
音声・画像・映像・文字・アニメーションなど複数のメディア形式を組み合わせたものをマルチメディアと呼ぶってことは前回学習したっす。

したっすよ。でも具体的にマルチメディアってどんなものがあるんだろうね?

今回はその辺を中心に勉強するっす。現代社会では、あらゆる分野でマルチメディアが活用されているんすよ。
目標 | ・マルチメディア技術の応用目的や特徴を理解する。 |
説明 | ・表現技術としてのグラフィックス処理の特徴を理解するとともに,マルチメディア技術を応用した様々な分野があることを理解する。 |
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グラフィックス処理
コンピュータグラフィックス(Computer Graphics)とは、コンピュータを使って画像や映像を生成・操作・表示する技術全般を指します。略して「CG」と呼ばれることも多く、ゲーム、映画、デザイン、科学など幅広い分野で活用されています。
色の表現
コンピューターでは、再現可能な色の範囲を数値で体系化した色空間と呼ばれる数学的なモデルで決定します。異なる色空間を使うことで色の再現方法や表示結果が変わります。

たとえば「赤」と言っても、画面や印刷物によって見える色は少しずつ違うっすよね。その違いを正確に扱うために「赤は数値でこう定義しよう」と決めたのが色空間っす。
コンピュータグラフィックスでよく使われる色空間の主な種類には次のようなものがあります。
光の3原色(RGB)

赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の3色を組み合わせる色表現です。最も基本的な色空間で、ディスプレイやモニターで使用されます。光を重ねることで明るさが増し最終的に白になるため加法混色と呼ばれます。
色の3原色(CMY)

シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)の組み合わせによる色表現で、印刷用に使用されます。なお、3色全てを掛け合わせると理論上は黒になりますが、印刷時には黒(Key tone )インクを用いることも多いためCMYKと呼ぶこともあります。色を重ねるほど暗くなるため減法混色と呼ばれます。
HSV(マンセルカラーシステム)は、色を「色相(Hue)・明度(Value)・彩度(Chroma)」の3つの属性で体系的に表現する色彩モデルです。

画像の品質
コンピューター上での画像の品質は、画素(ピクセル)、解像度及び階調といった要素によって決まります。
画素(ピクセル)
画素(ピクセル)はデジタル画像を構成する最小単位です。各ピクセルは色と明るさの情報を持ち、無数のピクセルが集まって画像を形成します。
解像度
解像度 は、画像内のピクセルの数を示します。たとえば「1920×1080」は、横1920ピクセル、縦1080ピクセルを意味します。物理的に同じ面積の画面では、ピクセル数が多い(=高解像度)ほど画像は詳細で滑らかになり、逆にピクセル数が少ないと画像が「ぼやける」「粗くなる」など、品質が劣化して見えることがあります。
dpi(dots per inch)は、印刷やスキャン、ディスプレイにおける解像度(きめ細かさ)を表す単位です。直訳すると「1インチあたりのドット数」で、密度が高いほど精細でくっきりした表示や印刷になります。主に印刷物やスキャナーの性能を示す際に使われますが、ディスプレイではppi(pixel per inch )を使うこともあります。
階調

階調は色や明るさの濃淡の段階的な変化を指します。階調が多いほど、なめらかなグラデーションとなり、写真の立体感や深みが出ます。
グラフィックスソフトウェア
グラフィックスソフトウェアの種類
コンピュータ上で画像の編集を行うためのソフトウェア(グラフィックスソフトウェア)は、目的や用途などによって次のように分類されます。
・ペイント系(ラスター形式)ソフトウェア:画像をピクセルの集合(ラスター形式)として扱うタイプのソフトウェアで、色の種類や明るさがピクセルごとに調節できますが、画像の拡大・縮小によって劣化が生じます。主に写真の加工や、手描き風イラスト、ドット絵などに適しています。

・ドロー系(ベクター形式)ソフトウェア:画像を点・線・図形などの数学的なデータ(ベクター形式)として扱います。拡大・縮小しても劣化しないため、主にロゴ制作、図解、イラスト、印刷物のデザインなどに向いています。また、CAD(コンピュータ支援設計)でも広く用いられます。
グラフィックスソフトウェアの操作
・クリッピング:描画する領域(ビューポート)からはみ出した部分を切り捨てる処理です。2D(2次元)だけでなく3D(3次元)CGでも利用できます。

