ファイルシステム

snack
snack

以前に学習したっすが、コンピューターは「0」か「1」の2つの数字しか扱えないっす。

ボキタロー
ボキタロー

2進数ってやつね。

snack
snack

なので、保存されているデータは「0」と「1」の数字の羅列になるっすよ。

ボキタロー
ボキタロー

「0」と「1」で表示されても意味わかんないね。

snack
snack

そこで、人間の目で分かるようにそれを「ファイル」として扱い、データを管理する仕組みをファイルシステムと呼ぶっす。

目標・ファイル管理の考え方を理解する。
・バックアップの基本的な考え方を理解する。
説明・職場でシステムを活用するという観点から,ファイル管理の考え方と,基本的な機能の使い方を理解する。
・システムの誤操作や障害によるファイルの破損に備えて,ファイルのバックアップの必要性,世代管理などの考え方を理解する。
ファイルシステムの概要

ファイル管理

前回学習したように、ファイル管理はアプリケーションソフトウェアで作成されたファイルを管理するOSの機能です。

ファイル管理では、様々なデータを「ファイル」として保存し、保存先であるディレクトリ(フォルダ)の作成・コピー・削除などの体系的な管理を行います。

ディレクトリ管理

ディレクトリ(フォルダ)とはファイルを保管する場所のことを指し、通常は階層構造を持っています。すべてのディレクトリの最上位をルートディレクトリと呼び、現在アクセスしているディレクトリのことをカレントディレクトリと呼びます。

上図のように、1番上の「根」、真ん中の「節」、一番下の「葉」と枝分かれしているような階層構造を木構造(ツリー構造)といいます。

ボキタロー
ボキタロー

木をひっくり返したような形をしているね。

ディレクトリの指定

ファイルを呼び出すためにはディレクトリの指定が必要となり、その指定の方法には絶対パス相対パスの2通りのやり方があります。なお、ディレクトリの区切りにはシステムによって「¥」や「/」を利用します。

絶対パス

ルートディレクトリから目的のディレクトリに至るまでのアクセス経路(パス)を示す方法です。

A1のディレクトリを指定する場合は「¥A¥A1」となります。なお、通常はルートディレクトリを省略します。

MEMO

「¥」の代わりに「/(スラッシュ)」を使って「/A/A1」と書く場合もあります。

相対パス

カレントディレクトリから目的のディレクトリを指定する方法です。

カレントディレクトリ(現在地)がBだったとすると、「..¥A¥A1」となります。なお、「..」は1つ上のディレクトリを指します。

バックアップ

バックアップとは

バックアップとは、機械の故障、誤操作、ウイルス感染、災害などによるデータの消失に備えてデータのコピーを作成し、別の場所(外付けハードディスク、クラウド、USBメモリなど)に保存しておくことをいいます。

バックアップの種類

フルバックアップ

すべてのデータを丸ごとコピーする方法。データが大きくなるため、バックアップ作業に時間がかかりますが、復旧の際は最新のバックアップデータ1つで済むので復旧作業は簡潔に行うことができます。

差分バックアップ

フルバックアップからの変更分をコピーする方法。フルバックアップ後の時間がたつほどデータが大きくなるため、バックアップ作業に時間がかかりますが、フルバックアップと差分バックアップの2ファイルだけでデータの復元が可能なので、復旧作業は比較的簡潔に行うことができます。

4月3日業務終了後のデータ(フルバックアップ)
登録日ユーザー名住所
4月1日佐藤一郎東京都
4月2日田中二郎大阪府
4月3日鈴木三郎北海道
4月3日業務終了後のデータ
4月4日業務終了後のデータ
登録日ユーザー名住所
4月1日佐藤一郎沖縄県
4月2日田中二郎大阪府
4月3日鈴木三郎北海道
4月4日渡辺四郎広島県
4月4日業務終了後のデータ

差分バックアップでは、フルバックアップ以降に変更があったデータをすべてバックアップします。この例では、佐藤さんの住所データと渡辺さんのデータのバックアップをとります。

4月5日業務終了後のデータ
登録日ユーザー名住所
4月1日佐藤一郎沖縄県
4月2日田中二郎大阪府
4月3日鈴木三郎兵庫県
4月4日渡辺四郎広島県
4月5日高橋五郎長野県
4月5日業務終了後のデータ

