問題
以下の各取引について仕訳しなさい。ただし、勘定科目は次の中から最も適当と思われるものを選ぶこと。
現金 | 当座預金 | 売掛金 | 未収入金 |
建物 | 備品 | 車両運搬具 | 土地 |
買掛金 | 未払金 | 売上 | 仕入 |
修繕費 |
【取引】
- 営業用の建物を¥2,000,000で購入し、仲介手数料¥100,000とともに小切手を振り出して支払った。
- 営業に使用する目的でパソコン5台(@¥120,000)を購入し、代金は来月末に支払うこととした。なお、このパソコンのセッティング費用¥10,000については、現金で支払った。
- 営業目的で土地付き建物を¥3,000,000で一括購入し、代金は小切手で支払った。不動産鑑定士の鑑定によると、建物および土地の時価はそれぞれ¥1,400,000と¥2,100,000であった。取得原価は各資産の時価の比によって按分する。
- 自動車販売業を営む当社は、販売目的で中古自動車¥1,000,000を購入し、代金は来月末に支払うこととした。また、購入に伴う手数料50,000は現金で支払った。
- 先に取得していた中古建物に関し、使用できる状態にするための内装工事に¥140,000を支出したが、これをすべて修繕費として処理していたので修正する。
- 建物の改修工事を行い、¥530,000を小切手を振り出して支払った。このうち、¥360,000は耐用年数を延長させる改良のための支出であり、残りは定期的修繕のための支出である。
解答
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
1 | 建物 | 2,100,000 | 当座預金 | 2,100,000 |
2 | 備品 | 610,000 | 未払金 | 600,000 |
現金 | 10,000 | |||
3 | 建物 | 1,200,000 | 当座預金 | 3,000,000 |
土地 | 1,800,000 | |||
4 | 仕入 | 1,050,000 | 買掛金 | 1,000,000 |
現金 | 50,000 | |||
5 | 建物 | 140,000 | 修繕費 | 140,000 |
6 | 建物 | 360,000 | 当座預金 | 530,000 |
修繕費 | 170,000 |
解説
1.と2.の解説
固定資産の購入の際に発生した付随費用は、固定資産の取得原価に含めて処理します。
1.建物の取得原価
購入価格+購入手数料
=¥2,000,000+¥100,000
=¥2,100,000
2.備品の取得原価
購入価格+パソコンのセッティング費用
=@¥120,000×5台+¥10,000
=¥610,000
注意
この備品は商品ではないので、「買掛金」ではなく「未払金」を使います。3.の解説
見たことがないような取引であっても、問題文の指示に従って処理をすることで解けるようになっている問題は本試験でもよく出題されます。あせらず冷静に対処しましょう。
本問は指示にあるように、建物および土地の取得原価は各資産の時価の比によって按分します。それぞれの按分比率は次の通りです。


よって、建物と土地の取得価額は次のようになります。
建物の取得原価
¥3,000,000×0.4
=¥1,200,000
土地の取得原価
¥3,000,000×0.6
=¥1,800,000
4.の解説
自動車は”販売目的で”取得しているという点に注意してください。この場合は、通常の商品の仕入として処理します。また、購入に伴う手数料は付随費用として仕入原価に含めます。
MEMO
典型的な引っかけ問題です。引っかからないように注意しましょう。5.の解説
固定資産を使用できる状態にするための支出額は付随費用として取得原価に含めます。本問のように、固定資産の購入と付随費用の発生のタイミングが異なる場合もありますが、付随費用であることには変わりないので取得原価に含めて処理します。
本問ではこれを修繕費として処理しているので正しく修正しなければなりません。修正仕訳は以下の手順で行います。
修正仕訳のやり方
手順1
①正しい仕訳
(借)建物 140,000
(貸)現金など 140,000
まず、正しい仕訳(あるべき仕訳)を考えます。
手順2
②誤った仕訳
(借)修繕費 140,000
(貸)現金など 140,000
次に、誤った仕訳(実際に行った仕訳)を考えます。
手順3
③誤った仕訳の逆仕訳
(借)現金など 140,000
(貸)修繕費 140,000
「②誤った仕訳」の借方と貸方を逆にした仕訳を考えます。
手順4
修正仕訳(①+③)
(借)建物 140,000
(貸)修繕費 140,000
「①正しい仕訳(あるべき仕訳)」と「③誤った仕訳(実際に行った仕訳)の逆仕訳」を合算したものが修正仕訳となります。
6.の解説
改良のための支出は資本的支出に該当するので建物の取得原価に含めます。また、定期的修繕のための支出は収益的支出に該当するので修繕費勘定で処理します。