・アンチエイリアシング:コンピューターグラフィックスで発生するジャギー(ギザギザ)を目立たなくするための技術です。周囲のピクセルに中間色を追加することで、斜め線や曲線を滑らかに見せるために使われます。
マルチメディア技術の応用
現代社会ではあらゆる分野でマルチメディア技術が活用されています。マルチメディア技術を応用した分野の代表例としては次のようなものがあります。
仮想現実(VR:Virtual Reality)
仮想現実(VR:Virtual Reality)とは、コンピューターによって創り出された仮想的な空間などを現実であるかのように疑似体験できる技術です。

拡張現実(AR:Augmented Reality)
拡張現実(AR:Augmented Reality)とは、現実の風景の中にCGでつくられた3D映像やキャラクターなどのデジタルコンテンツやデータを重ねて表示する技術です。

複合現実(MR:Mixed Reality)
複合現実(MR:Mixed Reality)とは、現実世界と仮想世界を複合・融合させ、相互にリアルタイムで影響し合う空間を構築する技術です。医療現場において、遠隔での手術の実現などに活用されています。

インターネット上に構築された仮想空間や仮想世界のことを指し、ユーザーが自分の分身となるアバターを使ってその中で他人と交流したり、経済活動、仕事、娯楽などを行える三次元のオンライン空間です。
現実世界の現象や仕組みを模倣し、仮想的に再現して観察・分析・予測する手法です。なお、シミュレーションを実際に行うための手段やツールのことをシミュレータと呼び、実現困難な実験や予測、危険を伴う操作の練習などを疑似的に行うことができます。自動車教習所で使用されている自動車シミュレータ、パイロット訓練のためのフライトシミュレータ、医師の練習に使用される手術シミュレータなどがあります。
確認○×問題
ディスプレイ画面の表示では、赤・緑・青の3色を基に、加法混色によって様々な色を作り出している。赤色と緑色と青色を均等に合わせると白色になる。
(出典:平成26年度春期分 問80一部改変)
答え:〇
正しい記述です。光の3原色(RGB)は、赤(Red)緑(Green)青(Blue)の3色を組み合わせる色表現です。最も基本的な色空間で、ディスプレイやモニターで使用されます。光を重ねることで明るさが増し最終的に白になるため加法混色と呼ばれます。
プリンターなどの印刷において表示される色について、シアンとマゼンタとイエローを減法混色によって混ぜ合わせると、理論上は青色になる。
(出典:平成26年度秋期分 問73一部改変)
答え:×
シアンとマゼンタとイエローを減法混色によって混ぜ合わせると、理論上は黒色になります。
色の3原色(CMY)は、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)の組み合わせによる色表現で、印刷用に使用されます。なお、3色全てを掛け合わせると理論上は黒になりますが、印刷時には黒(Key tone )インクを用いることも多いためCMYKと呼ぶこともあります。色を重ねるほど暗くなるため減法混色と呼ばれます。
ペイント系ソフトウェアで用いられ、グラフィックスをピクセルと呼ばれる点の集まりとして扱う方法であるラスターグラフィックスでは、拡大しても図形の縁などにジャギー(ギザギザ)が生じない。
(出典:平成25年度秋期分 問61一部改変)
答え:×
ペイント系(ラスター形式)ソフトウェアは、画像をピクセルの集合(ラスター形式)として扱うタイプのソフトウェアで、色の種類や明るさがピクセルごとに調節できますが、画像の拡大・縮小によって劣化が生じます。
拡大・縮小しても劣化しないのはドロー系(ベクター形式)ソフトウェアです。
実際の環境を捉えているカメラ映像などに、コンピュータが作り出す情報を重ね合わせて表示する技術をプロジェクションマッピングという。
(出典:平成28年度春期分 問100一部改変)
答え:×
設問は拡張現実(AR)に関する記述です。なお、プロジェクションマッピングとは建物や物体などの立体物に、コンピュータグラフィックスを用いた映像などを投影し、様々な視覚効果を出す技術です。
ユーザーが自分の分身となるアバターを使って他人と交流したり、経済活動、仕事、娯楽などを行えるインターネット上に構築された仮想空間や仮想世界のことをシミュレーションという。
答え:×
設問はメタバースに関する記述です。なお、シミュレーションとは現実世界の現象や仕組みを模倣し、仮想的に再現して観察・分析・予測する手法です。