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自家建設による固定資産の取得
すでに日商簿記3級で固定資産を購入した場合の取得原価の計算は勉強しましたね。
しましたよ。購入した場合の取得原価は「(購入代価ー値引)+付随費用」だね。
はい、そうです。しかし建設会社では、営業のために使用する建物などを自前で建設する場合もあります。これを自家建設といいます。
自社ビルを自家建設した。これに要した原価は、材料費¥30,000、労務費¥50,000、経費¥20,000である。
固定資産を自家建設した場合には、適正な原価計算基準にしたがって計算された工事原価を取得原価とします。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
建物 | 100,000 | 材料 | 30,000 |
労務費 | 50,000 | ||
経費 | 20,000 |
交換による固定資産の取得
自己所有の固定資産と交換した場合
当社所有の建物(帳簿価額¥100,000、時価¥90,000)とA社所有の建物(帳簿価額¥110,000、時価¥95,000)を交換し、交換差金¥5,000を現金で支払った。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
建物 | 105,000 | 建物 | 100,000 |
現金 | 5,000 |
自己所有の固定資産と交換に固定資産を取得した場合は、提供した固定資産の適正な簿価を取得原価とします。
ただし、当社の固定資産の時価と相手の固定資産の時価に差額がある場合は、その差額について現金など(交換差金)を支払うことがあります。
同一種類、同一用途どうしの固定資産の交換の場合は投資の継続性が認められるため、交換差損益は認識しないでおこう、とするのがこの考え方です。
自己所有の有価証券と交換した場合
当社所有の有価証券(帳簿価額¥100,000、時価¥120,000)とB社所有の土地(帳簿価額¥110,000、時価¥115,000)を交換した。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
土地 | 120,000 | 有価証券 | 100,000 |
有価証券売却益 | 20,000 |
自己所有の有価証券と交換に固定資産を取得した場合は、提供した有価証券の時価(時価がないときは適正な簿価)を取得原価とします。
種類も用途も異なり投資の継続性は認められないので、売却して有価証券に対する投資を回収し、新たに固定資産に資金が投下された、とするのがこの考え方です。
総合償却
2つ以上の固定資産について、一括して減価償却費を計算・記帳する方法を総合償却といいます。総合償却では、平均耐用年数を用いて減価償却費を計算します。
次の資料にもとづいて、総合償却(定額法)により減価償却費を計算しなさい。なお、残存価額は取得原価の10%である。平均耐用年数は1年未満を切り捨てること。
【資料】
取得原価 | 耐用年数 | |
---|---|---|
A機械 | ¥100,000 | 5年 |
B機械 | ¥300,000 | 10年 |
C機械 | ¥400,000 | 15年 |
平均耐用年数は次の順番で計算します。
①要償却額合計の計算
要償却額とは取得原価から残存価額を控除した金額です。
- A機械:¥100,000×0.9=¥90,000
- B機械:¥300,000×0.9=¥270,000
- C機械:¥400,000×0.9=¥360,000
よって、要償却額の合計は¥720,000となります。
②定額法による年償却額の計算
次に定額法によって各固定資産の減価償却費を計算します。
- A機械:要償却額¥90,000÷5年=¥18,000
- B機械:要償却額¥270,000÷10年=¥27,000
- C機械:要償却額¥360,000÷15年=¥24,000
よって、定額法による年償却額の合計は¥69,000となります。
③平均耐用年数の算定
平均耐用年数は、①要償却額合計を②定額法による年償却額の合計で割って計算します。
①要償却額合計÷②定額法による年償却額の合計
=¥720,000÷¥69,000
=10.4・・・→10年(1年未満切捨て)
④減価償却費の計算
①要償却額合計を③平均耐用年数で割って減価償却費を計算します。
①要償却額合計÷③平均耐用年数
=¥720,000÷10年
=¥72,000