仕訳問題集1(現金預金・商品売買等)




Q.1-01(Q1-1)買掛金100円について小切手を振り出して支払ったが、金額を誤って1,000円と仕訳していた。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
当座預金900買掛金900

【ヒント】

①まず実際に行った仕訳を考えます。

借方金額貸方金額
買掛金1,000当座預金1,000

②次に正しい仕訳を考えます。

借方金額貸方金額
買掛金100当座預金100

③実際に行った仕訳(誤った仕訳)を正しい仕訳に修正するため、減らし過ぎている買掛金と当座預金をそれぞれ¥900増加させます。


Q.1-02(Q1-2)営業のために使用している携帯電話料金500円が当座預金口座から引き落とされていたが、当社に連絡未達のため未記帳となっていた。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
通信費500当座預金500

【ヒント】

携帯電話料金は通信費で処理します。連絡未達が判明した場合は、連絡が届いたものとして適正に処理をします。


Q.1-03(Q1-3)買掛金200円の支払いのために振り出していた小切手が決算時点で未渡しのままであることが判明した。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
当座預金200買掛金200

【ヒント】

小切手を振り出したとき(作成したとき)は、近い将来ほぼ確実に当座預金と買掛金が減少すると見込んでこれらを減少させますが、決算時点でまだ小切手を渡していない以上、実際には当座預金も買掛金も減少していないのでこれを取り消します。


Q.1-04(Q1-4)広告宣伝費100円の支払いのために振り出した小切手が決算時点で未渡しのままであることが判明した。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
当座預金100未払金100

【ヒント】

広告宣伝費が未払いとなっているので未払金で処理をします。広告宣伝費は費用としてすでに発生しているものなので、これを取り消さないように注意してください。

備品などの固定資産を購入した場合の未渡小切手も同様に未払金とします。


Q.1-05(Q1-5)掛けで仕入れた商品1,000円について、この金額の10%の割戻を受けた。なお、当社では商品売買の記帳方法として三分法を採用している。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
買掛金100仕入100

【ヒント】

3級で学習した返品の処理と同様に、仕入割戻を行ったときは商品を仕入れたときの貸借逆仕訳をすればいいだけです。


Q.1-06(Q1-6)商品3,000円を掛けで仕入れた。なお、当社では商品売買の記帳方法として売上原価対立法を採用している。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
商品3,000買掛金3,000

【ヒント】

売上原価対立法では、商品を仕入れたときは商品勘定の借方に原価で記入します。


Q.1-07(Q1-7)商品(原価1,000円)を2,000円で販売し代金は掛けとした。なお、当社では商品売買の記帳方法として売上原価対立法を採用している。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
売掛金2,000売上2,000
売上原価1,000商品1,000

【ヒント】

①商品を販売したときは売上勘定の貸方に売価で記入します(三分法と同じ)。

②さらに売上原価対立法では、販売した商品の原価(売上原価)を商品勘定から売上原価勘定へ振り替えます


Q.1-08(Q1-8)決算となった。期首商品棚卸高は150円、当期商品仕入高は5,000円、期末商品棚卸高は250円である。なお、当社では商品売買の記帳方法として売上原価対立法を採用している。仕訳が必要ない場合は「仕訳なし」とすること。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
仕訳なし

【ヒント】

売上原価対立法では、商品を販売したときに売上原価を商品勘定から売上原価勘定へ振り替えているため、決算において売上原価を算定するための仕訳は必要ありません。


Q.1-09(Q1-9)決算において、商品の棚卸減耗が200円あった。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
棚卸減耗損200繰越商品200

【ヒント】

棚卸減耗損は期末商品の減耗を意味するものなので繰越商品勘定から控除します。


Q.1-10(Q1-10)決算における期末商品の原価は3,500円であるのに対して、正味売却価額は3,000円であった。なお、仕訳が必要ない場合は「仕訳なし」とすること。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
商品評価損500繰越商品500

