切放法と洗替法

問題

次の資料にもとづき、以下の各問いに答えなさい。ただし、使用する勘定科目は次の中から最も適当と思われるものを選ぶこと。なお、AA社株式は移動平均法、分記法によって記帳している。また、当期首においてAA社株式は保有していない。

当座預金売買目的有価証券有価証券売却損有価証券評価損
有価証券売却益有価証券評価益

【資料】AA社株式の売買状況

  1. ×1年12月1日、売買目的でAA社株式50株を1株@¥105で購入し、代金は当座預金から支払った。
  2. ×2年2月1日、売買目的でAA社株式100株を1株@¥120で購入し、代金は当座預金から支払った。
  3. ×2年3月31日、決算となった。決算日におけるAA社株式の時価は1株@¥118であった。
  4. ×2年4月1日、期首となった。
  5. ×2年5月1日、保有するAA社株式のすべてを1株@¥125で売却し、代金は当座預金とした。

【問1】切放法によって仕訳をしなさい。

【問2】洗替法によって仕訳をしなさい。




解答

借方科目金額貸方科目金額
1売買目的有価証券5,250当座預金5,250
2売買目的有価証券12,000当座預金12,000
3売買目的有価証券450有価証券評価益450
4仕訳なし
5当座預金18,750売買目的有価証券17,700
有価証券売却益1,050

解説

1.と2.の解説

「売買目的で」取得したので売買目的有価証券で処理をします。

1.の金額:50株×@¥105=¥5,250

2.の金額:100株×@¥120=¥12,000

平均単価:(¥5,250+¥12,000)÷150株=@¥115

3.の解説

売買目的有価証券は決算において時価に評価替えをします。

簿価:¥17,250(¥5,250+¥12,000)

時価:¥17,700(150株×@¥118)

よって、簿価を時価まで切り上げるので売買目的有価証券を¥450増やして、簿価と時価の差額を有価証券評価益とします。

MEMO

「(時価@¥118ー平均単価@¥115)×150株=+¥450」で計算しても構いません。

4.の解説

切放法では期末の時価を翌期の帳簿価額とするので、翌期首において仕訳は必要ありません。

5.の解説

売却価額と帳簿価額(前期末時価)の差額を有価証券売却益で処理します。

(売却価額@¥125ー帳簿価額(前期末時価)@¥118)×150株=+¥1,050

解答

借方科目金額貸方科目金額
1売買目的有価証券5,250当座預金5,250
2売買目的有価証券12,000当座預金12,000
3売買目的有価証券450有価証券評価益450
4有価証券評価益450売買目的有価証券450
5当座預金18,750売買目的有価証券17,250
有価証券売却益1,500

解説

1~3の仕訳は問1(切放法)と同じです。

4.の解説

洗替法では翌期首において帳簿価額(前期末時価)を取得原価に振り戻し、取得原価を翌期の帳簿価額とします。

MEMO

前期末に行った時価評価の逆仕訳をすればOKです。

5.の解説

売却価額と帳簿価額(取得原価)の差額を有価証券売却益で処理します。

(売却価額@¥125ー平均単価(取得原価)@¥115)×150株=+¥1,500

MEMO

「売却額¥18,750ー取得原価¥17,250=¥1,500」で計算したほうがわかりやすいかもしれません。

切放法と洗替法

有価証券の評価益も売却益も、ともに有価証券の運用によって生じた損益であるとみた場合、どちらの方法でも利益に与える影響は同じになります。