次回の日商簿記試験(第162回)は2022年11月20日です

売買目的有価証券の仕訳問題

問題

次の一連の取引について、以下の問いに答えなさい。ただし、使用する勘定科目は次の中から最も適当と思われるものを選ぶこと。なお、AA社株式は移動平均法、分記法によって記帳している。また、当期首においてAA社株式は保有していない。

現金当座預金売買目的有価証券未収入金
未払金有価証券売却損有価証券評価損有価証券売却益
有価証券評価益受取配当金

① ×5年6月1日、売買目的でAA社株式1,500株を1株490円で購入し、代金は手数料10,000円とともに小切手を振り出して支払った。

② ×5年9月1日、売買目的でAA社株式500株を1株500円で購入し、代金は手数料3,000円とともに小切手を振り出して支払った。

③保有するAA社株式について、20,000円の株式配当金領収証が送付されてきた。

④ ×5年12月1日、AA社株式800株を1株505円で売却し、代金は来月末に受け取ることとした。

⑤ ×6年3月31日、決算日を迎え、AA社株式について評価替えを行った。決算日におけるAA社株式の時価は1株@492円である。


【問1】①~⑤の取引について仕訳をしなさい。

【問2】決算整理前残高試算表における売買目的有価証券の金額を答えなさい。

【問3】決算整理後残高試算表における売買目的有価証券の金額を答えなさい。




解答

借方科目 金額 貸方科目 金額
売買目的有価証券 745,000 当座預金 745,000
売買目的有価証券 253,000 当座預金 253,000
現金 20,000 受取配当金 20,000
未収入金 404,000 売買目的有価証券 399,200
有価証券売却益 4,800
有価証券評価損 8,400 売買目的有価証券 8,400

解説

①と②の仕訳

短期売買目的で保有する有価証券は売買目的有価証券勘定で処理します。また有価証券の取得原価は、購入代価(有価証券の本体価格)に付随費用(証券会社に支払う手数料など)を加えた金額とします。

取得原価の計算方法

① 1,500株×@490円+10,000円=745,000円

② 500株×@500円+3,000円=253,000円

③の仕訳

株式配当金領収証は通貨代用証券なので現金勘定で処理します。また、貸方は受取配当金(営業外収益)となります。

④の仕訳

同一銘柄の有価証券を複数回に分けて購入している場合は、移動平均法(平均原価法)によって計算します。移動平均法とは、取得原価の合計金額を取得株式数の合計で割ったものを平均単価とし、これを使って売却時の帳簿価額を計算する方法です。

取得原価の合計金額(745,000円+253,000円)÷取得株式数の合計(1,500株+500株)=平均単価@499円

MEMO

平均単価は@499円なので、売却する売買目的有価証券の簿価は399,200円(800株×@499円)となります。

「簿価399,200円<売却額404,000円(800株×@505円)」となるので、簿価と売却額との差額を有価証券売却益(営業外収益)で処理します。

注意

「代金は来月末に受け取ることとした」とあるので、未収入金勘定で処理することに注意しましょう。

【参考】分記法と総記法

売買目的有価証券の記帳方法には分記法と総記法があります。

分記法とは、売買目的有価証券を売却したときに、簿価と売却額の差額を有価証券売却損益で処理する方法です。日商簿記2級ではこの分記法が出題されます。

一方、総記法とは、売買目的有価証券を売却したときには売却額をもって売買目的有価証券を減少させ、決算において簿価と売却額の差額を有価証券売却損益に振り替える方法です。

⑤の仕訳

売買目的有価証券は時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益(営業外損益)とします。したがって、決算時には帳簿価額を時価に評価替えするための仕訳が必要となります。

決算日に保有しているAA社株式の簿価は598,800円(①745,000円+②253,000円ー④399,200円)で、決算日における時価は590,400円(1,200株×@492円)です。

MEMO

決算日における保有株式数は「①1,500株+②500株ー④800株」で1,200株となります。

「時価<簿価」となっているので、売買目的有価証券の簿価を時価まで切り下げるとともに、両者の差額を有価証券評価損勘定(営業外費用)で処理します。

時価590,400円ー簿価598,800円=△8,400円(評価損)

解答

【問2】の答え

598,800円

【問3】の答え

590,400円

解説

【問2】の解説

決算整理前残高試算表における売買目的有価証券の金額は、決算日(評価替えを行う前)の帳簿価額なので、598,800円(①745,000円+②253,000円ー④399,200円)となります。

【問3】の解説

決算整理後残高試算表における売買目的有価証券の金額は、評価替えを行った後の金額(決算時の時価)なので、590,400円(598,800円ー8,400円)となります。

MEMO

「時価@492円×1,200株」で計算しても構いません。