外貨建金銭債権債務の換算替えに関する問題

問題

次の資料にもとづいて、【資料3】の損益計算書および貸借対照表を完成させなさい。なお、決算時の為替相場は1ドル=¥118である。

【資料1】決算整理前残高試算表(一部)

【資料2】決算整理事項等

①現金の期末残高には、当期に取得した外貨建通貨500ドル(発生時の為替相場:1ドル=¥114)が含まれている。

②売掛金の期末残高には、当期に商品1,000ドル(取引時の為替相場:1ドル=¥110)を海外の得意先に販売したことにより生じたものが含まれている。

③買掛金の期末残高には、当期に商品800ドル(取引時の為替相場:1ドル=¥115)を海外の仕入先から購入したことにより生じたものが含まれている。

④売掛金の期末残高に対し、2%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。

【資料3】損益計算書および貸借対照表(一部)

(注)記入の必要のない箇所は空欄のままにしておくこと。




解答

解説

現金預金、売掛金、買掛金などの貨幣項目(将来現金化される資産・負債)は、決算において決算時の為替相場で換算替えを行います

①現金の換算

借方科目金額貸方科目金額
現金2,000為替差損益2,000

前T/B¥57,000(500ドル×@¥114)→後T/B¥59,000(500ドル×@¥118)

∴現金という資産が¥2,000増えたので得をした(為替差益)。

MEMO

「(@¥118ー@¥114)×500ドル=¥2,000」で計算しても構いません。

②売掛金の換算

借方科目金額貸方科目金額
売掛金8,000為替差損益8,000

前T/B¥110,000(1,000ドル×@¥110)→後T/B¥118,000(1,000ドル×@¥118)

∴売掛金という資産が¥8,000増えた(将来受け取る金額が増えた)ので得をした(為替差益)。

③買掛金の換算

借方科目金額貸方科目金額
為替差損益2,400買掛金2,400

前T/B¥92,000(800ドル×@¥115)→後T/B¥94,400(800ドル×@¥118)

∴買掛金という負債が¥2,400増えた(将来支払う金額が増えた)ので損をした(為替差損)。

④貸倒引当金の計上

借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金繰入2,660貸倒引当金2,660

貸倒引当金は換算後の売掛金の残高に基づいて計算します。

売掛金期末残高(¥300,000+¥8,000)×2%ー¥3,500=¥2,660

為替差損益

帳簿(仕訳)上は為替差損益としますが、損益計算書に表示するときは貸借を相殺して為替差損(借方残高)または為替差益(貸方残高)のどちらかのみを記載します。

前T/B¥4,000+¥2,000+¥8,000ー¥2,400=¥11,600(為替差益)