
僕の会社は「いつもニコニコ現金払い」がモットーです。

そうですか。時代の波に逆行してますね。

うん。でも取引のたびに現金や小切手で精算していたら事務処理が大変で。

掛(かけ)にしてみてはどうですか?

掛?それって便利なの?

掛取引は一般的に「ツケ」といわれるものです。今回はその「ツケ」による商品売買取引の処理、掛取引について勉強しましょう。
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掛取引とは?
毎日大量に取引が行われる場合、そのつど個別に現金や小切手で精算していたのでは事務処理が大変になります。その場合、一定期間(1ヶ月など)の取引金額をまとめて精算するほうが効率的なのです。
仕入側の処理
商品を掛けで仕入れたときの仕訳
商品を掛けで仕入れた場合、将来代金を支払う義務が発生します。簿記上、このような義務は負債として扱います。

掛取引で生じた代金を支払う義務は買掛金(かいかけきん)勘定(負債)で処理します。

買掛金は負債(貸借対照表の貸方項目)なので、増加すれば貸方、減少すれば借方に記入します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
150 | 150 |
買掛金を支払ったときの仕訳

買掛金の代金を支払うことによって義務が消滅するので買掛金勘定を減少させます。
小切手の振り出しの処理を忘れた人はこちら。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
150 | 150 |
販売側の処理
商品を掛けで販売したときの仕訳
商品を掛けで販売した場合、将来代金を受け取る権利が発生します。簿記上、このような権利は資産として扱います。

掛取引で生じた代金を受け取る権利は売掛金(うりかけきん)勘定(資産)で処理します。

売掛金は資産(貸借対照表の借方項目)なので、増加すれば借方、減少すれば貸方に記入します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
200 | 200 |
代金を受け取ったときの仕訳

売掛金の代金を受け取ることによって権利が消滅するので売掛金勘定を減少させます。
他人振出しの小切手の処理を忘れた人はこちら。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
200 | 200 |
品違い等による返品の処理方法
次に品違い等による返品をした(返品を受けた)ときの処理を見ていきましょう。
品違い等による返品の処理は全く難しくありません。なぜなら、商品を仕入れたとき、または販売したときの逆仕訳をすればいいだけだからです。
仕入側の仕訳(仕入戻し)
仕入戻しとは、仕入れた商品をそのまま相手に返すことです。

仕入戻しは実質的に最初から商品の仕入れがなかったことと同じなので、商品を仕入れたときの逆仕訳を行うことによって仕入れの仕訳を取り消します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
80 | 80 |
販売側の仕訳(売上戻り)
売上戻りとは、販売した商品がそのまま返ってくることです。

売上戻りは実質的に最初から商品の販売がなかったことと同じなので、逆仕訳を行うことによって販売の仕訳を取り消します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
100 | 100 |
まとめ

掛けを利用した商品売買取引は一般的に行われていますので、実務上も試験上も掛取引に係る処理は基本かつ重要な項目です。

試験に出る?

売掛金と買掛金の処理はどんな簿記の試験でも必ず100%出ます。

100%!言い切って大丈夫なの?

はい。そう言い切れるほど重要な項目なので、このページの内容を完璧に理解してから次へ進むようにしてください。
- 売掛金勘定は資産(貸借対照表の借方項目)なので、商品の販売によって増加すれば借方、決済によって減少すれば貸方に記入する。
- 買掛金勘定は負債(貸借対照表の貸方項目)なので、商品の仕入れによって増加すれば貸方、支払いによって減少すれば借方に記入する。
- 品違い等による返品の処理は、商品を仕入れたときまたは販売したときの逆仕訳をすればいいだけである。