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日商簿記3級(第151回)出題の意図と講評

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第1問

出題の意図

今回は応用力を試したところもありますが、取引の説明から初見でも解けることが望まれます。特にポイントになるところは次のとおりです。

1.通常の返品の問題です。

2.中古車ですが販売用でかつ、当店は中古車販売業のため、商品売買取引に該当します。今回は指定の勘定科目を限定することで平易な出題としました。

3.土地付き建物を購入した場合、建物の取得原価は減価償却の対象であるのに対し土地は対象外であるため、取得原価は貸借対照表だけではなく損益計算書にも影響します。そこで、取得時には手数料も含めて正確に取得原価を算定して記録する必要があります。

4.諸経費を従業員が立て替え払いして企業から後日支払う取引は過去にも数回出題していますが、今回は各項目を適切な費用の勘定科目に分類することも必要です。

5.元金均等返済は過去に数回出題していますが、今回は利息の計算も各自で計算となります。問題文で説明があるとおり、返済額に対する利息を支払うのではなく、借入金として残っている元本に対する利息を支払うため、注意してください。

講評

今回は合格率にも現れているように、正答率が高かったように見受けられます。しかし、次のところについては誤りが目立ちました。

3.売買手数料を独立した費用(支払手数料)として処理している。仕訳の建物と土地の金額が逆になっている。

5.利息の金額を間違っている。当座預金からの引き落としの仕訳になっている。

3.について、問題文で「手数料」と記載されていても取引内容に応じて資産の取得にかかる付随費用として取得原価に含める場合と独立した費用(支払手数料)とする場合の2つがあるため、注意が必要です。他の上記の誤りについては、問題文をしっかり読めば正解を導けるはずですので、落ち着いて解くようにしてください。特に、5.の預金については、本問の指定勘定科目に「当座預金」はありませんので、このようなミスがないよう心がけてください。なお、預金に関して「預」の字の左側が「予」ではなく「矛」となっている答案も見かけます。問題文に「正確に記入すること」とあるように、漢字間違いも誤答となりますから、この点についても注意が必要です。

第2問

出題の意図

総勘定元帳の買掛金勘定と、補助元帳である買掛金元帳との関係を適切に理解しているかを問う問題です。以下の点について十分に理解していれば比較的容易に高得点が得られるはずです。

①買掛金勘定は買掛金元帳を集約した勘定。買掛金元帳は買掛金勘定の内訳を示す帳簿。

②買掛金勘定には相手勘定を記入。買掛金元帳には取引の概要を示す帳簿。

前月繰越、次月繰越の記入場所も問題を解く上で重要となるため、この点にも注意することが必要です。

講評

全般的に正答率は高く、良くできていました。ただし、金額については①と④に誤答が集中していました。

①については金額を求めるまでにいくつかの段階をふまなければならなかったのですが、その途中で誤ってしまう受験者が多かったものと思われます。

④については買掛金勘定、補助元帳ともに次月繰越、前月繰越の適切な記入場所を把握していれば比較的容易に解答を導き出すことができます。

総勘定元帳や補助元帳の記入の仕方および両者の関係についての基本を理解する必要があります。

語句についてはDに誤答が多く見られました。基本的なことですが、仕訳における借方と貸方と、勘定における相手勘定の記載は貸借が逆になります。この点に注意して解答することが要求されます。

第3問

出題の意図

合計試算表ですので、解答にあたっては残高を記入しないように気をつける必要があります。取引そのものは基本的で、集計ミスさえしなければそれほど難しくない問題です。過去に出題が少ないと思われる項目として「従業員貸付金」がありますが、概ね短期的な給料の前貸しなら「立替金」、従業員の多額の医療費などに対する中長期的な融資制度による貸付けなら「従業員貸付金」という使い分けができます(この使い分けは絶対的なものではありません)。

講評

今回は取引数が多いものの複雑な取引が少なかったため、高得点の答案が多かったです。やや気になった間違いとして、合計試算表ではなく残高試算表を作成している、現金過不足について貸借を逆で処理している、給料関係の間違い(給料、所得税預り金、従業員貸付金)がありました。このうち、現金過不足は実際の現金が少ない場合の出題が多いものの、お釣りの間違いなどによって本問のように実際の現金の方が多いこともあり得ます。帳簿と実際有高の大小に関係なく、常に帳簿残高を実際の現金に合わせるように調整することに注意が必要です。

第4問

出題の意図

本問は、商品有高帳に関する問題です。

問(1)では、移動平均法で商品有高帳を作成できるかを問いました。売上戻りの記入方法については、問題文の指示に従えば、解答を導くことができます。

問(2)では、売上戻りがあった場合の売上原価を求めることができるかを問いました。売上戻りがあった場合、その分の売上自体がなかったことになるので、売上戻り分の原価は控除する必要があります。「売上原価」を苦手とする受験者は多いですが、精算表や財務諸表の作成問題でも重要な論点ですので、しっかり学習しておいてください。

問(3)では、先入先出法による場合の商品の次月繰越高を求めることができるかを問いました。簡易的な商品有高帳を作成しても解答することができますが、先入先出法は先に仕入れた商品から先に販売したと仮定するので、月末商品がいつ仕入れた分であるかを求めれば容易に解答を導くことができます。

講評

問(1)では、払出欄の単価欄と売上戻りの単価欄に売価を記入した誤答が目立ちました。商品有高帳の単価欄には原価を記入することを、その理由とともに再確認してください。

問(2)では、売上戻り分を控除せずに売上原価を算定した答案が多かったです。返品がない場合は、原価で記入した払出欄の金額の合計額が売上原価になります。しかし、返品があると、記入方法によっては、この関係が成り立たない場合があります。「売上原価」を苦手とする受験者は多いですが、精算表や財務諸表の作成問題でも重要な論点ですので、しっかり学習してください。

問(3)は、特に顕著な誤答はありませんでした。先入先出法は先に仕入れた商品から先に販売したと仮定するので、月末商品がいつ仕入れた分かを求めれば容易に解答を導くことができます。先入先出法による商品有高帳の記入方法についても学習してください。

第5問

出題の意図

本問は、財務諸表の作成に関する問題であり、決算に関する基本的な知識や処理能力を問うものです。修正事項の多くは、過去に何度も出題された基本的な項目です。

[資料2]4.については、「実際に行った仕訳(誤った仕訳)」を取り消して、「正しい仕訳」を行えば修正仕訳を導くことができます。

5.の貸倒引当金の設定は、3.を反映させた売掛金の修正後残高に対して行います。

貸借対照表では、貸倒引当金は受取手形や売掛金から控除する形式で、減価償却累計額は各有形固定資産から控除する形式で表示します。

財務諸表の作成を苦手とする受験者も散見されますが、3級受験者は精算表の作成のみならず、企業活動の成果である財務諸表の作成についても理解を深めておく必要があります。

講評

決算整理事項4.のような修正については、「実際に行った誤った仕訳」と「正しい仕訳」を考えると修正仕訳を導き出すことができます。

貸倒引当金の設定に際して、決算整理事項2.を反映させていない答案が見受けられました。決算整理事項で受取手形や売掛金が修正された場合には、修正後の金額を用いて貸倒引当金の金額を算定することに注意してください。

貸借対照表の減価償却累計額が減価償却費の金額となっている誤答が散見されました。「減価償却費」と「減価償却累計額」の違いについて、減価償却累計額は各有形固定資産から控除する形式で表示することも含めて学習してください。

財務諸表の作成は2級でも頻繁に問われますので、3級の段階から理解を深めてください。