差分バックアップではフルバックアップ以降に変更があった、佐藤さんと鈴木さんの住所データ、および渡辺さんと高橋さんのデータのバックアップをとります。

MEMO

仮に4月6日に障害が発生した場合は、4月3日のフルバックアップと4月5日の差分バックアップを使って復旧します。

増分バックアップ

前回のバックアップ以降に変更・追加されたデータだけをコピーする方法。データ量が少ないため、バックアップ作業にかかる時間が短くて済みますが、バックアップファイルが複数になるため、復旧作業は煩雑になります。

4月3日業務終了後のデータ(フルバックアップ)
登録日ユーザー名住所
4月1日佐藤一郎東京都
4月2日田中二郎大阪府
4月3日鈴木三郎北海道
4月3日業務終了後のデータ
4月4日業務終了後のデータ
登録日ユーザー名住所
4月1日佐藤一郎沖縄県
4月2日田中二郎大阪府
4月3日鈴木三郎北海道
4月4日渡辺四郎広島県
4月4日業務終了後のデータ

増分バックアップでは、前回のバックアップ(4月3日のフルバックアップ)以降に変更があったデータのみをバックアップします。この例では、佐藤さんの住所データと渡辺さんのデータのバックアップをとります。

4月5日業務終了後のデータ
登録日ユーザー名住所
4月1日佐藤一郎沖縄県
4月2日田中二郎大阪府
4月3日鈴木三郎兵庫県
4月4日渡辺四郎広島県
4月5日高橋五郎長野県
4月5日業務終了後のデータ

増分バックアップでは、前回のバックアップ(4月4日のバックアップ)以降に変更があったデータ、すなわち鈴木さんの住所データと高橋さんのデータのみをバックアップします。

MEMO

仮に4月6日に障害が発生した場合は、4月3日のフルバックアップと4月4日および4月5日の増分バックアップを使って復旧します。

さらっと学習【世代管理とアーカイブ】

世代管理

もし1つのタイミングで保存したバックアップファイルしか存在しない場合、それが破損していたらデータの復元はできなくなってしまいます。そこで、複数のタイミングでコピーしたバックアップファイルを保存しておきます。これを世代管理といいます。

直前のバックアップを第1世代、その前のバックアップを第2世代といったように保存しておくことで、万が一第1世代のバックアップが破損していた場合は第2世代を利用して復元が可能になります。

アーカイブ

バックアップがデータの復旧を目的として行われるのに対して、将来参照する可能性のある複数のファイルを1つにまとめて長期保存することをアーカイブといいます。アーカイブは頻繁に変更や使用がされないデータを対象とし、保存期間はバックアップよりも長期となります。

確認○×問題

問1

ファイルシステムに関する次の記述中の(a)~(c)に入れる字句の適切な組合せは(a)が”ルート”、(b)が”カレント”、(c)が”絶対”である。

PCでファイルやディレクトリを階層的に管理するとき、最上位の階層に当たるディレクトリを(a)ディレクトリ、現時点で利用者が操作を行っているディレクトリを(b)ディレクトリという。(b)ディレクトリを基点としてファイルやディレクトリの所在場所を示す表記を(c)パスという。

答え:×

ルートディレクトリから目的のディレクトリに至るまでのアクセス経路(パス)を示す方法を絶対パスといいます。また、カレントディレクトリから目的のディレクトリを指定する方法を相対パスといいます。

よって、正しい記述は次のようになります。

PCでファイルやディレクトリを階層的に管理するとき、最上位の階層に当たるディレクトリを(a.ルート)ディレクトリ、現時点で利用者が操作を行っているディレクトリを(b.カレント)ディレクトリという。(b.カレント)ディレクトリを基点としてファイルやディレクトリの所在場所を示す表記を(c.相対)パスという。

(a)が”ルート”、(b)が”カレント”、(c)が”相対”となるため誤りです。

問2

図に示す階層構造において、カレントディレクトリが*印のディレクトリであるとき、相対パス指定で ..¥..¥B¥B によって指定したディレクトリと同じディレクトリを絶対パス指定したものは ¥B¥B である。

