
前回簡単に触れたっすが、IPアドレスとはコンピュータ(機器)自体を識別する番号っす。インターネット上の住所情報のようなものっすね。

IPアドレスが分かればコンピューターが特定できるんだね。

その通りっす。しかしIPアドレスの数には限りがあるので、従来からのIPアドレスが足りなくなってきてるんすよ。

今はPCだけじゃなくていろんな機器がインターネットに接続できるからね。足りなくなるわけだ。

なので、足りないIPアドレスをカバーするために様々な工夫がされてるんす。
目標 | ・インターネットの基本的な仕組みとサービスの特徴を理解する。 ・通信サービスの特徴,伝送速度などを理解する。 |
説明 | ・インターネットの基本的な仕組みを理解するとともに,電子メールなどインターネット上のサービスの特徴を理解する。 ・インターネットなどの通信を行うための通信サービスの特徴を理解する。 |
IPアドレスとドメイン
インターネットをはじめとするTCP/IPを利用したネットワークの全体像はおおよそ次のようになっています。

LAN内にあるノード(機器)にはそれぞれIPアドレスが割り当てられており、LAN内ではこのIPアドレスを指定することで直接データのやり取りを行います。
LAN内のノードがインターネットに接続する場合は、ルーターを経由して外へ出ていき、目的のウェブサイトを運営しているWebサーバにアクセスします。そして、そのWebサーバからの返事をもらうかたちでWebサイトのデータを閲覧します。
IPアドレスとは
IPアドレスとは、ネットワークに接続された機器(コンピュータ、スマートフォン、プリンターなど)を識別するための住所のようなものです。通信相手を識別し、データを正しく送受信するために使われます。
これまでは、IPv4と呼ばれる32ビット表現でIPアドレスを管理してきましたが、世界中にインターネットに接続できる機器が増えたため、IPアドレスの枯渇が問題になり、IPv6と呼ばれる128ビットの次世代のしくみへの移行が進んでいます。
「8ビット.8ビット.8ビット.8ビット」の32ビットの数値で表され、約43億個のアドレスが作れます。8ビットは「0」と「1」から成る8桁の数字ですが、これだと人間にとってわかりずらいので、通常は10進数の4つの数字で表します。

IPv4の枯渇に対応するための新しい方式で、8つの16ビット(4桁の16進数)の128ビットで構成されており、コロンで区切ります(例:2001:db8::1)。2の128乗個(約340兆の1兆倍の1兆倍)のアドレスが作れます。

約340澗(がん)個のアドレスが作れるっす。ほぼ無限といってもいいっすね。
DNS
DNS(Domain Name System)は、人が読みやすいドメイン名(例:inuboki.com)を、機械が理解できるIPアドレスに変換する仕組みです。
インターネット上の通信は、すべてIPアドレスを使って行われていますが、IPアドレスは数字の羅列なので覚えにくく、人間にとってわかりづらいものです。そこで、「名前(ドメイン)」と「住所(IPアドレス)」を結びつける電話帳のようなシステムとなるのがDNSです。
ドメイン
ドメインとは、インターネット上で特定の場所(サーバーなど)を識別するための「名前」です。ドメイン名は世界に一つしかなく、原則的に先着順で取得することができます。アルファベットだけでなく漢字やひらがなも使うことができ、URLや電子メールアドレスなどに利用されます。
ドメインには、分野別(「.com」「.org」など)や国別(「.jp」「.us」など)のトップレベルドメインと、トップレベルドメインの直前にある部分で、ドメインを利用している組織の属性を示す「.co」(企業)「.ac」(大学など)といったセカンドレベルドメインがあります。
ドメイン名を利用したWebサイトのアドレス(例:https://inuboki.com)のことをURLと呼びます。

IPアドレスの種類
LAN内のノードがインターネットに接続する場合、「このデータを見たい」という要求(リクエスト)をするには、目的地となるWebサーバのIPアドレスが必要になるのは当然ですが、自分たちのIPアドレスも渡さなければ返事(レスポンス)が帰ってきません。

手紙と一緒っすね。自分の住所を相手に教えなければ返事が返ってこないっす。
先述したように、IPv4ではIPアドレスが足りなくなっているという問題があります。そこで、この問題を解決するためにIPアドレスをグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスに分類して運用するというやり方をとっています。
グローバルIPアドレス
インターネット上で一意に使われるIPアドレスです。世界に1つしかなく、インターネットに直接接続される機器(ルータなど)が使います。

独自のグローバルIPアドレスを持たない企業や個人は、インターネット接続サービス事業者(ISP:Internet Service Provider)からグローバルIPアドレスを一時的に借りてインターネットに接続します。
プライベートIPアドレス
家庭・企業内LANだけで使うIPアドレスで、同じLAN内では1つである必要がありますが、異なるLANでは同じアドレスを世界中の家庭や会社で自由に重複して使えます。ただし、そのままではインターネットに接続できないため、ルータを中継してグローバルIPアドレスを割り当てることで、インターネットに接続します。

