簿記一巡の手続3【精算表】~報告書にミスがないように決算予備手続~

問題

次の資料にもとづいて、以下の問いに答えなさい

【資料1】決算整理前残高試算表(一部)

決算整理前残高試算表(一部)

借方勘定科目貸方
950現金
150繰越商品
1,150 仕入
(以下省略)

【資料2】決算整理事項等

  1. 現金の実際有高は¥900であった。帳簿残高との差額は原因不明のため、雑損または雑益で処理する。
  2. 期末商品棚卸高は¥200である。なお、売上原価は「仕入」の行で計算すること。

【問】次の精算表(一部)を完成させなさい。

精算表(一部)

勘定科目試算表修正記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金950
繰越商品150
仕入1,150
(以下省略)(省略)(省略)
(省略)(省略)
(以下省略)




解答

精算表(一部)

勘定科目試算表修正記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金95050900
繰越商品150200150200
仕入1,1501502001,100
(以下省略)(省略)(省略)
(省略)(省略)
雑損5050
(以下省略)

解説

決算整理事項1

借方金額貸方金額
雑損50現金50

現金の帳簿残高を実際有高に合わせるため、帳簿の金額を¥50減らします。相手科目は借方なので、費用の「雑損」とします。現金が減ったので損をしたということです。

決算整理事項2

借方金額貸方金額
仕入150繰越商品150
繰越商品200仕入200

三分法では繰越商品の金額は期中において変動しないので、前TBの「繰越商品」は期首商品を表します。期首商品は期中にすべて販売したと考え、これを「仕入」(売上原価)に振り替えます。

また、期末商品棚卸高は販売せずに期末に残っている商品なので、これを売上原価(「仕入」)から除外し、「繰越商品」(資産)として次期へ繰り越します。

精算表の記入方法

まず、決算整理仕訳を修正記入欄にそのまま記入していきます。なお、前TB(試算表欄)に科目がない場合は試算表欄の合計線(二重線)の下に新たに勘定科目を追加します。

「現金」と「繰越商品」は資産なので、修正記入欄の借方の金額はプラス貸方の金額はマイナスをしたうえで、貸借対照表欄の借方に記入します。また「仕入」と「雑損」は費用なので、修正記入欄の借方の金額はプラス貸方の金額はマイナスをしたうえで、損益計算書欄の借方に記入します。

MEMO

貸方の科目(収益・負債・純資産)の場合は、修正記入欄の借方の金額をマイナス貸方の金額をプラスします。

簿記一巡の全体像

精算表は一連の決算手続をまとめた一覧表です。複雑な決算手続をいきなり帳簿に記入するとミスを起こしやすい、事前に決算の結果を知ることにより経営意思決定に役立つ、などの目的から帳簿外で作成されます。