3級で学習したように売上を計上するためには、原則として「代金の授受」と「商品の引渡」の2つの条件を満たす必要があります。このうち「商品の引渡」について、何をもって引き渡したといえるのか?という問題があります。商品を出荷したときなのでしょうか?それとも相手の手許に届いたときなのでしょうか?
目次
売上の計上基準
3つの計上基準
これまでは、問題文に「商品○○円を販売した」という旨の記述があれば「売上」を計上していました。

しかし、実際の取引では商品の注文を受けてから、①まず商品を出荷し、②それが得意先の手許に到着し、③最後に相手方がその商品の検収を行うという過程を経ます。
したがって、①~③のどのタイミングで売上を計上するのかということが問題となりますが、この点において以下の3つの計上基準があります。
- 出荷基準(発送基準):商品を出荷(発送)したときに売上を計上する基準。
- 引渡基準(納品基準):得意先に商品を引き渡した(納品した)ときに売上を計上する基準。
- 検収基準:納品した商品の数量や品質などを相手方が確認し(これを検収といいます)、その連絡を受けた時に売上を計上する基準。
売上の計上基準に関する例題
以下の各取引について、(1)出荷基準、(2)引渡基準、(3)検収基準によって仕訳を示しなさい。
【取引】
①得意先から商品¥1,000の注文を受け、これを発送した。なお、代金は掛けとした。
②得意先より、商品が到着した旨の連絡を受けた。
③得意先より、商品の検収の結果、品違い等はなかった旨の連絡を受けた。
(1)出荷基準による仕訳
出荷基準では商品を出荷(発送)したときに売上を計上するので、①のタイミングで仕訳を行います。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
① | 売掛金 | 1,000 | 売上 | 1,000 |
ボキタロー
(2)引渡基準による仕訳
引渡基準では得意先に商品を引き渡した(納品した)ときに売上を計上するので、②のタイミングで仕訳を行います。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
② | 売掛金 | 1,000 | 売上 | 1,000 |
ボキタロー
(3)検収基準による仕訳
検収基準では得意先が検収を終え、その連絡を受けた時に売上を計上するので、③のタイミングで仕訳を行います。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
③ | 売掛金 | 1,000 | 売上 | 1,000 |
ボキタロー
売上原価対立法
商品売買の記帳方法について、3級では三分法と分記法を学習しました。
忘れた人はこちら。

2級では新たに売上原価対立法という方法を学びます。
商品を仕入れたとき
商品を仕入れたときは商品勘定の借方に原価で記入します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
商品 | 1,200 | 買掛金 | 1,200 |
商品を販売したとき
商品を販売したときは商品勘定の貸方に原価で記入するとともに、売上原価勘定の借方に記入します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
売掛金 | 1,500 | 売上 | 1,500 |
売上原価 | 1,100 | 商品 | 1,100 |
ボキタロー
決算時

売上原価対立法では、商品を販売したときにその原価を商品勘定から売上原価勘定へ振り替えています。