例えるなら、グローバルIPアドレスがマンションの住所で、プライベートIPアドレスが部屋番号のようなものです。特定のマンションの住所は世界にただ1つですが、「101号室」という部屋番号は無数にあります。
NAT
NAT(Network Address Translation)とは、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互に変換する技術です。プライベートIPアドレスは重複しているため、インターネット上では使えません。また、世界中のすべてのノードに異なるIPアドレスを割り当てるとIPv4のIPアドレスは足りなくなってしまいます。
そこで、ルーターなどがNATを使って、1つのグローバルIPでLAN内にある複数の機器を代表させることで、ひとつの外部IP(グローバルIPアドレス)によって会社・家庭内の複数の端末がネット接続できるようになり、IPアドレスの節約(IPv4アドレス不足への対策)となります。

マンションの住所(グローバルIPアドレス)宛てに帰ってきた返事を、そのマンション内の部屋番号(プライベートIPアドレス)によって割り振ればいいというわけっす。
IPアドレスの構造(IPv4)
IPアドレス(IPv4)は、所属しているネットワークを識別するためのネットワーク部と、ネットワーク内の端末を識別するためのホスト部に分かれます。
IPアドレス内のネットワーク部とホスト部の境界は、ネットマスク(サブネットマスク)と呼ばれる情報を組み合わせることで分かります。
ネットマスクとは、IPアドレスに対応する32ビットのビット列で、通常は10進数で表記されます。「1」の部分がネットワーク部、「0」の部分がホスト部を表します。
例:IPアドレス 192.168.1.10
/ ネットマスク 255.255.255.0
①IPアドレスを2進数表記
192.168.1.10 → 11000000.10101000.00000001.00001010
②ネットマスクを2進数表記
255.255.255.0 → 11111111.11111111.11111111.00000000
③両者を掛け合わせる

この場合、最初の24ビットがネットワーク部で、残りの8ビットがホスト部を表すので、所属するネットワークアドレスは「192.168.1.0」で、ホスト部の範囲は「192.168.1.1 ~ 192.168.1.254」となります。
アドレスクラスは、ネットワークの規模に合わせた分類です。管理者は自身が管理するホスト(PCやネットワーク機器)の台数に適したクラスを選択します。
クラス | 範囲 | 用途例 |
---|---|---|
A | アドレス範囲:10.0.0.0~10.255.255.255 ネットマスク:255.0.0.0 ネットワーク部:8ビット ホスト部:24ビット(約1,677万ホスト) | 大企業、データセンターなど |
B | アドレス範囲:172.16.0.0~172.31.255.255 ネットマスク:255.255.0.0 ネットワーク部:16ビット ホスト部:16ビット(約65,000ホスト) | 中規模ネットワーク |
C | アドレス範囲:192.168.0.0~192.168.255.255 ネットマスク:255.255.255.0 ネットワーク部:24ビット ホスト部:8ビット(256ホスト) | 家庭用ルーターや小規模LAN |
確認○×問題
①~④のうち、PCに設定するIPv4のIPアドレスの表記の例として、適切なものは③である。
① 00.00.11.aa.bb.cc
② 050-1234-5678
③ 10.123.45.67
④ http://www.example.co.jp/
(出典:令和2年度秋期分 問75一部改変)
答え:〇
記述の通りです。
①MACアドレスの表記例です。MACアドレスは通常、6バイト(48ビット)で構成され、各バイトを16進数で表記します。
②電話番号(IP電話)の表記例です。
③IPv4のIPアドレスの表記例です。「8ビット.8ビット.8ビット.8ビット」の32ビットの数値で表記されます。
④URLの表記例です。
膨大な数のIoTデバイスをインターネットに接続するために大量のIPアドレスが必要となり、IPアドレスの長さが128ビットで構成されているインターネットプロトコルを使用することにした。このプロトコルはIPv4である。
(出典:令和4年度春期分 問73一部改変)
答え:×
IPv4は「8ビット.8ビット.8ビット.8ビット」の32ビットの数値で表され、約43億個のアドレスが作れます。IPアドレスの長さが128ビットで構成されているインターネットプロトコルはIPv6です。
DNSは、IPネットワークに接続しようとするコンピュータに、IPアドレスなどを自動的に割り当てるプロトコルである。
(出典:令和7年度春期分 問58一部改変)
答え:×
設問の文章はDHCPの説明です。DNS(Domain Name System)は、ドメイン名とIPアドレスを対応付ける仕組みです。
インターネットで使用されているドメイン名とは、通信を行うアプリケーションを識別するための名前である。
(出典:令和6年度春期分 問71一部改変)
答え:×
設問の文章はポート番号の説明です。
ドメイン名とは、コンピュータやネットワークなどを識別するための名前です。アルファベットだけでなく漢字やひらがなも使うことができ、URLや電子メールアドレスなどに利用されます。
NATに関する次の記述中の a、b に入れる字句の適切な組合せは、aが「ホスト名」、bが「MACアドレス」である。
NATは、職場や家庭のLANをインターネットへ接続するときによく利用され、( a )と( b )を相互に変換する。
(出典:令和元年度秋期分 問65一部改変)
答え:×
NAT(Network Address Translation)とは、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互に変換する技術です。
サブネットマスクは、IPアドレスのネットワークアドレス部とホストアドレス部の境界を示すのに用いられる。
(出典:平成30年度秋期分 問97一部改変)
答え:〇
記述の通りです。ネットマスク(サブネットマスク)は、IPアドレスの「ネットワーク部分」と「ホスト部分」を分ける境界線の役割を持ちます。