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日商簿記3級(第152回)出題の意図と講評

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第1問

出題の意図

今回から3級の出題範囲が改定されましたが、改定論点も含めて基本的な出題としました。

1.固定資産税は保有している固定資産に対して毎年課される税金です。したがって、適切な費用の勘定科目で処理します。固定資産関係の税金でも、不動産取得税のように、取得時に課される税金の場合は付随費用として固定資産の取得原価に含めることになります。

2.手形を振り出して借り入れていたとあるため、手形借入に関する取引であり、「返済期日をむかえ」以降の説明から、返済時の取引を答えればよいことになります。

3.旅費などの諸経費は、企業が直接支払い、企業が従業員へ概算払いして後日精算、従業員がいったん立て替えて支払った後に企業から従業員へ支払い、などのパターンがあります。今回は、概算払いしていたものの不足が生じて従業員が立て替え払いしていたため、旅費の精算に加えて追加で後日に企業から従業員へ支払うための処理が必要です。

4.今回からの追加の論点となります。もっとも、株式会社における株式発行の意味さえ分かれば、今までの個人企業の元入れと同じ仕訳となります。なお、3級において資本準備金の出題は範囲外となっています。

5.オフィス機器とコピー用紙は、それぞれ性質に応じて異なる勘定科目で処理します。資産計上と費用計上の判断にあたって法人税法等で定めている10万円未満などの金額基準は問いませんが、項目からある程度の判断をできることが必要です。

講評

取引2と3でやや間違いが見受けられました。2はもともと商品の売買ではなく借り入れにともなって振り出した手形であるため、支払手形勘定とは区別して適切な勘定科目を使用して記録をしなければなりません。また、3は不足額について立替金勘定を用いた解答が見受けられましたが、立替払いをしたのは従業員であって当社ではありません。そして、問題文に不足額について「未払金として計上した」という記載もあります。したがって、仕訳にあたって立替金勘定は使いません。問題文をよく読んで解答することが望まれます。

第2問

出題の意図

問1は、補助簿の選択問題です。各取引の記帳の際に用いられる補助簿を理解しているかを問いました。取引を仕訳し、増減する勘定科目を把握すれば、解答を導くことができます。商品売買取引(返品取引含む)では、商品が増減しますので、商品有高帳への記入も必要になることに注意してください。新範囲である固定資産台帳は、実務的にも良く使われているので、基本的な事項を問いました。

問2は、固定資産売却損益の算定問題です。有形固定資産の取得原価の考え方を理解しているかを問いました。有形固定資産の取得に関して生じた付随費用は、その有形固定資産の取得原価に算入する点は重要です。商品の仕入時にも付随費用は発生することがありますので、合わせて学習しておいてください。

講評

正答率は高かったです。特に目立った誤答は次のとおりです。

問1では、商品売買(返品取引を含む)を行った場合に、商品有高帳を選択していない答案が散見されました。取引内容と補助簿の関係性を学習しておいてください。また、補助簿に〇印を付すのではなく、金額を記入した答案もありました。本問に限らず、問題文の指示に従うように注意してください。

問2では、付随費用を考慮せずに固定資産売却損益を算定した答案が多かったです。有形固定資産や商品の取得に伴う付随費用の考え方は重要ですので、しっかり理解するようにしてください。

第3問

出題の意図

本問は、8月末の残高試算表に9月の取引を合算して、9月末の残高試算表を作成する問題です。取引量は少し多いですが、各取引は基本的なものです。取引を仕訳、集計して、各勘定の借方残高と貸方残高、各残高欄の合計を記入するといった一連の流れが理解できているかを問いました。取引を正確に仕訳、集計できるように学習しておく必要があります。

新範囲は、差入保証金およびクレジット売掛金の処理です。小売業界においては、賃貸物件を利用して出店を行うことも多く、差入保証金が多額に発生することもあります。また、小規模な店舗でもクレジット決済を行っていることが多いです。以上のことから、両者の処理が正しく行えるかを問いました。

講評

取引量は少し多かったですが、各取引は基本的なものであったので、正答率は高く、特に目立った誤答はありませんでした。若干ではありますが、8月末における各勘定の残高と9月中の取引を合算せずに、9月中の取引だけを集計した答案が見受けられました。試算表を作成する際には、どの試算表(特に、合計試算表なのか残高試算表なのか)を作成するのかとともに、前月末の残高に当月の取引を加算する(当月だけの取引の集計の指示がある場合を除く)ことに注意してください。

取引を仕訳、集計して、各勘定の借方残高と貸方残高、各残高欄の合計を記入するといった一連の流れを理解するとともに、取引を正確に仕訳、集計できるように練習しておく必要があります。

第4問

出題の意図

典型的な伝票に関する出題です。全額を掛取引として起票する方法と取引を分解して起票する方法の判別は、解答欄ですでに埋まっている内容からそれぞれ判断します。また、起票のやり方だけではなく伝票の名称も知っておくべきことであるため、①の解答欄は伝票の名称を答える問題としています。

講評

出題の意図にも記載したとおり典型的な伝票の問題であり、かつ範囲改定後の新たな内容も含んでいないため、全体的によくできていました。ただ、①、④および⑤でやや間違いが見受けられました。①は伝票の名称ですので、知識不足と思われます。④および⑤は「( )伝票」の科目欄の「仕入」の記載から、取引を分解して起票しているという判断ができなかったものと思われます。それぞれ基本的な内容であることから、しっかり学習しておいてほしい内容です。

第5問

出題の意図

決算整理前残高試算表から、決算整理等を経て財務諸表を作成する問題です。今回から会計処理を行う企業は株式会社であるとしています。そのため、財務諸表作成もこれを前提とすることにしました。株式会社の場合、当期純損益は資本金に振り替えるのではなく、繰越利益剰余金の増減につながります。

また、新範囲の一つとして消費税の処理を盛り込みました。消費税はほとんどすべての企業に関連する一般性の高い税金であり、その処理の基礎を学習することは重要であると考えたからです。

その他の決算整理事項などは、従来から多く出題されている基本的項目と言えます。新範囲も従来からの範囲も、基礎をしっかりと学習することが重要です。

講評

全般的に正答率は高く良くできていました。ただし、新範囲の箇所は相対的に誤答も多く見られました。具体的には、繰越利益剰余金と消費税の処理です。

貸借対照表における繰越利益剰余金の金額は、決算整理前の残高に当期純損益を加減して求めます。当期純損益、繰越利益剰余金、そして資本金の関係を正確に理解することが必要です。

消費税については、決算時に仮受消費税の金額から仮払消費税の金額を差し引き、差額を未払消費税勘定に振り替える処理が必要になります。それほど複雑な仕訳が要求されるわけでもありませんので、確実に得点源とできるようにしておきましょう。

このほか、貸倒引当金、減価償却に関連して誤答が散見されました。これらの項目は、毎回必ず出題される基本的な項目です。小さなミスから失点することのないよう、注意深く計算するように心がけてください。