
人は目や耳などから情報をインプットし、脳で情報を分析・計算して、口や手足でアウトプットするっすが、実はコンピューターも同じことをしてるっす。

でもコンピューターには目や脳や手足はないよ?

コンピューターではいろんな装置がそれらの役割を果たしているんすよ。ここでは、人の脳の役割を果たすプロセッサについて学習するっす。
目標 | ・コンピュータの基本的な構成と役割を理解する。 |
説明 | ・コンピュータを構成する基本的な構成要素と,その中心であるプロセッサの基本的な仕組み,機能及び性能の考え方を理解する。 |
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コンピュータの5大装置とは
コンピュータは、演算、制御、記憶、入力、出力の5つの基本的な機能から構成されており、それぞれの役割を果たす装置のことを総称してコンピュータの5大装置と呼びます。

コンピューターの5つの機能
基本的に、コンピューターは次のような流れで処理を行います。
①入力装置によって命令やデータを取り入れます。
②取り入れた命令やデータをいったん記憶装置に記憶します。
③記憶した命令やデータを演算装置で演算(計算)します。
④演算結果を記憶装置に記憶します。
⑤記憶装置の演算結果を出力装置で表示します。
制御装置は全体の動きをコントロールしたり、動きの指示を出したりします。
コンピュータの5大装置
次のような装置が5つの機能の役割を果たします。
機能 | 代表的な装置 |
---|---|
制御 | CPU(中央演算処理装置) |
演算 | CPU(中央演算処理装置) |
記憶 | メモリ、HDD、SDDなど |
入力 | キーボード、マウス、マイク、カメラなど |
出力 | モニタ(ディスプレイ)、プリンタ、スピーカーなど |
電子機器で使用される最も主要な電子回路基板のことをマザーボードといいます。

マザーボードは、CPUやメモリなどの様々なパーツをつなげ、パソコンの動作を制御する重要なパーツであり、マザーボード上の回路を利用して電源の供給や装置間の通信を行います。
プロセッサとは
コンピュータの頭脳にあたる部分で、半導体材料を用いて作られた半導体装置のことをプロセッサと呼びます。プロセッサには、コンピュータの演算・制御の役割を担うCPUや画像処理に特化した処理を行うGPUなどがあります。

CPU
CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)は、コンピュータの主要な構成要素であり、データの演算やコンピュータ内の装置の制御などを行う装置です。
CPUは、演算や他の装置の制御などを行う回路を組み合わせた装置であるコア(プロセッサコア)と、コンピュータ内部でデータや信号を伝達するための経路であるバスを搭載しています。
従来は1つのCPUにコアは1つというのが一般的でしたが、近年では1つのCPUに複数のコアを搭載したマルチコアプロセッサも増えています。別の処理を複数のコアで分散して並列に実行することで性能を向上させることができます。

コアを2つ内蔵したものを「デュアルコアプロセッサ」、4つ内蔵したものを「クアッドコアプロセッサ」、6つ内蔵したものを「ヘキサコアプロセッサ」、8つ内蔵したものを「オクタコアプロセッサ」と呼びます。
GPU
GPU(Graphics Processing Unit)は、、コンピュータゲームに代表されるリアルタイム画像処理に特化したプロセッサです。
画像処理は膨大な演算が必要となるため、これをCPU1つに任せていると処理能力がそこに奪われて全体の処理スピードが遅くなってしまいます。そこで画像処理はGPUに任せることで、CPUの処理を軽減することができます。

CPUとGPUがいわば役割分担をしながらコンピューターを動かしているというイメージっすね。
GPUには、GPUが搭載された高性能な拡張ボード(グラフィックボード)や、CPUに内蔵されているもの(内蔵GPU)などがあります。
GPUの演算資源を画像処理以外(AIやビッグデータの処理、暗号解読、仮想通貨のマイニングなど)に応用する技術をGPGPU(General-purpose computing on graphics processing units; GPUによる汎用計算)といいます。
高い並列処理能力をもつGPUを画像や映像処理以外の領域で利用することによって、高価な並列計算機に匹敵する高速処理が可能になります。GPGPUの登場により、スーパーコンピュータでなければ実施できなかった複雑な計算を安価で行えるようになりました。
CPUの性能
CPUの性能は基本的に、クロック周波数やバス幅(一度の伝送で同時に送れるデータ量)、コア数などによって決まります。このうち、クロック周波数は計算問題として出題されることもあるため詳しく見ておきます。

