
従来は基本的に1台のコンピュータに処理を任せるといった形態が一般的だったっすが、1台のコンピュータができることはしれてるっすよ。

まぁコンピュータの能力にも限界があるだろうからね。それにたった1台じゃあ故障したときを考えると不安だし。

なので、現在の多くのシステムは複数台のコンピュータで構成されているっす。今回はどういったシステムの構成があるかについて勉強するっすよ。
目標 | ・システム構成の基本的な特徴を理解する。 |
説明 | ・システム構成には,処理形態,利用形態から見た様々な構成方式があることを知り,代表的なシステムの例と,分散処理方式の一つであるクライアントサーバシステムについて,基本的な特徴を理解する。 |
代表的な処理形態
現在では、多くのシステムは複数のコンピュータから構成されていますが、代表的な処理形態(どのように処理を分担して行うかという分類)には次のようなものがあります。
集中処理
システムの中心にある大型のコンピュータ(ホストコンピュータ)に全ての処理をさせる処理形態です。各端末はホストコンピューターに対して指示を出します。

長所 | 短所 |
---|---|
資源を集中させやすく、運用保守がしやすい。 | ホストコンピュータが停止した場合、システム全体が止まってしまう。 |
分散処理
ネットワークでつないだ複数のコンピュータで処理を分散して行う処理形態です。

長所 | 短所 |
---|---|
1台のコンピュータが停止してもシステム全体は停止しないで済む。 | 複数台のコンピュータの管理が必要なため、運用保守が複雑になる。 |
コンピュータを増やすことでシステムの規模や機能を拡張することができる。 | 不具合が発生した場合、原因の特定に時間がかかることがある。 |
複数のコンピュータで処理をおこなうことで負荷を分散できる。 |
クライアントサーバシステム
クライアントサーバシステムとは
クライアントサーバシステムとは、特定の役割を集中的に担当するコンピュータ(サーバ)と、利用者の操作するコンピュータ(クライアント)に役割を分け、これらが相互にネットワークで接続された処理方式の一つです。

利用者(クライアント)がサーバーに要求を送信し、サーバーがそれに応答を返す形で処理が行われるっす。
一言でサーバーといっても、ネットワーク上でファイルを保管・共有するためのファイルサーバ、複数のコンピュータから1台または複数のプリンタを共有して使えるようにするためのプリンタサーバ、大量のデータを保存・管理・検索できる「データベース」を提供するデータベースサーバなど、その役割によってさまざまな種類があります。
NAS(ナス:Network Attached Storage)は、パソコンに直接つなぐのではなく、LAN(ネットワーク)経由でアクセスするストレージ機器(データを保存するための機器)のことです。利用者からはあたかも外付けハードディスクに接続しているかのように利用できます。
Webシステム
インターネットや社内ネットワークを通じて、Webブラウザから利用できるシステムをWebシステムといいます。

クライアントサーバシステムでは、サーバーを操作するインターフェース(操作画面)を表示したりするための専用のソフトをインストールする必要がありますが、皆さんがお仕事で利用しているシステムでは、おそらく特定のソフトをインストールすることなく、Webブラウザから操作しているケースが多いと思います。
今では当たり前になりすぎてピンと来ないかもしれませんが、ほかにもECサイトやインターネットバンキング、SNSなども代表的なWebシステムです。
例えば、みなさんがAmazonなどで買い物をするとき、わざわざ専用のソフトウェアをインストールするということはしません。普通にインターネット経由でWebブラウザ上で買い物などをすると思います。

Webブラウザは非常に汎用性が高く便利なため「ゼロから操作画面を開発するよりもWebブラウザを利用したらいいんじゃない?」っていう発想っすね。
クライアント側にインターネット環境とWebブラウザがあれば利用できるため、新たに専用のソフトをインストールする必要がなく個々のPCの環境に依存せず利用できるといったメリットがあります。
シンクライアント
Webシステムをもっと突き詰めていくと、すべての処理やデータの保存などはサーバーに任せて、クライアント側はWebブラウザが使える環境さえあれば他に何もいらないんじゃない?という発想に行きつきます。
このように、クライアント側にはデータやアプリケーションなどを保存せずに必要最小限の機能のみを持たせ、サーバー側でほとんどすべての情報を管理するシステムのことをシンクライアントといいます。

シン(thin)には「薄い」という意味があるっす。
例えば、利用者が何かのアプリケーションを使用する場合、サーバー側でアプリケーションを立ち上げ、利用者が使う端末に画面だけを転送するという形で用いられます。
Webシステムではインターネットを使うため、ハッキングやデータ改ざん、不正アクセス、情報漏えいなどさまざまなセキュリティリスクがありますが、シンクライアントではクライアントの端末内にデータが残らないため、例えばノート型PCが盗まれた場合でも情報の漏洩が防げるなど、セキュリティ面でも注目されています。
また、サーバーのみを管理しておけばいい(個々の端末をメンテナンスする必要がない)ので、運用管理コストを低減できる、インターネットに接続できるネットワーク環境さえあれば、アクセスする場所を選ばず利用できるといったメリットもあります。

