収益認識基準に関する問題2(売上割戻)

問題

当社は以下の条件で商品A(販売価格@100円)を甲社および乙社へ販売している。そこで、【4月中の取引】の①~⑤の仕訳を答えなさい。ただし、使用する勘定科目は次の中から最も適当と思われるものを選ぶこと。

現金売掛金契約資産買掛金
契約負債返金負債未払金売上
仕入

【条件】

(1)4月中の商品Aの販売数量が甲社および乙社それぞれ500個に達した場合、1個当たり5円をリベートとして支払う。この金額については取引価格に含めないものとする。

(2)リベートによる返金は5月末に現金で支払う。

(3)4月中における甲社および乙社への販売数量はともに600個と予想しており、リベートの条件が達成される可能性は高い。

【4月中の取引】

①4月1日、甲社に対して商品Aを300個販売し、代金は掛けとした。

②4月5日、乙社に対して商品Aを200個販売し、代金は掛けとした。

③4月10日、買掛金50,000円の決済日となったが、先月の仕入金額が一定額を超えたため買掛金の2%について支払いの免除を受け、この支払免除額を差し引いた残額を小切手を振り出して支払った。

④4月20日、甲社に対して商品A300個を掛けで販売し、リベートの条件が達成された。

⑤4月30日、4月5日の販売以外に乙社に対する商品Aの販売はなく、売上割戻が適用されなかった。




解答

借方科目 金額 貸方科目 金額
売掛金 30,000 売上 28,500
返金負債 1,500
売掛金 20,000 売上 19,000
返金負債 1,000
買掛金 50,000 仕入 1,000
当座預金 49,000
売掛金 30,000 売上 28,500
返金負債 1,500
返金負債 3,000 未払金 3,000
返金負債 1,000 売上 1,000

解説

①と②の仕訳

収益として計上する金額(取引価格)は、変動対価などの影響を考慮して算定します。変動対価とは、顧客と約束した対価のうち、変動する可能性があるものをいい、例えば売上割戻などがあります。

割戻の適用が予想される商品を販売した場合、商品の販売代金のうち、将来返金の予定がある部分を返金負債で処理します。

MEMO

したがって収益(売上)の金額は、商品の販売代金から予定される返金額(返金負債)を控除したものとなります。

③の仕訳

仕入割戻

「先月の仕入金額が一定額を超えたため買掛金の2%について支払いの免除を受け」とあることから、仕入割戻を受けたことがわかります。仕入割戻を受けた場合は、商品を仕入れたときの逆仕訳をします。

借方科目 金額 貸方科目 金額
買掛金 1,000 仕入 1,000

¥50,000×2%=¥1,000

買掛金の支払い

割戻の金額を差し引いた残額を支払います。

借方科目 金額 貸方科目 金額
買掛金 49,000 当座預金 49,000
MEMO

上の2つの仕訳を合算したものが解答の仕訳となります。

④の処理

リベートの条件が達成されたときは、①と④の返金負債を取り崩します。

注意

リベートによる返金は5月(来月)末に行うので、この時点では現金ではなく未払金で処理をすることに注意してください。

⑤の仕訳

乙社に対する売上割戻の条件が達成されなかったので、②の返金負債を売上へ振り替えます

MEMO

販売時には返金予定額を売上から控除していたので、返金されない場合はそれを再び売上へ戻してやるというイメージです。