【練習問題】工事間接費の予定配賦に関する問題③~建設業経理士2級用~

問題

当社が保有している3台の建設機械(A機械、B機械、C機械)は各工事現場で共通に使用しており、これら建設機械にかかる費用を各工事へ配賦するために、直接原価基準による予定配賦法を採用している。次の資料にもとづいて、以下の各問いに答えなさい。

【資料】

1.当会計期間の建設機械関係費予算

  • A機械 減価償却費:¥730,000
  • B機械 減価償却費:¥420,000
  • C機械 減価償却費:¥950,000
  • 機械修繕管理費:¥680,000
  • 機械保険料その他:¥190,000

2.労務費計算は予定賃率を用いており、当会計期間の予定賃率は直接作業時間1時間当たり¥1,000である。なお、当月の直接作業時間は次のとおりであった。

甲工事乙工事丙工事
182時間215時間267時間

3.当月の工事別直接原価額

甲工事乙工事丙工事
材料費¥238,000¥427,000¥543,000
労務費
外注費¥532,000¥755,000¥990,000
経費¥88,000¥103,000¥186,000

(※)労務費については資料により各自計算すること。

4.当会計期間の直接原価の総発生見込額は¥99,000,000である。

5.当月の建設機械関係費実際発生額:¥140,780


【問1】当会計期間の建設機械関係費予定配賦率(%)を計算しなさい。

【問2】当月の乙工事への予定配賦額を計算しなさい。

【問3】当月の建設機械関係費に関する配賦差異を計算しなさい。なお、配賦差異については、有利差異か不利差異かもあわせて答えること。




解答

【問1】3%

【問2】¥45,000

【問3】¥5,000(不利差異)

解説

労務費の計算

【資料3】の当月労務費が「?」になっているので、まずはこれを計算しましょう。

労務費は【資料2】の予定賃率に、当月の直接作業時間をかけて計算します。

  • 甲工事:@¥1,000×182時間=¥182,000
  • 乙工事:@¥1,000×215時間=¥215,000
  • 丙工事:@¥1,000×267時間=¥267,000

よって、当月の工事別直接原価額は次のようになります。

甲工事乙工事丙工事
材料費¥238,000¥427,000¥543,000
労務費¥182,000¥215,000¥267,000
外注費¥532,000¥755,000¥990,000
経費¥88,000¥103,000¥186,000
¥1,040,000¥1,500,000¥1,986,000

【問1】予定配賦率

建設機械関係費の予定配賦率は、【資料1】の建設機械関係費予算総額¥2,970,000を【資料4】の直接原価の総発生見込額¥99,000,000で割って計算します。

¥2,970,000÷¥99,000,000=0.03(3%)

MEMO

建設機械関係費は、直接原価の3%を予定配賦するという意味です。

【問2】乙工事への予定配賦額

乙工事への予定配賦額は、【問1】の予定配賦率に乙工事の直接原価合計を掛けて計算します。

3%×¥1,500,000=¥45,000

【問3】配賦差異

・当月の予定配賦額:3%×直接原価合計(甲工事¥1,040,000+乙工事¥1,500,000+丙工事¥1,986,000)=¥135,780

・当月の実際発生額:¥140,780【資料5】

MEMO

予定よりも原価が¥5,000多く発生してしまったので、不利差異(借方差異)です。