代表的なシステム構成
機能の向上や信頼性の向上などのため、分散処理といった複数台のコンピュータを活用した処理形態があるということはお話ししたとおりですが、それらをどのように構成するかといった観点からの分類をここでは見ていきます。
デュアルシステム
同じ処理を行うシステムを二重に用意し、処理結果をお互いに照合(クロスチェック)することで処理の正しさを確認するシステム構成です。片方のシステムに障害が発生した場合は、障害が発生していないシステムで縮退運転を行って処理を継続できるため、停止することが許されないような重要なシステムで用いられる構成です。

2台のコンピュータで同じ処理を行うので、処理能力が2倍になるわけではありません。
デュプレックスシステム
同じ構成の2つのシステムを用意し、1つを稼働用(主系)、もう1つを待機用(従系)とするシステム構成です。通常の業務では稼働用のシステム利用し、障害発生時には待機用のシステムに切り替えて処理を継続します。


デュアルシステムとデュプレックスシステムの区別は試験でもよく聞かれるっすよ。
待機用システムの待機方法として次のようなものがあります。
従系は電源を入れずに待機させておき、主系に障害が発生した際に、起動して従系に切り替える方法です。切り替えには時間がかかります。
従系でも主系と同じシステムを起動しておいて、常にデータの同期をとっておきます。主系に不具合や故障が発生した場合はすぐに従系に切り替えられますが、その分コストはかかります。
なお、あるデータベースのデータを、別のデータベースにリアルタイムまたは定期的にコピーして同期させ、データの整合性を確保するような機能をレプリケーションと呼びます。
代表的な利用形態
システムはその利用形態によって次のように分類することができます。
対話型処理
ディスプレイなどに表示されるコンピュータからの要求に答える形で、コンピュータとユーザーがやりとりをしながら処理を進めていく利用形態です。代表的なものにATMがあります。
ATMでは、「何をしますか?(入金や出金など)」→「カードを入れてください」→「金額を入力してください」などの要求が表示され、それに従って操作していきます。
リアルタイム処理
センサーなどからデータが入力された時点でその瞬間に、即座に処理を行う利用形態です。人間からの応答を待って処理するのでは遅すぎる場合やタイミングを逃すと意味がなくなるようなシステムなどに用いられます。代表的なものに自動運転や予約システムがあります。
バッチ処理
決められたタイミングで複数の処理をまとめて一括で実行する利用形態です。ユーザーの操作を待つことなく、あらかじめ用意されたデータや指示に従って、自動で連続的に処理を行います。代表的なものにバックアップ処理があります。
バックアップ作業を行うシステムでは、あらかじめ時間や期間を設定しておけば自動的にバックアップ処理をしてくれます。
確認○×問題
分散処理では、1台のコンピュータが停止してもシステム全体は停止しないで済むなどのメリットがある反面、複数台のコンピュータの管理が必要なため、運用保守が複雑になるなどのデメリットがある。
答え:〇
記述の通りです。分散処理は主に次のような長所と短所があります。
長所 | 短所 |
---|---|
1台のコンピュータが停止してもシステム全体は停止しないで済む。 | 複数台のコンピュータの管理が必要なため、運用保守が複雑になる。 |
コンピュータを増やすことでシステムの規模や機能を拡張することができる。 | 不具合が発生した場合、原因の特定に時間がかかることがある。 |
複数のコンピュータで処理をおこなうことで負荷を分散できる。 |
LANに直接接続して、複数のPCから共有できるファイルサーバ専用機をNASという。
(出典:平成25年度秋期分 問59一部改変)
答え:〇
記述の通りです。
シンクライアントでは、端末内にデータが残らないので、情報漏えい対策として注目されている。
(出典:平成22年度秋期分 問81一部改変)
答え:〇
記述の通りです。クライアントサーバシステムにおいて、クライアント側には必要最低限の機能しかもたせせず、サーバ側でアプリケーションソフトウェアやデータを集中管理するシステムをシンクライアントシステムといいます。
通常使用される主系と、その主系の故障に備えて待機しつつ他の処理を実行している従系の二つから構成されるコンピュータシステムはデュアルシステムである。
(出典:平成29年度秋期分 問87一部改変)
答え:×
設問はデュプレックスシステムの説明です。なお、デュアルシステムとは同じ処理を行うシステムを二重に用意し、処理結果を照合することで処理の正しさを確認するシステム構成です。
予備機を準備しておき、障害発生時に運用担当者が予備機を立ち上げて本番機から予備機へ切り替える方式をホットスタンバイ方式という。
(出典:平成26年度春期分 問56一部改変)
答え:×
設問はコールドスタンバイ方式の説明です。ホットスタンバイ方式とは、予備機をいつでも動作可能な状態で待機させておき、障害発生時に直ちに切り替える方式です。
一定期間又は一定量のデータを集め、一括して処理する方式をリアルタイム処理という。
(出典:平成30年度秋期分 問94一部改変)
答え:×
設問はバッチ処理の説明です。リアルタイム処理とは、センサーなどからデータが入力された時点でその瞬間に、即座に処理を行う方式です。