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日商簿記3級(第154回)出題の意図と講評

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第1問

出題の意図

1.買掛金の決済として、約束手形を振り出した取引です。買掛金の決済取引と手形の振出取引を理解しているかを問いました。

2.商品販売(消費税の授受あり)によって、商品券を受け取った取引です。「消費税(税抜方式)」と「受取商品券」は、範囲改定によって追加された論点です。税抜方式の意味、消費税を受け取った取引を理解しているかを問いました。

3.営業用のICカードを用いて、業務上の費用を支払った取引です。チャージ時にどのような仕訳が行われたかを考え、使用時には仮払金勘定から適切な勘定に振り替えられるかを問いました。

4.備品を売却した取引です。取得原価と減価償却累計額との差額で帳簿価額を求め、帳簿価額と売却価額との差額で固定資産売却損益を求めることができるかを問いました。

5.普通預金口座に利息が入金された取引です。振り込まれた利息の処理ができるかを問いました。

講評

1.正答率は高く、目立った誤答はありませんでした。

2.商品を販売したときに受け取った消費税を仮払消費税とする誤答が散見されました。3級では税抜方式だけですが、2級ではこれに加えて税込方式という方法も学習しますので、まずは仕入時・販売時・決算時・ 納付時における税抜方式の処理を理解する必要があります。

3.貸借を逆に書いている誤答が見受けられました。まずは、チャージ時の仕訳を行い、仮払金がどのように振り替えられるかを把握する必要があります。

4.「減価償却累計額」と解答する誤答が非常に多かったです。必ず、指定された勘定科目から選択するようにしてください。

5.正答率は高く、目立った誤答はありませんでした。

今回の試験に限らず、「漢字間違い」、「指定された勘定科目を用いていない」ために不正解となる答案が非常に多いです。普段の学習から、採点者が読めるように文字を正確に書く、指定された勘定科目を用いるように意識してください。

また、パターンを丸暗記するのではなく、取引の内容を正確に把握したうえで会計処理が導けるようにしてください。

第2問

出題の意図

補助簿から取引を読み取る問題です。今回のポイントは25日と28日の処理です。

25日の商品の返品取引については、返品の運賃をいったん当社が支払った上で、多摩商店(仕入先)負担のため運賃も含めて買掛金を減額する取り扱いとなっています。イレギュラーな取引についても補助簿の記載内容から取引内容を想像できるかを問う意図で出題しています。

また、28日の現金過不足は補助簿に直接の記載がないものの、現金出納帳と問の文書から処理を行います。現金過不足のチェックは、現金の受払いがどの程度の頻度で生じるかに応じて、現金出納帳(もしくは総勘定元帳の現金勘定)を見て毎日、毎週、月次など定期的に行います。なお、本問では月中の取引の記載が完了し、月次(月末)の現金のチェックをこれから行う状態となっていますが、チェック後に現金過不足についても現金出納帳への記載が必要となることに留意してください。

講評

5日と25日の仕訳で誤りが多く見受けられました。

5日は現金出納帳と買掛金元帳の2つに記入がありますが、いずれか一方の取引しか仕訳が行われていないもの、また現金出納帳に記載されている引取運賃を仕入の付随費用として処理していないものが多くありました。

25日は現金出納帳に記載されている返品運賃支払いについて、現金が動いていない(仕訳に現金がない)解答や、現金が増えている(借方に記載されている)解答など、考えればすぐ間違いと分かる答案が多く見受けられたことが残念です。「試験」に対する姿勢としては白紙にせず何か書くことが必要かもしれませんが、会計の「実務」としては考えれば明らかに間違いと分かる処理に気づけるような訓練も必要です。

第3問

出題の意図

複数の銀行口座と電子記録債権・債務を含んだ残高試算表作成問題です。問題の解答方法としては、一般的であると言えます。

複数の銀行口座を混同しないこと、電子記録債権・債務の処理を間違えないことは必須です。そのほか、注意すべき点は、電子記録債権の貸倒れ、源泉徴収額の処理などです。仕訳が困難である取引はあまりありませんので、注意深く丁寧、正確に処理することが求められます。

