次回の日商簿記試験(第161回)は2022年6月12日です

現金預金に関する総合的な問題

問題

次の資料にもとづいて、以下の問いに答えなさい。なお、当期は×5年3月31日を決算日とする1年である。

【資料1】決算整理前残高試算表(単位:円)

決算整理前残高試算表

【資料2】決算整理事項等

1.決算にあたり現金の実際有高を調べたところ、次のものが保管されていた。現金の実際有高と帳簿残高の差額については雑損または雑益として処理する。なお、株主配当金領収証および社債利札についてはなんら処理がされていなかった。

  • 紙幣・硬貨:500,000円
  • 郵便切手:13,000円
  • 収入印紙:25,000円
  • 他人振出小切手:70,000円
  • 自己振出小切手:65,000円
  • 先日付小切手:55,000円
  • 未渡小切手:120,000円
  • 株主配当金領収証:68,000円
  • 社債利札:20,000円(期限到来済)、40,000円(期限未到来)
  • 郵便為替証書:52,000円
  • 振替貯金払出証書:50,000円
  • 送金小切手:33,000円
  • 借用証書:140,000円

2.決算日における銀行残高証明書の金額は1,907,000円であった。当社の当座預金勘定残高との差異の原因を調査したところ、以下の事項が判明した。

①仕入先に対して振り出した小切手100,000円がいまだ銀行に呈示されていなかった。

②買掛金の決済のために振り出した小切手80,000円と、広告宣伝費の支払いのために振出した小切手40,000円が金庫に保管されたままになっていた。

③買掛金の代金?円が当座預金から引き落とされていたが、当社に連絡未達のため未記入になっていた。

④決算日において当座預金口座へ80,000円を預入れたが、銀行の営業時間外であったため翌日入金処理となっていた。

⑤得意先からの売掛金の振込額130,000円を誤って13,000円と記帳していた。

⑥銀行に預け入れていた小切手50,000円が未取立てであった。


【問】次の決算整理後残高試算表(単位:円)を完成しなさい。

決算整理後残高試算表

解答

決算整理後残高試算表

解説

3級の復習も兼ねた現金預金に関する総合的な問題です。見慣れない項目もあり少し難しかったかもしれませんが、すべて2級で出題されてもおかしくない論点です。必要な勘定科目の大半は明示しているので、それをヒントにして解けた人もいるかもしれません。

【資料2】1.現金について

現金勘定で処理するもの

次のものは現金勘定で処理をします。

・紙幣・硬貨:500,000円

・他人振出小切手:70,000円

・株主配当金領収証:68,000円

・社債利札:20,000円(期限到来済)

・郵便為替証書:52,000円

・振替貯金払出証書:50,000円

・送金小切手:33,000円

よって、現金の実際有高は793,000円となります。なお、株主配当金領収証および社債利札は未処理なので、決算において次のような仕訳が必要となります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 88,000 受取配当金 68,000
有価証券利息 20,000
MEMO

株主配当金領収証と社債利札以外のものは適正に処理されている(前T/Bに反映されている)ので、修正仕訳は不要です。

現金過不足の処理

現金の実際有高は793,000円なので、修正後の帳簿残高766,000円(前T/Bの現金678,000円+未処理88,000円)との差額を雑益勘定で処理します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 27,000 雑益 27,000
注意

株主配当金領収証と社債利札(期限到来済)は未処理なので、前T/Bの金額に反映されていません。したがって、この金額を修正した後の帳簿残高と実際有高を比較するということに注意してください。

現金勘定で処理しないもの

以下のもの(未渡小切手は除く)は適正に処理されている(前T/Bに反映されている)ので修正仕訳は不要です

・郵便切手と収入印紙(3級の内容)

郵便切手(通信費)と収入印紙(租税公課)は、決算において未使用分を貯蔵品勘定へ振り替えます。これは修正仕訳ではなく、通常の決算整理仕訳です。

借方科目 金額 貸方科目 金額
貯蔵品 38,000 通信費 13,000
租税公課 25,000
・自己振出小切手(3級の内容)

当座預金勘定で処理します。

・先日付小切手

記載されている振出日が、実際の振出日よりも後になっている小切手を先日付(さきひづけ)小切手といいます。

小切手を現金として処理するのは、金融機関に持ち込めばすぐに換金できるという性格があるからです。しかし、先日付小切手は記載されている振出日まで待たないと換金できません。一定期間経過後でなければ現金化できないという性格は実質的に手形と同じであることから、先日付小切手は受取手形勘定で処理をします

MEMO

ただし、記載されている振出日以前でも支払いを受けようと思えば法律上は受けることができます(小切手法28条2項)。先日付小切手は「この日が来るまで換金しないでね」という意味合いの道義的なものだと思ってください。

・未渡小切手

当座預金勘定で処理します。詳しくはこの後の当座預金の説明を参照してください。

・期限未到来の社債利札(3級の内容)

期限が到来していない公社債利札は処理をする必要はありません。

・借用証書

借用証書は貸付金勘定で処理をします。

【資料2】2.当座預金について

金額の推定

両者区分調整法による銀行勘定調整表を作成して③の金額を推定します。

銀行勘定調整表(両者区分調整法)

よって、③の?に入る金額は150,000円となります。

修正仕訳

企業側で必要となる仕訳は②③⑤です。当座預金勘定だけでなく、その相手勘定の修正も忘れないようにしてください

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 120,000 買掛金 80,000
未払金 40,000
買掛金 150,000 当座預金 150,000
当座預金 117,000 売掛金 117,000
注意

未渡小切手のうち、費用の支払いのために振り出したものは未払金で処理します。

3級の内容ですが、⑤の誤記入による修正仕訳のやり方を簡単に復習しておきます。

誤った仕訳の逆仕訳

(借)売掛金 13,000

  (貸)当座預金 13,000

実際に行った仕訳の逆仕訳をして、誤った仕訳を取り消します。

あるべき仕訳

(借)当座預金 130,000

  (貸)売掛金 130,000

次に、あるべき仕訳(正しい仕訳)を考えます。

修正仕訳

(借)当座預金 117,000

  (貸)売掛金 117,000

上の2つの仕訳を合算したものが修正仕訳となります。