【帳簿の締め切りとは?】やり方と手順を分かりやすく解説

【帳簿の締め切りとは?】そのやり方と手順を分かりやすく解説

ボキタロー
ボキタロー

決算整理が全部終わったけど、この後どうすんの?

SHIBUYA
SHIBUYA

はい。次は帳簿を締め切ります。

ボキタロー
ボキタロー

帳簿を締め切るってどういうこと?

SHIBUYA
SHIBUYA

簡単にいうと、当期と次期の帳簿記入を区分する(区切る)作業です。「当期の帳簿記入はここまで」ということを帳簿上で示すわけです。

ボキタロー
ボキタロー

なるほど。そうやって次期の帳簿記入に備えるんだね。

SHIBUYA
SHIBUYA

そういうことです。帳簿の締め切りは4つのステップで行います。それでは順番に見ていきましょう。

帳簿の締め切りのやり方

帳簿の締め切りの方法には英米式決算法と大陸式決算法の2つがありますが、日商簿記試験で出題される英米式決算法を前提に説明していきます。

MEMO
大陸式決算法は実務側からの需要がほとんどないという理由で日商簿記試験では出題されません。したがって説明は省略します。

帳簿の締め切りは決算整理後残高試算表を作成した後に行います。

決算の流れを理解できていない人は簿記一巡の手続について復習してください。

決算とは?会計期間とは?期首~期末までの流れ決算とは?会計期間とは?期首~期末までの流れ

帳簿の締め切りは4つのステップで行います。


step1
損益振替

損益振替のイメージ
収益を損益勘定の貸方へ、また費用を損益勘定の借方へ振り替えます。


step2
資本振替

資本振替のイメージ
損益勘定の貸借差額で算定された当期純利益(または当期純損失)を繰越利益剰余金へ振り替えます。


step3
各勘定の締切

各勘定の締切のイメージ
資産、負債、純資産の各勘定については借方と貸方の合計額を一致させた上で各勘定を締め切ります。


step4
繰越試算表の作成

繰越試算表のイメージ
資産・負債・純資産の各勘定残高を集めて一覧表にしたもの(繰越試算表)を作成します。


それでは順番に説明していきます。

損益振替(step1)

(決算整理後の)収益と費用の各勘定残高を損益勘定へ振り替えることを損益振替(そんえきふりかえ)といいます。

損益振替

各勘定の借方と貸方の合計金額が一致するように、収益の勘定残高を損益勘定の貸方へ、費用の勘定残高を損益勘定の借方へ振り替えます。

MEMO

振替後の収益と費用の残高はゼロになるので、次期へ繰り越されることはありません。

上の図の損益振替を仕訳で示すとどのようになるか考えてみてください。

収益の振替

借方科目金額貸方科目金額
売上1,500損益1,500

費用の振替

借方科目金額貸方科目金額
損益1,100仕入900
支払利息200
注意
決算整理後の仕入勘定は、決算整理仕訳(「仕入・繰商、繰商・仕入」の仕訳)を行った後の金額なので売上原価を表します。

売上原価の計算を忘れた人はコチラ。

売上原価の計算・仕訳・勘定記入のやり方売上原価の計算・仕訳・勘定記入のやり方

資本振替(step2)

当期純利益(または当期純損失)を繰越利益剰余金(くりこしりえきじょうよきん)勘定へ振り替える手続きのことを資本振替(しほんふりかえ)といいます。

繰越利益剰余金勘定の記載場所

繰越利益剰余金は純資産(貸借対照表の貸方項目)なので、増加すれば貸方、減少すれば借方に記入します。

当期純利益(または当期純損失)

当期純利益(または当期純損失)は損益勘定の貸借差額で求めます。

資本振替

当期純利益の場合は繰越利益剰余金勘定の貸方へ、当期純損失の場合は繰越利益剰余金勘定の借方へ振り替えます。

それでは上図の資本振替を仕訳で示すとどのようになるか考えてみましょう。

借方科目金額貸方科目金額
損益400繰越利益剰余金400

繰越利益剰余金は以下のページで詳しく解説します。

株式の発行と剰余金の配当・処分株式の発行と剰余金の配当・処分

各勘定の締切(step3)

次に、収益と費用および資産・負債・純資産の各勘定の借方と貸方を一致させて締め切ります。

収益と費用の締め切り方

収益と費用の締め切り方

収益と費用は各勘定残高を損益勘定へ振り替えているので、すでに借方と貸方が一致しています。あとは合計額を記入して締め切るだけです。

資産・負債・純資産の締め切り方

資産・負債・純資産の各勘定残高は次期へ繰り越します。

まず借方と貸方の合計額が一致するように次期繰越と記入します。次に「次期繰越」と記入した反対側の合計金額の下に「前期繰越」と記入して次期繰越の金額をそのまま記入します。

MEMO
本来「次期繰越」は赤で記入しますが、試験では赤ペンが使えないので黒で記入します。詳しくは問題の指示に従ってください。

【参考】繰越試算表の作成(step4)

繰越試算表とは、資産・負債・純資産の各勘定の次期繰越額を集めたもので、次期繰越額の正確性を検証するために作成されます。ただし、日商簿記試験では出題されないので参考としてご覧ください。

繰越試算表

 

貸借対照表と同様に、資産の勘定は借方に、負債および純資産の勘定は貸方に記入していきます。借方と貸方の合計金額が一致すれば次期繰越額の記入が正しいということを意味します。

まとめ

ボキタロー
ボキタロー

帳簿も締め切ったし、これで終わりだね。

SHIBUYA
SHIBUYA

帳簿上の処理はこれで終わりですが、帳簿外の処理として財務諸表を作成しなければなりません。

ボキタロー
ボキタロー

あっ、そうだった。すっかり忘れてたよ。

SHIBUYA
SHIBUYA

これまで長々とやってきたのは財務諸表を作成するためと言っても過言ではありません。

ボキタロー
ボキタロー

財務諸表の作成は簿記の最終目標なんだったね。

SHIBUYA
SHIBUYA

はい。次のページでは1年間の総仕上げ、損益計算書と貸借対照表の作成方法を勉強します。

まとめ
  • 帳簿の締め切りは、損益振替、資本振替、各勘定の締切、繰越試算表の作成という4つのステップで行う。
  • 損益振替とは、収益と費用の各勘定残高を損益勘定へ振り替える手続のことである。
  • 資本振替とは、当期純利益(または当期純損失)を繰越利益剰余金へ振り替える手続のことである。
  • 借方と貸方の合計金額を一致させて各勘定を締め切る。資産・負債・純資産の勘定残高は次期へ繰り越すために「次期繰越」と記入する。

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