掲示板、ブログ、チャット、SNS、会議室予約、スケジュール管理などの機能があります。共同作業の場を提供することによって、組織としての業務効率を高めます。
BYOD
従業員が個人保有の情報端末を職場に持ち込み、自社のネットワークに接続するなどして、業務に利用できるようにすることをBYOD(Bring Your Own Device)といいます。
シェアリングエコノミー
利用者と提供者をマッチングさせることによって、個人や企業が所有する自動車、住居、衣服などの使われていない遊休資産を他者に貸与したり、空き時間に買い物代行、語学レッスンなどの役務を提供したりするサービスや仕組みをシェアリングエコノミーといいます。
確認○×問題
DFDにおいて、データフローや処理(機能)以外に記述されるものは、「データの処理に要する時間」「データの蓄積場所」「データの発生源や出力先」である。
(出典:令和元年度秋期分 問9一部改変)
答え:×
DFD(Data Flow Diagram)は、業務を構成する処理とその間で受け渡されるデータの流れを示した図で、ファイル(データストア)、データフロー、プロセス(処理)、外部(データ源泉)という4つの要素を用いて図を表します。
したがって、データフローと処理(機能)以外に記述されるものは、「データの蓄積場所(データストア)」と「データの発生源や出力先(外部)」となります。「データの処理に要する時間」はDFDにおいては記述されません。
図のDFDで示された業務Aでは、出荷の指示を行うとともに、製品関連のデータストアから、注文のあった製品の価格情報を得て、顧客の注文ごとの売上の集計などを行う。
(出典:平成27年度秋期分 問8一部改変)
答え:〇
まず、出荷部へ出荷指示に関するデータが流れていることから、業務Aでは出荷の指示を行っていることがわかります。また、管理部へ売上報告に関するデータが流れていますが、売上金額は「販売個数×単価」で算定されるため、データストア(ファイル)から製品単価に関するデータをもってきていることがわかります。
よって、業務Aでは出荷の指示と売上の集計などを行っていることになります。
業務の手順を改めて見直し、抜本的に再設計する考え方をBPMという。
(出典:平成28年度秋期分 問2一部改変)
答え:×
設問はBPRの説明です。BPR(Business Process Re-engineering)は、既存業務の手順を見直し、業務の流れを抜本的に再設計し、業務の効率化やコスト削減を目指す考え方です。
なお、BPM(Business Process Management)は、実際に業務を実行し、その改善や再構築を繰り返し行いながら業務改善を行っていく業務管理手法です。PDCAサイクル(計画→実行→監視→改善)を回しながら、継続的に改善活動を行います。
業務の実行結果などから業務プロセス自体を見直し、継続的な改善を図るという考えに基づいた業務改善手法をBPRという。
(出典:平成28年度春期分 問13一部改変)
答え:×
設問はBPMの説明です。BPRが臨時的・随時的な抜本的改革であるのに対して、BPMは経常的・継続的な改善活動であるという違いがあります。
社内の決裁申請手続の迅速化と省力化を狙いとして導入するシステムをワークフローシステムという。
(出典:平成25年度春期分 問12一部改変)
答え:〇
ワークフローシステムは、稟議・報告書・届出申請の承認手続きを電子化して、スピード向上、業務効率化、内部統制強化を図る機能です。
ロボットが、工場の製造現場で組立てなどの定型的な作業を人間の代わりに自動で行う。これはRPA(Robotic Process Automation)の事例である。
(出典:令和元年度秋期分 問33一部改変)
答え:×
RPA(Robotic Process Automation)は、人間が行ってきた定型的な事務作業を、ソフトウェアで実現したロボットに代替させることによって、自動化や効率化を図る技術です。
したがって、非定型的な作業を行うソフトウェアやハードウェアとしてのロボットはRPAの対象ではありません。
会社から貸与されたスマートフォンを業務で使用する。これはBYODの事例である。
(出典:令和4年度春期分 問17一部改変)
答え:×
BYOD(Bring Your Own Device)とは、従業員が個人保有の情報端末を職場に持ち込み、自社のネットワークに接続するなどして、業務に利用できるようにすることです。
したがって、会社から貸与されたスマートフォンを業務で使用したり、私物のスマートフォンを業務中に私的に使用したりすることはBYODではありません。