〔ディレクトリ及びファイルの指定方法〕

(1)ファイルは,”ディレクトリ名¥ディレクトリ名¥ファイル名”のように,経路上のディレクトリを順に”¥”で区切って並べた後に”¥”とファイル名を指定する。
(2)カレントディレクトリは”.”で表す。
(3)1階層上のディレクトリは”..”で表す。
(4)始まりが”¥”のときは,左端にルートディレクトリが省略されているものとする。
(5)始まりが”¥”,”.”,”..”のいずれでもないときは,左端にカレントディレクトリ配下であることを示す”.¥”が省略されているものとする。

答え:×

相対パス指定で ..¥..¥B¥B によって指定したディレクトリは次のように一番右下の「B」となります。

これを絶対パスで指定すると ¥B¥B¥B となります。

問3

図に示すような階層構造をもつファイルシステムにおいて、*印のディレクトリ(カレントディレクトリ)から「..¥..¥DIRB¥Fn.txt」で指定したときに参照されるファイルは②のFn.txtである。ここで、図中の▭(長方形)はディレクトリ名を表し、ファイルの指定方法は次のとおりである。

〔指定方法〕
(1)ファイルは「ディレクトリ名¥…¥ディレクトリ名¥ファイル名」のように、経路上のディレクトリを順に「 ¥ 」で区切って並べた後に「 ¥ 」とファイル名を指定する。
(2)カレントディレクトリは「 . 」で表す。
(3)1階層上のディレクトリは「 .. 」で表す。
(4)始まりが「 ¥ 」のときは、左端のルートディレクトリが省略されているものとする。

答え:×

*印のディレクトリ(カレントディレクトリ)から「..¥..¥DIRB¥Fn.txt」で指定したときに参照されるファイルは④のFn.txtとなります。

問4

A社は業務で使用しているサーバのデータをサーバのハードウェア障害に備えてバックアップをしたいと考えている。次のバックアップ要件を満たす計画のうち、 A社のバックアップ計画として適切なものは「ウ」である。

〔バックアップ要件〕
・サーバ障害時には障害が発生した前日の業務終了後の状態に復旧したい。
・業務で日々更新するデータは全体に比ベてごく少量だが、保有しているデータ量が多く、フルバックアップには時間が掛かるので、月曜日~土曜日にはフルバックアップを取ることができない。

答え:〇

〔バックアップ要件〕に「サーバ障害時には障害が発生した前日の業務終了後の状態に復旧したい」とあるため、適切なバックアップ方法としては、日曜日のフルバックアップとフルバックアップからの変更分を毎日コピーした差分バックアップを組み合わせるのが適切なバックアップ方法となります。

また、サーバー内にバックアップファイルを保存するとサーバーに障害が発生した場合、バックアップファイルも破損してしまう可能性があります。そのため、外部のメディア(外付けHDDやDVD-Rなど)に保存するのが適切なバックアップファイルの保存場所となります。

よって、正解はこの2つの条件を満たす「ウ」です。

問5

毎週日曜日の業務終了後にフルバックアップファイルを取得し、月曜日~土曜日の業務終了後には増分バックアップファイルを取得しているシステムがある。水曜日の業務中に故障が発生したので、バックアップファイルを使って火曜日の業務終了時点の状態にデータを復元することにした。データ復元に必要なバックアップフアイルは「日曜日のフルバックアップファイル、月曜日と火曜日の増分バックアップファイル」である。

ここで、増分バックアップファイルとは、前回のバックアップファイル(フルバックアップファイル又は増分バックアップファイル)の取得以降に変更されたデータだけのバックアップファイルを意味する。

答え:〇

水曜日の業務中に故障が発生した場合、まず日曜日のフルバックアップファイルを使って日曜日の状態にデータを復元し、月曜日と火曜日の増分バックアップファイルを使って「月曜日の業務終了後の状態→火曜日の業務終了後の状態」に復元することが可能です。

よって、データ復元に必要なバックアップフアイルは「日曜日のフルバックアップファイル、月曜日と火曜日の増分バックアップファイル」となります。

問6

多くのファイルの保存や保管のために、複数のファイルを一つにまとめることをアーカイブと呼ぶ。

答え:〇

記述の通りです。バックアップがデータの復旧を目的として行われるのに対して、将来参照する可能性のある複数のファイルを1つにまとめて長期保存することをアーカイブといいます。