次回の日商簿記試験(第161回)は2022年6月12日です

収益認識基準に関する問題1(商品の販売)

問題

以下の各問いに答えなさい。ただし、使用する勘定科目は次の中から最も適当と思われるものを選ぶこと。なお当社では、収益の認識について引渡基準(着荷基準)によっている。

現金当座預金売掛金契約資産
買掛金契約負債返金負債売上
仕入

【問1】次の一連の取引について仕訳を答えなさい。

①当社は商品A(200,000円)と商品B(300,000円)を甲社へ販売する契約を締結するとともに、商品Aを甲社へ引き渡した。なお、代金は商品Bを引き渡した後に請求する契約となっており、200,000円についてはまだ顧客との契約から生じた債権となっていない。また、商品Aの引き渡しと商品Bの引き渡しは、それぞれ独立した履行義務として識別する。

②甲社へ商品Bを引き渡した。また、今月末に商品Aと商品Bの代金請求書を送付する予定である。


【問2】次の一連の取引について仕訳を答えなさい。

①当社は商品C(400,000円)を乙社へ販売する契約を締結するとともに、手付金として100,000円を現金で受け取った。

②商品Cを乙社へ引き渡した。代金は後日、当座預金口座へ振り込まれる予定である。

解答

借方科目 金額 貸方科目 金額
契約資産 200,000 売上 200,000
売掛金 500,000 売上 300,000
契約資産 200,000

解説

対価の受け取りには商品Bの引き渡しという条件が必要であり、①の時点ではまだ代金を受け取る権利(法的な代金請求権)がないので、売掛金等は使えないということになります。

このような、収益を計上したが企業が得る権利(代金請求権など)が無条件ではない取引(対価の受け取りに時の経過以外の条件が必要な取引)の場合、契約資産勘定を使って処理をします。

また、商品Bを引き渡すことによって代金を受け取る権利(法的な代金請求権)が生じるので、②の時点で契約資産から売掛金へ振り替えます

解答

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 100,000 契約負債 100,000
契約負債 100,000 売上 400,000
売掛金 300,000

解説

収益を計上する前に(履行義務を果たす前に)、顧客から対価を受け取った(または対価を受け取る期限が到来した)場合は契約負債勘定で処理をし、商品を引き渡したとき(履行義務を果たしたときに)に契約負債から売上へ振り替えます。

注意

「代金は後日、当座預金口座へ振り込まれる予定」とあるので、当座預金ではなく売掛金を使うということに注意してください。

【参考】収益認識基準に関する主な用語

最後に収益認識基準に関する主な用語をまとめておきたいと思います。覚える必要はありませんが、問題文を理解するために大体の意味は知っておいた方がいいと思います。

  • 契約資産:企業が顧客に移転した財またはサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利(顧客との契約から生じた債権を除く)
  • 契約負債:財またはサービスを顧客に移転する企業の義務に対して、企業が顧客から対価を受け取ったものまたは対価を受け取る期限が到来しているもの
  • 顧客との契約から生じた債権:企業が顧客に移転した財またはサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利のうち無条件のもの(売掛金等で処理するもの)
  • 履行義務:顧客との契約において、資産を顧客に移転する約束
  • 契約:法的な強制力のある権利および義務を生じさせる複数の当事者間における取決め
MEMO

少しわかりにくいのでざっくり説明すると、「顧客」はお客さん、「財」は商品、「移転する」は渡す(提供する)、「対価に対する企業の権利」は代金を受け取る権利、と読み替えていただくと分かりやすいと思います。

「契約資産」と「顧客との契約から生じた債権」の違い

両者は「対価に対する企業の権利が無条件(対価を受け取る期限が到来する前に必要となる条件が時の経過のみ)であるかどうか」によって区分されます。

試験では「まだ顧客との契約から生じた債権となっていない」とか「対価に関する無条件の権利はない」などの記述がある場合(または記述がなくてもそのような状況と判断できる場合)は契約資産で処理することとなります。