外貨建取引の仕訳問題

問題

次の一連の取引について仕訳を示しなさい。ただし、使用する勘定科目は以下の中から最も適切なものを選ぶこと。なお、会計期間は3月31日を決算日とする1年間である。

当座預金売掛金前払金買掛金
前受金仕入売上為替差損益

①×7年4月1日(為替レート:1ドル=¥118)、商品100ドルを輸入し代金は掛けとした。代金の決済日は×7年5月31日である。

②×7年5月31日(為替レート:1ドル=¥115)、上記①の商品の代金100ドルを支払うため、取引銀行でドルに両替し、当座預金口座から支払った。

③×8年3月1日(為替レート:1ドル=¥124)、商品150ドルを輸出し代金は掛けとした。代金の決済日は×8年4月30日である。

④×8年3月31日(為替レート:1ドル=¥123)、本日、決算を迎えた。

⑤×8年4月30日(為替レート:1ドル=¥120)、上記③の商品の代金150ドルについて、取引銀行で円貨に両替し、当座預金口座に入金した。

⑥×8年9月1日(為替レート:1ドル=¥121)、商品80ドルを輸入するため、手付金20ドルを取引銀行でドルに両替し、当座預金口座から支払った。

⑦×8年9月30日(為替レート:1ドル=¥122)、上記⑥の商品80ドルを輸入し、手付金20ドルを差し引いた残額60ドルを掛けとした。




解答

借方科目金額貸方科目金額
仕入11,800買掛金11,800
買掛金11,800当座預金11,500
為替差損益300
売掛金18,600売上18,600
為替差損益150売掛金150
当座預金18,000売掛金18,450
為替差損益450
前払金2,420当座預金2,420
仕入9,740前払金2,420
買掛金7,320

解説

①の取引

外貨建取引が発生したときは、取引発生時の為替レートで換算します。

100ドル×@¥118(×7年4月1日)=¥11,800

②の取引

代金を決済したときは、取引発生時のレートと決済時のレートの差額を為替差損益とします。この場合は、買掛金¥11,800を支払うのに¥11,500で済んだので得をしたということです(為替差益)。

支払額:100ドル×@¥115(×7年5月31日)=¥11,500

MEMO

ドルに両替するということは「円を売ってドルを買う」ということです。つまり、決済日には買掛金100ドルを返済するために銀行から100ドルを買う必要がありますが、円高になって(円の価値が上がって)100ドルを買うために必要な金額が減ったので得をしたということです。

③の取引

外貨建取引が発生したときは、取引発生時の為替レートで換算します。

150ドル×@¥124(×8年3月1日)=¥18,600

④の取引

売掛金などの貨幣項目(将来現金化される資産や負債)は、決算において決算時のレートに換算替えをし、換算差額は為替差損益とします。

取引時¥18,600→決算時¥18,450(150ドル×@¥123)

売掛金という資産が¥150減ったので損をしたということです(為替差損)。

⑤の取引

代金を決済したときは、決算時(前期末)のレートと決済時のレートの差額を為替差損益とします。この場合は、売掛金¥18,450について¥18,000しか受け取れなかったので損をしたということです(為替差益)。

受取額:150ドル×@¥120(×8年4月30日)=¥18,000

MEMO

円に両替するということは「ドルを売って円を買う」ということです。つまり、受け取った150ドルを売ったときに、円高になっていて(ドルの価値が下がっていて)、少ない金額でしか売れなかったために損をしたということです。

⑥の取引

手付金(前払金)を支払ったときは、支払い時の為替レートで換算します。

20ドル×@¥121(×8年9月1日)=¥2,420

⑦の取引

商品を受け取ったときは、まず前払金を取り崩し、買掛金は取引発生時のレートで換算します。

買掛金:60ドル×@¥122(×8年9月30日)=¥7,320

また、仕入の金額は貸方の合計額を記入します

注意!

仕入の金額は取引発生時のレートで換算しないように注意してください。