問題
次の資料に基づいて、以下の各問いに答えなさい。なお、会計期間は×8年1月1日から12月31日までの1年間である。
<資料>
(Ⅰ)決算整理前残高試算表(一部)

(Ⅱ)決算整理事項
(1)貸付金は、×8年2月1日に貸付期間1年、年利率5%の条件で貸し付けたもので、利息は元金とともに返済時に受け取ることになっている。
(2)保険料は全額建物に対する火災保険料で、毎年同額を5月1日に12か月分として前払いしている。
(3)受取家賃は、所有する建物の一部の賃貸によるもので、毎年2月と8月の初日に向こう半年分(毎回同額)を受け取っている。
(Ⅲ)決算整理後残高試算表(一部)

(問1)資料(Ⅱ)の(1)~(3)に関する決算整理仕訳を答えなさい。
(問2)資料(Ⅲ)の決算整理後残高試算表(一部)を完成させなさい。
※解答・解説はこの下にあります。
解答
問1の答え
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
(1) | 未収利息 | 44,000 | 受取利息 | 44,000 |
(2) | 前払保険料 | 24,000 | 保険料 | 24,000 |
(3) | 受取家賃 | 6,000 | 前受家賃 | 6,000 |
問2の答え

解説
決算整理事項(1)
貸付金に係る利息は、返済時(翌期)に受け取ることになっています。つまり後払いなので、当期に属する金額を決算時において見越計上します。当期に属する期間は貸付日(×8年2月1日)から決算日(×8年12月31日)までの11か月分となります。
¥960,000 × 5% × 11か月/12か月 = ¥44,000 |
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
未収利息 | 44,000 | 受取利息 | 44,000 |
決算整理事項(2)
保険料については、5月1日に12か月分を支払っており、当期に属さない4か月分(×9年1月1日~4月30日)を前払いしていることになるので、この部分を「前払保険料」として繰り延べます。
ただし、期首に再振替仕訳が行われていることを忘れないでください。つまり、決算整理前残高試算表における「保険料」は、16か月分の金額を表していることになります。
例えば、1か月分の保険料を”Y”と置いて前期末からの仕訳を考えていくと次のようになります。
①前期末における保険料の繰延(×7年12月31日)
4か月分を前払しているのでこの分を繰り延べます。
(借)前払保険料 4Y /(貸)保険料 4Y |
②当期の期首における再振替仕訳(×8年1月1日)
前期末に行った仕訳の逆仕訳を行います。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
保険料 | 4Y | 前払保険料 | 4Y |
③当期の保険料支払い時(×8年5月1日)
12か月分を支払うので、支払う保険料は”12Y”となります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
保険料 | 12Y | 現金 | 12Y |
ここまで(決算整理前)の保険料勘定の記入は次のようになっています。

つまり、決算整理前残高試算表における「保険料」は”16Y”(=4Y+12Y)となり、16か月分の保険料の金額を表していることになるので、決算整理前残高試算表における「保険料」¥96,000を16か月で割ったものが、1か月分の保険料の金額となるわけです。
¥96,000 ÷ 16か月 = @¥6,000/月 |
④当期末における保険料の繰延(×8年12月31日)
以上より、繰り延べるべき4か月分の金額は¥24,000(=@¥6,000×4か月)となります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
前払保険料 | 24,000 | 保険料 | 24,000 |
【タイムテーブル】

決算整理事項(3)
8月1日に向こう半年分(×8年8月1日~×9年1月31日)の家賃を受け取っているので、このうち、当期に属さない部分(×9年1月1日~1月31日の1か月分)を前受家賃として繰り延べます。
このとき、再振替仕訳分を忘れないようにしてください。決算整理事項(2)と同じように、1か月分の受取家賃を”Y”と置いて前期末からの仕訳を考えていきます。
①前期末における受取家賃の繰延(×7年12月31日)
1か月分を前払しているのでこの分を繰り延べます。
(借)受取家賃 Y /(貸)前受家賃 Y |
②当期の期首における再振替仕訳(×8年1月1日)
前期末に行った仕訳の逆仕訳を行います。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
前受家賃 | Y | 受取家賃 | Y |
③当期の家賃の受取時
まず、2月1日に向こう半年分を受け取ります(現金による受け取りを仮定)。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 6Y | 受取家賃 | 6Y |
次に、8月1日に向こう半年分を受け取ります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 6Y | 受取家賃 | 6Y |
ここまで(決算整理前)の受取家賃勘定の記入は次のようになっています。

つまり、決算整理前残高試算表における「受取家賃」は”13Y”(=Y+6Y+6Y)となり、13か月分の受取家賃の金額を表していることになるので、決算整理前残高試算表における「受取家賃」¥78,000を13か月で割ったものが、1か月分の受取家賃の金額となるわけです。
¥78,000 ÷ 13か月 = @¥6,000/月 |
④当期末における保険料の繰延(×8年12月31日)
以上より、繰り延べるべき1か月分の金額は¥6,000となります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
受取家賃 | 6,000 | 前受家賃 | 6,000 |
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