工事間接費~基準操業度の選択~

日商簿記2級と同じ内容

建設業経理士2級で出題される「工事間接費」の論点は、日商2級の「製造間接費」とほぼ同じです。

SHIBUYA
SHIBUYA

しかも建設業経理士2級では、差異分析(予算差異と操業度差異)は出題されません。

ボキタロー
ボキタロー

やったー!あれ苦手だったんだよね。

工事間接費の配賦に使用する配賦基準について特徴的な指示のされ方がありますが、読んで字のごとくなので特に問題ないと思います。

配賦基準の例

・直接材料費基準→直接材料費を基準として配賦計算をする。

・直接原価基準→直接原価(工事直接費)を基準として配賦計算をする。

・直接作業時間基準→直接作業時間を基準として配賦計算をする。

・他にも、数量基準(材料などの個数・重量・長さなどを基準とする方法)や売価基準(請負金額や完成工事高を基準とする方法)などもあります。

SHIBUYA
SHIBUYA

試験では問題の指示に従えばいいだけなんですけどね。

基準操業度とは?

工事間接費の予算を設定するための基準となる操業度(正常な操業水準)のことを基準操業度といいます。

例えば機械稼働時間を基準として配賦する場合、どのような状態での機械稼働時間を前提として工事間接費の予算を設定するのかが問題となります。

SHIBUYA
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ここでいう操業度とは、工事現場で機械を動かしている時間のことだと思ってください。

基準操業度には次のようなものがありますが、内容を暗記する必要はありません。参考程度で大丈夫です。

基準操業度の種類

実現可能最大操業度:不可避的な機械の故障などを考慮した実現可能な最大の操業度。要するに、機械を目いっぱい稼働させたフル稼働の状態における操業度のことです。

次期予定操業度:次期において現実に予想される操業度。要するに、次期に行われる工事を基礎として計算した操業度です。

長期正常操業度(平均操業度):季節的な変動や景気による変動を予測して長期的に平均した操業度。

基準操業度の選択

例題1

所有するA建設機械について、機械稼働時間を基準とする予定配賦を行っている。次の【資料】にもとづいて、基準操業度として、①実現可能最大操業度、②次期予定操業度、③長期正常操業度(3年分)を選択した場合の予定配賦率を求めなさい。なお、端数が生じる場合は円未満を四捨五入すること。

【資料】

  1. 年間の建設機械の予算:¥6,000,000
  2. 機械の最大利用可能時間:3,000時間/年
  3. 各年度の予定稼働時間:

1年目(次期) 2,500時間、2年目 2,400時間、3年目 2,000時間

①実現可能最大操業度

実現可能最大操業度は【資料2】の3,000時間なので、これに基づいて予定配賦率を算定します。

年間予算¥6,000,000÷基準操業度3,000時間=予定配賦率¥2,000/時間

②次期予定操業度

次期予定操業度は【資料3】の1年目(次期)2,500時間なので、これに基づいて予定配賦率を算定します。

年間予算¥6,000,000÷基準操業度2,500時間=予定配賦率¥2,400/時間

③長期正常操業度

長期正常操業度は【資料3】の3年分を平均した「(2,500時間+2,400時間+2,000時間)÷3年=2,300時間」なので、これに基づいて予定配賦率を算定します。

年間予算¥6,000,000÷基準操業度2,300時間=¥2,608.6…→¥2,609/時間(円未満四捨五入)