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直接材料費と直接労務費の差異分析

重要度★★★★☆ 2級工業簿記無料講座第10章-3のアイキャッチ画像

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1.標準原価差異の把握

前回の例題(問4)で求めた標準原価差異は次のとおりでした。

標準原価差異の算定

しかしながら、原価差異はその金額だけを把握しても不十分です。原価管理に活かすには、さらにこれらの差異を分析することが必要となります。

どのような原因で差異が発生したのかを分析することによって、どこにどれだけの不能率があり、どういった改善策を講じればいいのかを知ることができ、これによってはじめて原価を低く抑えることが可能となるのです。

このページでは、まず直接材料費と直接労務費の差異分析について見ていき、製造間接費の差異分析については次のページで解説していきます。

※前回の例題および答えを使って説明していきますので、前のページ「第10章-2:標準原価計算の一連の手続」を別タブに表示しておくと見やすいと思います。

2.直接材料費の差異分析

直接材料費は「価格×消費量」で計算されます。したがって、直接材料費差異は①標準価格と実際価格との差から生じる差異(価格差異)および②標準消費量と実際消費量から生じる差異(消費量差異)に分析することができます。

①価格差異

価格差異は、材料の標準価格と実際価格との差に実際消費量を掛けて計算します。

(標準価格ー実際価格)×実際消費量
=(@¥100ー@¥102)×1,550kg
ー¥3,100(不利差異)

上のように「標準価格<実際価格」のケースでは、材料を標準価格(目標値)よりも高い価格で購入してしまったということになるので不利差異となります。

逆に「標準価格>実際価格」のケースでは、材料を標準価格(目標値)よりも低い価格で購入できたということになるので有利差異となります。

②消費量差異(数量差異)

消費量差異は、材料の標準消費量と実際消費量との差に標準価格を掛けて計算します。

(標準消費量ー実際消費量)×標準価格
=(1,500kgー1,550kg)×@¥100
-¥5,000(不利差異)

上のように「標準消費量<実際消費量」のケースでは、材料を標準消費量(目標値)よりも多く使い過ぎたということになるので不利差異となります。

逆に「標準消費量>実際消費量」のケースでは、材料を標準消費量(目標値)よりも節約できたということになるので有利差異となります。

直接材料費差異の分析図

実際に問題を解く場合には、縦軸に価格横軸に消費量を取った次のようなボックス図を書いて計算するといいでしょう。

直接材料費差異の分析図

左下の緑色の面積部分が標準直接材料費(標準価格×標準消費量)を表し、外枠の長方形の面積が実際直接材料費(実際価格×実際消費量)を表しますので、この2つの長方形の面積の差が直接材料費差異(価格差異+消費量差異)となります

3.直接労務費の差異分析

直接労務費は「賃率×作業時間」で計算されます。したがって、直接労務費差異は①標準賃率と実際賃率との差から生じる差異(賃率差異)および②標準作業時間と実際作業時間から生じる差異(作業時間差異)に分析することができます。

①賃率差異

賃率差異は、標準賃率と実際賃率との差に実際作業時間を掛けて計算します。

(標準賃率ー実際賃率)×実際作業時間
=(@¥1,000ー@¥970)×180時間
+¥5,400(有利差異)

上のように「標準賃率>実際賃率」のケースでは、実際の賃率が標準賃率(目標値)よりも少なくて済んだということになるので有利差異となります。

逆に「標準賃率<実際賃率」のケースでは、実際の賃率が標準賃率(目標値)よりも高くなってしまったということになるので不利差異となります。

②作業時間差異(時間差異)

作業時間差異は、標準作業時間と実際作業時間との差に標準賃率を掛けて計算します。

(標準作業時間ー実際作業時間)×標準賃率
=(176時間ー180時間)×@¥1,000
-¥4,000(不利差異)

上のように「標準作業時間<実際作業時間」のケースでは、実際の作業時間が標準作業時間(目標値)よりも多くかかり過ぎたということになるので不利差異となります。

逆に「標準作業時間>実際作業時間」のケースでは、実際の作業時間が標準作業時間(目標値)よりも少なくて済んだということになるので有利差異となります。

直接労務費差異の総額は¥1,400の有利差異であるため一見問題ないように見えます。しかし、差異分析の結果、作業時間差異は¥4,000の不利差異であるということが判明します。これは、賃率差異の有利差異と作業時間差異の不利差異が相殺された結果によるものです。

つまり作業時間差異を改善することで、さらなる原価の削減を実現できるということが分かるわけです。

このように差異分析をすることで、どこにどれだけの不能率があり、どういった改善策を講じればいいのかを知ることができるのです。

直接労務費差異の分析図

実際に問題を解く場合には、縦軸に賃率横軸に作業時間を取った次のようなボックス図を書いて計算するといいでしょう。

直接労務費差異の分析図

左下の緑色の面積部分が標準直接労務費(標準賃率×標準作業時間)を表し、外枠の長方形の面積が実際直接労務費(実際賃率×実際作業時間)を表しますので、この2つの長方形の面積の差が直接労務費差異(賃率差異+作業時間差異)となります

4.【参考】混合差異について

よく差異分析の図や計算式などを丸暗記して覚えようとする人がいます。これまでに何度も書いていますが、当サイトでは丸暗記を推奨していません。「なぜそのような計算・処理をするのか?」ということには必ず理由があり、それを理解することこそが本当の意味での簿記の学習だと管理人は思っているからです。

ということで日商簿記の試験には出ませんが、差異分析をもう少し深く理解するために参考として、混合差異というものについてできる限り簡単にお話ししたいと思います。

混合差異とは、価格(賃率)と消費量(作業時間)の両方が影響した差異のことです。

直接材料費差異(直接労務費差異)を価格差異(賃率差異)と消費量差異(作業時間差異)に分ける方法を2分法といいますが、この2つに加えて混合差異を認識する方法を3分法といいます(ただし、あえて混合差異を認識する必要性は乏しいため一般的には2分法が採用されます)。

混合差異を認識する方法

すでに見てきたように、2分法では混合差異は一般的に価格差異(賃率差異)に含めて計算されます。それではなぜ混合差異は消費量差異(作業時間差異)ではなく、価格差異(賃率差異)に含められるのでしょうか?

一般に価格差異や賃率差異は、市場の需給関係や為替相場の影響、予定外の工員の作業などが原因で生じます。これらの多くは製造現場の責任者がどんなに頑張っても回避することができない管理不能な外部要因によって発生します。

一方で消費量差異や作業時間差異は、材料品質の良否、作業意欲や作業方法の良否、監督の適否など、製造現場の責任者にとって管理可能な内部要因によるものが多く、頑張れば改善できるものです。

したがって原価管理という観点からは、一般に消費量差異や作業時間差異を削減することに重点が置かれます。

このとき、もし消費量差異(作業時間差異)に混合差異を含めてしまうと、これらが価格変動の影響を受けてしまいます。例えば実際消費量(実際作業時間)は先月と同じだとしても、実際価格(実際賃率)が変動することで、消費量差異(作業時間差異)の金額も変動してしまいます。

材料消費量や作業時間は変わっていないのに、コントロール不能な価格や賃率が変動しただけで原価に対する責任(原価責任)を責任者に問うのは酷と言わざるを得ません。

つまり、価格変動の影響を排除して純粋に消費量や作業時間の影響だけを反映したいのであれば、「混合差異は消費量差異(作業時間差異)に含めずに価格差異(賃率差異)に含めるべきだ」、換言すれば「消費量差異(作業時間差異)は標準価格(標準賃率)によって計算すべきだ」ということになるわけです。

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