問題
次の資料に基づいて、以下の【保険料勘定および前払保険料勘定】の記入を行いなさい。なお、会計期間は×8年4月1日から×9年3月31日までの1年間である。
【資料】保険料はすべて建物に対するものであり、毎年7月1日に向こう1年分を現金で前払いしているが、当期支払分より、前期までの保険料に比して10%値上がりしている。なお、決算整理前残高試算表における保険料の金額は¥162,000であった。
【保険料勘定および前払保険料勘定】

解答
解説
保険料は7月1日に12か月分を支払っており、当期に属さない3か月分(×9年4月1日~6月30日)を前払いしていることになるので、この部分を前払保険料として繰り延べます。
保険料の推定
まず前期支払分(値上がり前)の1か月分の保険料を”Y”と置いた上で、前期末からの仕訳から順に考えて保険料を推定します。
1.
前期末の仕訳
(借)前払保険料 3Y
(貸)保険料 3Y
前期末には3か月分の保険料を繰り延べる処理をしています。
2.
再振替仕訳
(借)保険料 3Y
(貸)前払保険料 3Y
当期首には再振替仕訳を行っています。この金額が前T/Bの保険料に含まれていることに注意してください。
3.
保険料の支払
(借)保険料 13.2Y
(貸)現金 13.2Y
12か月分を支払うわけですが前期に比べて10%値上がりしているので、支払う保険料は13.2Y(=12Y×1.1)となります。
ここまで(決算整理前)の保険料勘定の記入は次のようになっています。
したがって、前T/Bの「保険料」を16.2で割ったものが1か月分の保険料の金額となるわけです。
よって、1か月分の保険料(値上がり前)は¥10,000となります。
16.2Y=¥162,000
Y=¥10,000
注意
この金額は前期支払分(値上がり前)の金額であるということに注意してください。保険料に関する一連の仕訳
保険料が判明したところで、次は保険料に関する一連の仕訳を見ていきます。
期首再振替仕訳(×8年4月1日)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
保険料 | 30,000 | 前払保険料 | 30,000 |
※¥10,000×3か月=¥30,000
保険料の支払い(×8年7月1日)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
保険料 | 132,000 | 現金 | 132,000 |
※¥10,000×12か月×1.1=¥132,000
注意
当期支払分から10%値上がりしています。保険料の繰延べ(×9年3月31日)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
前払保険料 | 33,000 | 保険料 | 33,000 |
※¥132,000×3か月/12か月=¥33,000
タイムテーブル
決算振替仕訳(×9年3月31日)
決算整理後の保険料を損益勘定へ振り替えます。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
損益 | 129,000 | 保険料 | 129,000 |