問題
当工場では単純総合原価計算を採用している。次の資料にもとづいて、以下の各問いに答えなさい。
【資料】
1.生産データ
月初仕掛品 | 500kg | (20%) |
当月投入量 | 4,200kg | |
合計 | 4,700kg | |
正常仕損 | 100kg | |
月末仕掛品 | 600kg | (50%) |
完成品 | 4,000kg |
(注)直接材料は工程の始点で投入しており、( )内の数値は加工進捗度を表している。
2.原価データ
直接材料費 | 加工費 | 合計 | |
月初仕掛品 | 284,000円 | 183,400円 | 467,400円 |
当月製造費用 | 2,042,500円 | 1,700,000円 | 3,742,500円 |
合計 | 2,326,500円 | 1,883,400円 | 4,209,900円 |
3.計算条件
(1)原価配分方法は平均法である。
(2)正常仕損品の評価額は265円/kgであり、材料の価値に依存している。
(3)正常仕損費の負担関係は、正常仕損の発生点と月末仕掛品の加工進捗度を比較して各自判断すること。
(4)正常仕損費を月末仕掛品にも負担させる場合は度外視法によって処理を行う。
【問1】仕損が工程の40%で発生した場合、完成品総合原価および月末仕掛品原価を計算しなさい。
【問2】仕損が工程の80%で発生した場合、完成品総合原価および月末仕掛品原価を計算しなさい。
解答
完成品総合原価:3,752,000円(直接材料費2,000,000円+加工費1,752,000円)
月末仕掛品原価:431,400円(直接材料費300,000円+加工費131,400円)
解説
仕損が月末仕掛品の加工進捗度よりも手前で発生する場合、完成品だけでなく月末仕掛品からも仕損が発生していると考えられるので、正常仕損費は完成品と月末仕掛品の両者に負担させます。
直接材料費
計算上の投入量にもとづいた単価(正常仕損費を負担した単価)
(インプット合計¥2,326,500ー正常仕損品評価額¥26,500)÷4,600kg=¥500/kg
(※)正常仕損品評価額:¥265/kg×100kg
月末仕掛品原価
¥500/kg×600kg=¥300,000
完成品原価
(インプット合計¥2,326,500ー正常仕損品評価額¥26,500)ー月末仕掛品原価¥300,000=¥2,000,000
加工費
計算上の投入量にもとづいた単価(正常仕損費を負担した単価)
インプット合計¥1,883,400÷(完成品4,000kg+月末仕掛品換算量300kg)=¥438/kg
月末仕掛品原価
¥438/kg×300kg=¥131,400
完成品原価
インプット合計¥1,883,400ー月末仕掛品原価¥131,400=¥1,752,000
解答
完成品総合原価:3,757,400円(直接材料費2,029,500円+加工費1,754,400円ー正常仕損品評価額26,500円)
月末仕掛品原価:426,000円(直接材料費297,000円+加工費129,000円)
解説
仕損が月末仕掛品の加工進捗度より後ろで発生する場合、月末仕掛品からは仕損が発生していないと考えられるため、正常仕損費はすべて完成品に負担させます。
計算方法としては、まず通常通り(評価額のことは考えずに)月末仕掛品原価および完成品原価を計算します。
正常仕損費を完成品のみに負担させる場合、この段階においては評価額を控除しないようにしてください。
加工費の計算において、正常仕損品は発生点を掛けた換算量を用いることに注意しましょう。
直接材料費
実際の投入量にもとづいた単価(正常仕損費を負担しない単価)
インプット合計¥2,326,500÷(完成品4,000kg+正常仕損100kg+月末仕掛品600kg)=¥495/kg
月末仕掛品原価
¥495/kg×600kg=¥297,000
完成品原価
インプット合計¥2,326,500ー月末仕掛品原価¥297,000=¥2,029,500
加工費
実際の投入量にもとづいた単価(正常仕損費を負担しない単価)
インプット合計¥1,883,400÷(完成品4,000kg+正常仕損80kg+月末仕掛品換算量300kg)=¥430/kg
月末仕掛品原価
¥430/kg×300kg=¥129,000
完成品原価
インプット合計¥1,883,400ー月末仕掛品原価¥129,000=¥1,754,400
完成品総合原価
正常仕損費を完成品のみに負担させる場合、正常仕損品評価額は最終的に完成品総合原価から控除します。
よって、完成品総合原価は3,757,400円(=直接材料費2,029,500円+加工費1,754,400円ー正常仕損品評価額26,500円)となります。