【練習問題】社債に関する仕訳問題~建設業経理士2級用~

問題

以下の各問いに答えなさい。なお、会計期間は3月31日を決算日とする1年間である。使用する勘定科目は次の中から最も適切なものを選ぶこと。

現金当座預金社債発行費社債
社債利息社債発行費償却社債償還損社債償還益

【問1】次の各取引について仕訳を示しなさい。

(1)×1年4月1日に額面総額¥1,000,000の社債を額面100円につき97円で発行し、全額の払込みを受け、払込金は当座預金とした。償還期間は5年、年利率は6%、利払日は9月末と3月末の年2回である。なお、この社債発行に際して生じた社債募集広告費などの支出¥50,000は現金で支払った。当該支出に関しては繰延経理している。

(2)×6年3月31日、上記(1)の社債が満期となったため、最終回の利息とともに現金で償還した。この償還に関して、①金利調整差額の償却(定額法)の仕訳、②社債の償還の仕訳、③社債発行費用の償却の仕訳をそれぞれ示しなさい。


【問2】次の取引について仕訳を示しなさい。

×1年4月1日に額面総額¥3,000,000の社債を額面100円につき97円、償還期間6年の条件で発行したが、×4年4月1日(当期首)に、このうち額面金額¥600,000を額面100円につき101円で買入償還し、代金は小切手を振り出して支払った。なお、払込金額と額面金額との差額は償却原価法(定額法)により、帳簿価額に加減している。




解答

(1)の取引

借方科目金額貸方科目金額
当座預金970,000社債970,000
社債発行費50,000現金50,000

(2)の取引

借方科目金額貸方科目金額
社債利息6,000社債6,000
社債1,000,000現金1,030,000
社債利息30,000
社債発行費償却10,000社債発行費10,000

解説

本問は、社債の発行と満期償還、および繰延資産(社債発行費)に関する処理を問う問題です。

(1)の取引

社債の発行価額:額面¥1,000,000×97円/100円=¥970,000

(2)の取引

①金利調整差額の償却(定額法)

当期の償却額:(額面金額¥1,000,000ー発行価額¥970,000)×12か月/60か月=¥6,000

②社債の償還

①の償却の結果、社債の簿価は額面金額(¥1,000,000)となるので、この額面金額をもって償還します。本問では最終回の利息を償還時に支払っているので、同時に社債利息の計上も忘れないでください。

社債利息:額面¥1,000,000×年利率6%×6か月/12か月=¥30,000

注意!

利払は年2回(半年ごと)にあるので、利息の支払額は年利率を掛けた金額の半分(半年分)となります。

③社債発行費用の償却

社債発行費は「繰延経理している」とあるので繰延資産として処理します。社債発行費を繰延資産とした場合は、定額法によって社債の償還期限内で月割償却します。

社債発行費償却:支出額¥50,000×12か月/60か月=¥10,000

解答

借方科目金額貸方科目金額
社債591,000当座預金606,000
社債償還損15,000

買入金額(当座預金):額面¥600,000×¥101/¥100=¥606,000

解説

買入償還したのは額面総額のうち¥600,000なので、この金額の動きだけを見ていきます。社債償還損は貸借差額で計算してください。

発行価額:額面¥600,000×¥97/¥100=¥582,000

償却額:(額面¥600,000ー発行価額¥582,000)×12か月/72か月=¥3,000

社債の簿価:発行価額¥582,000+¥3,000×3年=¥591,000