講評

新範囲である複数の銀行口座、電子記録債権・債務の問題でしたが、平均して高得点であったと思います。ただしいくつか典型的な間違いがありました。

まず、複数の銀行口座で多くの取引が行われていますので、銀行口座を取り違えてしまうミスが多くありました。また、電子記録債権・債務の集計ミスも目立ちました。これらについてはケアレスミスと言えますので、注意深く問題を解く以外に解決方法はありません。

次に、商品仕入時の付随費用の処理です。引取運賃などの付随費用は仕入の金額に含めます。これを仕入に集計していない誤答も多く見られました。

また、貸倒れの処理に関しても誤答が多く見られました。仕入時の引取運賃にしても当期発生売掛金の貸倒れにしても、過去に多くの出題がある、基本的な問題であると言えます。基本を落とさないことが合格につながります。

第4問

出題の意図

簿記に関連する基本的な専門用語の問題です。

1.前期以前に貸倒れとして処理した売掛金の一部を当期に回収したときに用いる勘定科目を理解しているかを問いました。

2.株式会社が繰越利益剰余金を財源として配当を行ったときに、積み立てなければならない項目を理解しているかを問いました。なお、繰越利益剰余金の配当は、範囲改定によって追加された論点です。

3.帳簿には主要簿と補助簿があり、主要簿の内容を理解しているかを問いました。

4.すでに取得済みの有形固定資産に関する支出は2つあり、それぞれの会計処理を理解しているかを問いました。

5.当期純利益(または当期純損失)を算定する方法は2つあり、それぞれの方法の名称や内容を理解しているかを問いました。

6.簿記には色々な手続きがあり、その一つとして仕訳の内容を勘定口座に記入する手続きを理解しているかを問いました。

講評

1.2.3.6.の正答率は高く、4.5.の正答率は低めでした。仕訳、計算も重要ですが、基本的な専門用語や、ある仕訳を行う理論的背景の理解も深めてください。

1.貸倒れについては、決算時・貸倒時・貸倒処理済みの債権の回収時の処理を学習しておいてください。

2.2級になると、積立額を各自で計算しなければならなくなりますので、その前段階として、配当時の処理を学習しておいてください。

3.主要簿と補助簿の内容や関係を学習しておいてください。

4.取得済みの有形固定資産に関する支出は2つあります。それぞれの名称と会計処理を学習しておいてください。

5.当期純利益(または当期純損失)を計算する方法は2つあります。それぞれの名称と計算方法を学習しておいてください。

6.取引を行ってから、財務諸表を作成するまでの一連の流れを学習しておいてください。

第5問

出題の意図

今回のポイントは、売掛金の振込みにかかる手数料の取り扱いと減価償却です。銀行で振込みによる受払いをする際、振込手数料を支払うのは振込側ですが、その負担は振込側と受取側の2 つの場合があります。そして、どちらが負担するかは取引当事者間での取り決めにより定められ、簿記上は負担する側の費用として処理します。本問では、得意先は手数料込みで70,000円を銀行に支払い、手数料が差し引かれた残額が当社の銀行口座へ入金されています。そのため、売掛金の金額と実際の入金額に差異が生じ、これを当社の費用として処理します。なお、問題のレベルが上がりすぎることを避けるために、手数料に対して消費税が課されない扱いとしていますが、一般的には課税対象となるため、留意してください。

減価償却については、以前も減価償却が終了しているケースを出題していますが、本問は一部の備品のみ終了しています。実際の企業では複数の備品を所有していますので、期中取得や売却があった時と同様に、すべて同じ条件で減価償却を行わないように注意が必要です。

他に、消費税や社会保険料の未払い計上は今年度の試験から新しく3級に加わった論点となるため、フォローをしてください。

講評

解答を見たところ、意外と7.借入金の利息の処理で誤りが目立ちました。問題文は、「支払った」ではなく「差し引かれた金額を受け取っている」となっており、かつ「適切に処理」となっているため、「前払利息」「未払利息」「前受利息」のどれなのか読み取れなかったのかもしれません。また、金額の間違いも多く見受けられました。問題文と仕訳を一対一で暗記するのではなく、取引の内容を理解して仕訳を起こせるようになれるような学習が必要です。

他に、消費税も解答用紙の「( )消費税」の空欄を間違えている答案や、金額(相殺していない)の誤りが見受けられました。消費税は今年度から加わった論点とはいえ、どの企業でも出てくる処理であることや、まだ企業に勤めていない受験者にも馴染みのある税金であるため、しっかり学習することが期待されます。