【ヒント】

商品評価損は期末商品の価値の低下を意味するものなので繰越商品勘定から控除します。


Q.1-11(Q1-11)決算における期末商品の原価は3,500円であるのに対して、正味売却価額は3,800円であった。なお、仕訳が必要ない場合は「仕訳なし」とすること。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
仕訳なし

【ヒント】

期末商品の正味売却価額が原価を上回っている場合は何も処理はしません。

「商品評価益」なるものは計上されません。


Q.1-12(Q1-12)棚卸減耗損200円および商品評価損500円を売上原価に算入するため、仕入勘定へ振り替える。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
仕入700棚卸減耗損200
商品評価損500

【ヒント】

棚卸減耗損と商品評価損を売上原価に算入する場合は、これらを仕入勘定(売上原価勘定を使っている場合は売上原価勘定)へ振り替えます。

棚卸減耗損は販売費及び一般管理費とする場合もあります。


Q.1-13(Q1-13)当社は商品 A(600円)と商品B(400円)を甲社へ販売する契約を締結した。商品Aの引き渡しは契約時に即時行うが、商品Bの引き渡しは来月末に行う契約となっている。なお、代金は商品B を引き渡した後に請求することとしており、商品の代金600円はまだ顧客との契約から生じた債権となっていない。また、商品Aと商品Bの引き渡しは、それぞれ独立した履行義務として識別する。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
契約資産600売上600

【ヒント】

①「独立した履行義務」とは、商品Aと商品Bの売上を別々に計上するという意味です。したがって、履行義務を充足した(引き渡した)商品Aの代金600円のみを売上とします。※収益認識基準では、履行義務を充足した時に売上を計上します。

②この時点ではまだ、顧客との契約から生じた債権となっていない(代金を請求する権利がない)ので、借方は売掛金ではなく契約資産とします。

※代金を請求するのに、期日の到来以外に制約がない場合は売掛金を使いますが、期日の到来以外の制約(本問の場合は商品Bの引き渡し)がある場合は契約資産とします。

言葉は難しいですが仕訳自体は大したことないので、あまり難しく考えすぎないようにしましょう。


Q.1-14(Q1-14)甲商店へQ.1-13の商品B(400円)を引き渡した。商品の代金は、来月末に当座預金口座へ振り込む旨の通知を受けた。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
売掛金1,000売上400
契約資産600

【ヒント】

①商品Bについて履行義務を充足した(商品を引き渡した)ので、販売代金400円を売上とします。

②この時点で、商品Aの代金(契約資産)も請求できる状態になったので売掛金へ振り替えます。


Q.1-15(Q1-15)当社は甲商店へ商品Cを1,000円で販売する契約を締結し、その手付金として300円を現金で受け取った。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
現金300契約負債300

【ヒント】

履行義務を充足する前に(商品を引き渡す前に)代金を受け取った場合は契約負債で処理をします。※契約負債は「前受金」でも可。試験では指示に従ってください。

3級で学習した前受金と同様に考えればOKです。


Q.1-16(Q1-16)4月1日、当社は乙社に対して商品1,000円を「4月中に商品を1,500円以上購入した場合、販売額の10%をリベートとして支払う」という条件で販売し、代金は掛けとした。なお、この条件が達成される可能性は高いと見込まれる。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
売掛金1,000売上900
返金負債100

【ヒント】

①将来にリベート(売上割戻)が予想される場合は、予想される返金額(販売額の10%)を差し引いた額をもって売上を計上します。

将来減額される可能性が高い部分は売上に計上してはいけません。

②予想される返金額は返金負債で処理します。

「契約負債」と間違わないように注意しましょう。


Q.1-17(Q1-17)4月25日、乙社に対して商品500円を掛けで販売し、Q.1-16のリベートの条件が達成された。なお、返金は来月末に行う予定である。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
売掛金500売上450
返金負債50
返金負債150未払金150

