【練習問題】固定資産に関する計算問題①~建設業経理士2級用~

問題

次の(①)~(⑤)に入る正しい金額を計算しなさい。なお、会計期間は3月31日を決算日とする1年間である。

【問1】×3年4月1日から、工事用機械(取得価額¥1,000,000、残存価額¥50,000、耐用年数10年)を定額法で償却してきたが、×10年3月31日(当期末)に¥400,000で売却処分した場合、当期の機械装置減価償却費は¥(①)で、その売却益は¥(②)である。

【問2】自己所有のパワーショベル(取得価額¥1,500,000、減価償却累計額¥650,000)と交換に、他社の中古パワーショベルを取得し、交換差金¥100,000は小切手を振り出して支払った。当該中古パワーショベルの取得原価は¥(③)である。

【問3】×2年4月1日に取得したフォークリフト(取得価額¥1,000,000、残存価額¥100,000、耐用年数8年)について、定率法(償却率0.250)で減価償却を行っている。当期(決算日は×5年3月31日)の減価償却費は¥(④)である。

【問4】機械装置Aは取得原価¥1,600,000、耐用年数8年、残存価額ゼロ、機械装置Bは取得原価¥1,470,000、耐用年数6年、残存価額ゼロ、機械装置Cは取得原価¥800,000、耐用年数5年、残存価額ゼロである。これらを総合償却法で減価償却費の計算(定額法)を行う場合、加重平均法で計算した平均耐用年数は(⑤)年である。なお、小数点以下は切り捨てること。




解答

①95,000

②65,000

③950,000

④140,625

⑤6

解説

【問1】

売却時の仕訳は次のようになります(間接法による)。

借方科目金額貸方科目金額
現金など400,000機械装置1,000,000
減価償却累計額570,000固定資産売却益65,000
減価償却費95,000
  • 減価償却費:(取得価額¥1,000,000ー残存価額¥50,000)÷10年×1年(※1)=¥95,000
  • 減価償却累計額:(取得価額¥1,000,000ー残存価額¥50,000)÷10年×6年(※2)=¥570,000

(※1)×9年4月1日(当期首)~×10年3月31日(売却日)の1年分

(※2)×3年4月1日~×9年3月31日(前期末)の6年分

注意!

期首売却以外のケース(期中や期末に売却した場合)では、期首から売却日までの減価償却費を月割で計上することに注意してください。

【問2】

自己所有の固定資産と交換に固定資産を取得した場合は、交換に供する固定資産の簿価を取得原価とします。また、交換差金を支払ったときはその金額を取得原価に含めます。

提供する固定資産の簿価(取得価額¥1,500,000ー減価償却累計額¥650,000)+交換差金¥100,000=¥950,000

ちなみに仕訳は次のようになります(間接法による)。

借方科目金額貸方科目金額
減価償却累計額650,000機械装置1,500,000
機械装置950,000当座預金100,000

【問3】

×3年3月31日の仕訳

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費250,000減価償却累計額250,000

取得価額¥1,000,000×償却率0.250=¥250,000

注意!

定率法の場合は残存価額を控除しないことに注意してください。

×4年3月31日の仕訳

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費187,500減価償却累計額187,500

(取得価額¥1,000,000ー期首減価償却累計額¥250,000)×償却率0.250=¥187,500

×5年3月31日の仕訳(本問の答え)

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費140,625減価償却累計額140,625

(取得価額¥1,000,000ー期首減価償却累計額¥437,500)×償却率0.250=¥140,625

【時短術】もっと早く計算する方法

定率法では簿価に償却率(0.25)を掛けたものが減価償却費になります。これを逆に考えると、簿価に「1-償却率」を掛けたものが翌期首の簿価ということになります。

つまり、取得価額に「1-償却率」(0.75)を2回(2年分)を掛けたものが当期首の簿価になるので、これに償却率(0.25)を掛ければ当期の減価償却費を計算できます。

取得価額¥1,000,000×0.75×0.75×0.25=¥140,625

【問4】

1.要償却額の合計

いずれも残存価額がゼロなので、取得原価がそのまま要償却額となります。

機械装置A¥1,600,000+機械装置B¥1,470,000+機械装置C¥800,000=¥3,870,000

2.定額法による年償却額の合計

  • 機械装置A:¥1,600,000÷8年=¥200,000
  • 機械装置B:¥1,470,000÷6年=¥245,000
  • 機械装置C:¥800,000÷5年=¥160,000

よって、合計は¥605,000となります。

3.平均耐用年数の算定

要償却額合計を年償却額の合計で割って計算します。

要償却額合計¥3,870,000÷年償却額の合計¥605,000=6.3…→6年(小数点以下切り捨て)