例えば、オーケストラでそれぞれの楽器がみんなバラバラに演奏をすると全体として1つの音楽にはなりません。きれいな音楽を奏でるためには、オーケストラが指揮者の棒に合わせて一斉に楽器を弾かなければいけません。
それと同じように様々な装置が異なるタイミングでバラバラに処理をすると、全体の動きが不安定になったり不具合が生じるため、全体の処理のタイミングを合わせて一斉に動作をさせる必要があります。
CPUが処理をするタイミングを合わせる(同期を取る)ための信号をクロックと呼び、1秒当たりに処理できるクロックの回数ことをクロック周波数といいます。
クロック周波数はヘルツ(Hz)という単位を使い、1秒間に1回の信号(クロック)を処理できるクロック周波数を1Hzと表します。
例えば、1GHzのCPUは1秒間に10億回の信号を処理できるということになります。つまり、クロック周波数が高ければ高いほどCPUの性能が高いといえます。
クロック周波数が1.6GHzのCPUは、4クロックで処理される命令を1秒間に何回実行できるか?
クロック周波数が1.6GHzのCPUは1秒間に16億回の信号を処理できるということですが、この例題では1つの命令に4クロックかかるという点に注意してください。
したがって、1秒間で実行できる命令は4億回(=16億回÷4)となります。
CPU内部にはレジスタと呼ばれるデータを一時的に記憶する装置があります。このレジスタが一度に扱えるデータサイズが32ビットのものを32ビットCPU、64ビットのものを64ビットCPUといいます。もちろん、32ビットCPUよりも64ビットCPUのほうが性能はよくなります。
確認○×問題
コンピューターを構成する機能の一部である演算機能は、制御機能からの指示で演算処理を行う。
(出典:平成21年度秋期分 問72一部改変)
答え:〇
コンピューターの5つの機能のうち、制御機能は全体の動きをコントロールしたり、動きの指示を出したりする機能です。CPUがこの役割を担います。
GPUは暗号化処理用に開発されたプロセッサである。CPUに内蔵されている場合も多いが、より高度な暗号化処理を行う場合には、高性能なGPUを搭載した拡張ボードを用いることもある。
(出典:令和元年度秋期分 問95一部改変)
答え:×
GPUは画像処理用に開発されたプロセッサです。
マルチコアプロセッサでは、1台のPCに複数のマイクロプロセッサを搭載し、各プロセッサで同時に同じ処理を実行することによって、処理結果の信頼性の向上を図ることを目的とする。
(出典:平成25年度秋期分 問66一部改変)
答え:×
マルチコアプロセッサでは、1つのCPU内に演算などを行う処理回路(コア)を複数個もち、それぞれが同時に別の処理を実行することによって、処理能力の向上を図ることを目的としています。
デュアルコアプロセッサとは、1台のPCに2台のディスプレイを接続して、二つのディスプレイ画面にまたがる広い領域を一つの連続した表示領域にすることである。
(出典:平成29年度春期分 問57一部改変)
答え:×
デュアルコアプロセッサは、マルチコアプロセッサのうち、コアを2つ内蔵したものをいいます。なお、コアを4つ内蔵したものを「クアッドコアプロセッサ」、6つ内蔵したものを「ヘキサコアプロセッサ」、8つ内蔵したものを「オクタコアプロセッサ」と呼びます。
ちなみに、設問の内容はデュアルディスプレイの説明となります。
同じ構造のCPUにおいて、クロック周波数を上げると処理速度が向上する。
(出典:平成29年度秋期分 問75一部改変)
答え:〇
1秒当たりの処理できるクロックの回数ことをクロック周波数といいます。クロック周波数が高ければ、それだけ処理できるタイミングが多いということなのでCPUの性能が高いといえます。
クロック周波数2GHzのプロセッサにおいて1つの命令が5クロックで実行されるとき、1命令の実行に必要な時間は0.5ナノ秒である。
(出典:平成22年度秋期分 問57一部改変)
答え:×
クロック周波数2GHzのプロセッサでは、1秒間に20億回のクロック(処理のタイミング)があるということです。したがって、1クロックあたりの時間は1/20億秒となります。
20億(2,000,000,000)は「2×109」と表現できるため、1/20億秒は「1/(2×109)」=「1/2×1/109」=「0.5×10-9」と表すことができます。
10-9(1/10億)は1ナノなので、1クロックあたりの時間は「0.5×10-9=0.5ナノ秒」となります。
ただし、1つの命令が5クロックで実行されるため、1命令の実行に必要な時間は「0.5ナノ秒×5クロック=2.5ナノ秒」となります。