試験範囲の改定事項(2021年度)はコチラ

組別総合原価計算の問題と計算方法の解説

組別総合原価計算の問題と計算方法の解説

前回は組別総合原価計算の概要について説明しましたが、今回は基本的な例題を使って問題の解き方や具体的な計算方法を見ていくことにしましょう。

組別総合原価計算の例題

当工場では、A製品とB製品の2種類の製品を生産しており、組別総合原価計算を採用している。次の資料に基づいて、各製品の当月の完成品原価および月末仕掛品原価を求めなさい。

1.生産データ

生産データ

注)材料はすべて始点で投入している。( )内は加工進捗度を示す。

2.製造原価データ

製造原価データ

3.当工場では、直接材料費は組直接費、加工費は組間接費として処理している。組間接費は各組製品の加工時間を基準として配賦している。当月の加工時間は次の通りであった。

各組製品の加工時間

4.完成品と月末仕掛品への原価配分は先入先出法による。

組間接費の配賦

組直接費は各組製品ごとの金額が把握できるので、組直接費である直接材料費はそのまま各組製品へ賦課すればいいだけです。

しかし組間接費である加工費は、どの製品にいくらかかったのかが明確にわからないので、その総額が把握されているだけで各組製品ごとの金額の内訳がわかりません。そこで、まずは組間接費の配賦を行います。

組直接費と組間接費の意味が分からない人はこちら。

【組別総合原価計算とは?】組直接費と組間接費の分類および一連の計算手続き【組別総合原価計算とは?】組直接費と組間接費の分類および一連の計算手続き

例題では加工時間を基準として配賦することとなっているので、加工時間の合計40,000時間を基準として、当月の加工費の合計¥800,000を配賦します。

加工費の配賦率

=当月の加工費の合計¥800,000÷加工時間の合計40,000時間

=@¥20/時間

これは加工時間1時間当たり¥20の加工費を配賦するということなので、各組製品の加工費は次のようになります。

  • A製品の加工費配賦額:@¥20×A製品の加工時間12,000時間=¥240,000
  • B製品の加工費配賦額:@¥20×B製品の加工時間28,000時間=¥560,000
MEMO
組間接費を配賦した後は、製品の種類だけ単純総合原価計算を繰り返していきます。

A製品の計算

直接材料費の計算

原価の配分方法は先入先出法なので、まず月末仕掛品原価を計算して貸借の差額で完成品原価を計算します。

計算方法がわからない人はこちら。

総合原価計算の効率的な問題の解き方・テクニックを解説総合原価計算の効率的な問題の解き方・テクニックを解説

ボックス図

問題を解く際は次のようなボックス図を書いて計算していきましょう。

直接材料費の計算

月末仕掛品に含まれる直接材料費

当月の直接材料費¥220,000÷当月投入1,000個×月末仕掛品400個

=¥88,000

完成品に含まれる直接材料費

(月初仕掛品の直接材料費+当月の直接材料費)-月末仕掛品の直接材料費

=(¥76,000+¥220,000)-¥88,000

=¥208,000

加工費の計算

ボックス図

加工費については完成品換算量を使って計算することに注意してください。当月投入量は貸借の差額で計算します。

加工費の計算

完成品換算量の計算
  • 月初仕掛品換算量:500個×60%=300個
  • 月末仕掛品換算量:400個×40%=160個
  • 当月投入換算量:1,100個+160個-300個=960個

月末仕掛品に含まれる加工費

当月の加工費¥240,000÷当月投入960個×月末仕掛品160個

=¥40,000

完成品に含まれる加工費

(月初仕掛品の加工費+当月の加工費)-月末仕掛品原価の加工費

=(¥85,000+¥240,000)-¥40,000

=¥285,000

答え(A製品)

  • 月末仕掛品原価:直接材料費¥88,000+加工費¥40,000=¥128,000
  • 完成品原価:直接材料費¥208,000+加工費¥285,000=¥493,000

B製品の計算

B製品の計算方法も基本的にはA製品と同じですが、直接材料費と加工費を同じボックスに書いていくと一度に計算できるので効率的に解くことができます。

直接材料費と加工費を一度に計算する場合

※( )内の数字は完成品換算量を示す。

月末仕掛品原価の計算

月末仕掛品に含まれる直接材料費

当月の直接材料費¥450,000÷当月投入2,000個×月末仕掛品600個

=¥135,000

月末仕掛品に含まれる加工費

当月の加工費¥560,000÷当月投入1,600個×月末仕掛品120個

=¥42,000

月末仕掛品原価

直接材料費¥135,000+加工費¥42,000

¥177,000

完成品原価

借方合計¥1,182,000-月末仕掛品原価¥177,000

¥1,005,000

例題を解いてみてお分かりのとおり、組別総合原価計算では製品の種類だけ単純総合原価計算を繰り返さなければなりません。製品の種類が少なければ問題ないのですが、製品の種類が多くなると計算がかなり大変になります。

このように、組別総合原価計算では製品の種類が多くなるほど計算に手数がかかるというデメリットがあります。しかしその反面、各製品の原価を正確に計算できるというメリットもあります。