問題
次の各問いに答えなさい。なお、会計期間は×5年4月1日から×6年3月31日までの1年間である。
【問1】次の一連の取引について、仕訳を答えなさい。ただし、仕訳の必要がない場合は「仕訳なし」と明記すること。また、使用する勘定科目は次の中から最も適当と思われるものを選ぶこと。
当座預金 | 満期保有目的債券 | 未収有価証券利息 | 有価証券利息 |
①×5年10月1日、満期保有目的で額面総額1,000,000円のA社社債(利率:年1.2%、利払日:9月末と3月末の年2回、償還日:×10年9月30日)を額面@100円につき@96.0円で購入し、代金は小切手を振り出して支払った。なお、額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認められない。
②×6年3月31日、A社債の利息が当座預金口座に振り込まれた。
③同日、決算日を迎えた。
【問2】次の一連の取引について、以下で示す各勘定に記入しなさい。ただし、使用する勘定科目等は次の中から最も適当と思われるものを選ぶこと。なお、総勘定元帳は英米式決算法によって締め切るものとする。
当座預金 | 満期保有目的債券 | 有価証券利息 | 損益 |
前期繰越 | 次期繰越 |
①×5年10月1日、満期保有目的で額面総額800,000円のA社社債(利率:年1.2%、利払日:9月末の年1回、償還日:×10年9月30日)を額面@100円につき@98.5円で購入し、代金は小切手を振り出して支払った。なお、額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認められる。
②×6年3月31日、決算日を迎え、A社債について当期の未収分の利息を計上するとともに、償却原価法(定額法)で評価する。
解答
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
① | 満期保有目的債券 | 960,000 | 当座預金 | 960,000 |
② | 当座預金 | 6,000 | 有価証券利息 | 6,000 |
③ | 仕訳なし |
解説
①の仕訳
満期まで保有する意図をもって取得した社債等の債券は満期保有目的債券勘定で処理します。取得原価は次のように計算します。
取得原価:額面総額1,000,000円×@96.0円/@100円=960,000円
②の仕訳
有価証券の利息を受け取ったときは、有価証券利息勘定(営業外収益)で処理します。有価証券利息の金額は次のように計算します。
有価証券利息:額面総額1,000,000円×年利率1.2%×6か月/12か月=6,000円
③の仕訳
「額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認められない」とあるので、取得原価をもって貸借対照表価額とします。つまり、評価替え等の決算整理仕訳は必要ありません。
解答
解説
①の仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
満期保有目的債券 | 788,000 | 当座預金 | 788,000 |
取得原価:額面総額800,000円×@98.5円/@100円=788,000円
②の仕訳
未収分の利息の計上
利払日と決算日が異なる場合、有価証券利息の未収分(取得日×5年10月1日~決算日×6年3月31日)を計上します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
未収有価証券利息 | 4,800 | 有価証券利息 | 4,800 |
未収有価証券利息:額面総額800,000円×1.2%×6か月/12か月=4,800円
償却原価法(定額法)の適用
額面金額と取得原価の差額は金利の調整と認められる場合は、償却原価法にもとづいて算定された価額をもって貸借対照表価額とします。
償却原価法(定額法)とは、額面金額と取得原価の差額を取得日から満期日(償還日)に至るまで、毎期均等額を貸借対照表価額に加減する方法をいいます。
(額面金額800,000円ー取得原価788,000円)×6か月/60か月=1,200円
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
満期保有目的債券 | 1,200 | 有価証券利息 | 1,200 |