
SHIBUYA
いきなりですが1つ質問です。「現金」とは何ですか?

ボキタロー
そんなのお金のことに決まってるじゃないの。

SHIBUYA
もちろん紙幣や硬貨といった”お金”は現金です。しかし、簿記ではいわゆる”お金”以外にも現金勘定で処理するものがあるのです。

ボキタロー
お金じゃないのに「現金」なの?

SHIBUYA
はい。それは通貨代用証券というものです。

ボキタロー
通貨代用証券?なにそれ?おいしいの?

SHIBUYA
このページではまず簿記の「現金」とは何を意味するのか?ということや現金の基本的な処理方法について勉強していくことにしましょう。
目次 非表示
現金の基本的な処理方法
まずはじめに現金勘定の記入場所を確認しておきましょう。

現金勘定は資産(貸借対照表の借方項目)なので、増加すれば借方、減少すれば貸方に記入します。
それでは簡単な例題を解きながら現金の基本的な処理方法を説明していきます。
MEMO
ただ何となく見ているよりも自分の頭で考えたほうが身に付きやすいため基本的に例題の答えは隠してあります。答えを見る前に一度頭の中で考えてみてください。紙に書いたりする必要はありません。現金が増加する場合の仕訳と勘定記入
例題1
×1年4月1日にA社へ商品¥100を売り上げ、代金は現金で受け取った。
ヒント
売上勘定は収益なので増加すると貸方に記入します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
100 | 100 |
なお、現金勘定の記入は次のようになります。
現金勘定の借方に日付、相手勘定科目、金額の順に記入します。ただし、相手勘定科目が複数の場合は「諸口」と記入します。
現金が減少する場合の仕訳と勘定記入
例題2
×1年4月2日にB社から商品¥200を仕入れ、代金は現金で支払った。
ヒント
仕入勘定は費用なので増加すると借方に記入します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
200 | 200 |
現金勘定の記入は次の通りです。
現金が減少した場合は、現金勘定の貸方に記入することになります。
通貨代用証券とは?
簿記では通貨(紙幣・硬貨)以外にも通貨代用証券というものも現金勘定で処理されます。
【参考】通貨代用証券の例
- 他人振出の小切手:この後に説明する「他人振出小切手の仕訳」をご覧ください。
- 送金小切手:銀行が送金手段として交付する小切手。送金する側は、銀行で送金額と手数料を支払って、送金小切手を購入し相手側に渡します。相手側はこれを銀行で換金してもらいます。
- 郵便為替証書:郵便局(ゆうちょ銀行)が送金手段として交付する証書。
- 株主配当金領収証:株式会社は獲得した利益の一部を株主に対して配当金として分配しますが、その分配方法として配当金領収証を交付する場合があります。株主は受け取った配当金領収証を銀行などにもっていって換金してもらいます。
- 支払期限到来済の公社債利札:公社債とは、国や地方自治体、会社などが広く大衆からお金を集めるために発行する証券です。これを保有している人は支払期日になると一定額の利息を受け取ることができ、また償還期日(満期日)には元本を受け取ることができます。

公社債には利札(りふだ)、いわゆるクーポンが沢山くっついており、それには利息額や支払期限などが記載されています。このうち、期限が到来したものを切り取って金融機関に持って行き換金してもらいます。
MEMO
一見難しそうですが通貨代用証券の細かい内容まで覚える必要はありません。とりあえず、「こういうものが出てきたら現金勘定で処理する」ということだけ分かっていれば大丈夫です。他人振出小切手の仕訳
試験上、通貨代用証券の中でも特に重要性の高いのものは、他社が振り出した小切手(他人振出小切手)の処理です。
例題3
A社へ商品¥100を売り上げ、代金として同社振出しの小切手を受け取った。
ヒント
先程説明したように、他人振出しの小切手は通貨代用証券なので現金勘定を使って処理します。
MEMO
通常「同社」といった場合、直前に出てきた会社(A社)のことを指しますが問題によってケースは変わります。問題を読み解くにはある程度の読解力が必要になる場合もあります。借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
100 | 100 |
MEMO
この仕訳は例題1と同じですね。このように通貨でも通貨代用証券でも仕訳は同じになるわけです。まとめ

ボキタロー
ところで、なんで通貨代用証券は現金勘定で処理するの?

SHIBUYA
簿記では基本的に同じ性質のものは同じ勘定科目で処理することになっています。

ボキタロー
うん。それは入門講座で習ったよ。

SHIBUYA
通貨代用証券は銀行に持って行くとリスクなしですぐに換金してもらえます。普通のお金と性質が似ているので現金勘定で処理しようということになっているんです。
まとめ
- 現金勘定は資産(貸借対照表の借方項目)なので、増加すれば借方、減少すれば貸方に記入する。
- 売上勘定は収益(損益計算書の貸方項目)なので、増加(発生)すれば貸方に記入する。
- 仕入勘定は費用(損益計算書の借方項目)なので、増加(発生)すれば借方に記入する。
- 通貨代用証券は現金勘定で処理する。
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