【ヒント】

【上の仕訳(商品の販売)】考え方はQ.1-16と同様です。

【下の仕訳(リベートの支払いに関する仕訳)】リベートの条件が達成された時点で、返金負債150円(Q.1-16の100円とQ.1-17の50円)を取り崩します。返金は来月末に行うので、貸方は未払金とします。


Q.1-18(Q1-18)当社は簿記の受験教室を経営している。決算日現在、来月開催予定の体験教室(1日限り)の受講料500円は先に受け取っており、これを前受金で処理している。また、この体験教室に係る費用300円は仕掛品勘定で処理している。なお、仕訳が必要ない場合は「仕訳なし」とすること。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
仕訳なし

【ヒント】

サービスの提供が「一時点で充足される履行義務」である場合(1回限りでサービスの提供が終わるような場合)は、決算時には何も処理しません。ちなみに、本問では過去に次のような仕訳を行っています。

借方金額貸方金額
現金500前受金500
受講料を受け取ったとき
借方金額貸方金額
仕掛品300現金300
費用を支払ったとき

Q.1-19(Q1-19)本日、Q.1-18の体験教室(1日限り)を実施した。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
前受金500役務収益500
役務原価300仕掛品300

【ヒント】

サービスの提供を行ったときに、前受金を役務収益へ振り替えるとともに、仕掛品を役務原価へ振り替えます。


Q.1-20(Q1-20)当社は簿記の受験教室を経営している。決算日現在、来月開講予定の日商簿記1級講座(受講期間1年)の受講料2,000円は先に受け取っており、これを前受金で処理している。また、この講座に係る費用1,000円は仕掛品勘定で処理している。なお、決算の時点で上記講座の7割が終了している。仕訳が必要ない場合は「仕訳なし」とすること。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
前受金1,400役務収益1,400
役務原価700仕掛品700

【ヒント】

サービスの提供が「一定の期間にわたり充足される履行義務」である場合、サービスを提供する期間や進捗度に応じて収益を認識します。

したがって、先に受け取っている(または支払っている)前受金と仕掛品の7割をそれぞれ役務収益・役務原価へ振り替えます。


Q.1-21(Q1-21)Q.1-20の日商簿記1級講座がすべて終了した。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
前受金600役務収益600
役務原価300仕掛品300

【ヒント】

サービスの提供をすべて完了したときは、前受金と仕掛品の残額(3割)をそれぞれ、役務収益と役務原価へ振り替えます。


Q.1-22(Q1-22)当社(決算日は3月31日の年1回)は10月1日に、パソコン本体と1年間のサポートサービスを現金で販売した。契約書に記載された対価の額は2,000円(パソコン本体の対価1,400円、サポートサービスの対価600円)であり、当社ではそれぞれを別個の履行義務として識別している。なお、パソコン本体は契約締結時に引き渡しており、当社は着荷基準によって収益を認識している。また、サポートサービスは本日より開始しており、時の経過(月割計算)に応じて履行義務を充足する。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
現金2,000売上1,400
契約負債600

【ヒント】

①パソコン本体を引き渡す義務は「一時点で充足される履行義務」に該当するため、引き渡した時点でパソコン本体の対価1,400円を売上に計上します。

②一方でサポートサービスは「一定の期間にわたり充足される履行義務」に該当するため、サービスを提供する期間や進捗度に応じて売上を認識します。したがって、この時点ではまだ売上を計上できないので、サポートサービスの対価600円は契約負債とします。

※「契約負債」は「前受金」でも可。試験では指示に従ってください。


Q.1-23(Q1-23)決算をむかえ、Q.1-22のサポートサービスのうち履行義務を充足した部分について収益を計上した。

借方科目金額貸方科目金額
借方金額貸方金額
契約負債300売上300

【ヒント】

①決算において、サポートサービスの提供開始日(10月1日)から決算日(3月31日)までの6か月間の金額を契約負債から売上へ振り替えます。

②金額は「600円×6か月/12か月=300円」です。

※「売上」は「役務収益」でも可。試験では指示に従ってください。