【練習問題】工事間接費の予定配賦に関する問題①~建設業経理士2級用~

問題

当社では、工事関連部門で発生した工事間接費を各工事に直接原価基準で予定配賦している。次の資料にもとづいて、以下の問いに答えなさい。

【資料】

1.当会計期間の工事間接費予算額は¥726,000である。

2.当会計期間の直接原価の総発生見積額は次のとおりである。

材料費労務費外注費経費
9,990,0006,500,0009,000,0003,550,000

3.当月の直接原価の発生額は次のとおりである。

材料費労務費外注費経費
A工事481,000226,000392,000131,000
B工事375,000252,000268,000125,000
856,000478,000660,000256,000

【問】費目別仕訳法によって、次の仕訳を答えなさい。ただし、使用する勘定科目は次の中から最も適切なものを選ぶこと。

現金材料未成工事支出金賃金・給料
経費工事間接費完成工事原価工事間接費配賦差異

①A工事に対し、工事間接費を予定配賦した。

②B工事に対し、工事間接費を予定配賦した。

③工事間接費の当月発生額(間接材料費¥18,000、間接労務費¥14,000、間接経費¥28,000)を計上した。

④月末に工事間接費配賦差異を計上した。




解答

借方科目金額貸方科目金額
未成工事支出金30,750工事間接費30,750
未成工事支出金25,500工事間接費25,500
工事間接費60,000材料18,000
賃金・給料14,000
経費28,000
工事間接費配賦差異3,750工事間接費3,750

解説

予定配賦率の算定

まず予定配賦率を計算します。直接原価基準によるので、【資料2】の直接原価の総発生見積額を基準として配賦します。

工事間接費予算額¥726,000÷直接原価の総発生見積額合計¥29,040,000=予定配賦率0.025(2.5%)

MEMO

要するに、直接原価合計の2.5%を工事間接費として配賦するということです。

予定配賦額の計算

予定配賦額は、予定配賦率に実際の直接原価(【資料3】の合計額(横計))を掛けて計算します。

・A工事への予定配賦額:A工事の直接原価合計¥1,230,000(※)×2.5%=¥30,750

・B工事への予定配賦額:B工事の直接原価合計¥1,020,000×2.5%=¥25,500

(※)材料費¥481,000+労務費¥226,000+外注費¥392,000+経費¥131,000

実際発生額の集計

実際配賦の場合は、まず借方から実際発生額が入ってきて、そのあと貸方から出ていくという順序ですが、予定配賦の場合は、まず貸方から予定配賦額で出ていって、そのあとで借方から実際発生額が入ってくるという順序になります。実際配賦と予定配賦では順番が逆になるので注意しましょう。

配賦差異の計上

工事間接費勘定では「実際発生額¥60,000(借方)>予定配賦額¥56,250(貸方)」となっているので、この差額(配賦差異)を工事間接費配賦差異勘定の借方へ振り替えます(借方差異)。

予定よりも原価が多く発生してしまったので、不利差異(借方差異)ということです。