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【日商簿記3級】試験範囲の改定内容と改定の趣旨

日商簿記検定試験3級における試験範囲の改定内容および改定の趣旨などの情報を掲載しています。

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2019年度の改定内容と改定の趣旨

13級において個人商店を前提とした出題から小規模の株式会社を前提とした出題に改めた

従来の3級における個人商店を前提とした出題は、簡易な簿記の能力を確認するという3級の位置づけおよび日本において個人事業主の数の方が多いことに即したものであった。その一方で、検定試験を長年続ける中で次のような課題も浮き彫りとなっている。

(1)簿記の能力を確認するという本検定試験の役割からすれば、個人商店よりも株式会社会計の重要性が高い。

(2)純資産や個人事業主の所得税の処理に関して、株式会社を前提とした2級以上と内容の連続性を確保できておらず、受験者の負担となっている。

(3)現代において個人事業主ではあまり用いられていない当座預金や小切手および約束手形の振出しが従来の3級の出題範囲に含まれており、個人事業主の活動に即していない。また、従来の3級の純資産や一部の損益についても、個人事業主の実務で主に採用されている所得税法等にもとづく処理と大きな乖離がある。仮に所得税法等の処理に3級の内容を近づけると2級以上との不連続性がさらに大きくなる。

(4)クレジットカード決済による販売など、今まで株式会社を前提として2級以上で出題していた取引が個人事業主でも見られるようになった。

そこで、本検定の役割および個人事業主の簿記実務のみに絞った出題が困難であるという実態を踏まえ、今回の改定において小規模の株式会社を前提とした出題を行うこととした。この改定により、小規模の株式会社で見られる取引を3級の範囲とする一方で、個人事業主を前提とした資本金や所得税の処理、ならびに自店発行の商品券などを3級の範囲から除いている。

また、従来は所得税の暦年課税を踏まえて基本的に12月決算の出題を行ってきたが、今後は株式会社で多く見られる3月決算の出題が基本となることから留意されたい。

23級において「純資産(資本)」を「資本」と改めるとともに、2級に「純資産と資本の関係」を追加

今回の改定により3級も株式会社を前提とした出題を行うことになったが、純資産項目は資本金および利益剰余金のみを取り扱う。そのため、基礎概念でも純資産全体ではなく株主から受け入れた払込資本および損益計算書を経由した未分配の稼得資本を合わせた資本の概念を扱うことを明確にした。

また、2級では評価・換算差額等を取り扱うため、資産と負債の差額である純資産と資本の関係が範囲になることを明確にした。

なお、3級において「純資産」の名称を問う出題は行わないが、問題や答案用紙の貸借対照表において「純資産」の名称を用いることがあることに留意されたい。

33級の「当座預金、その他の預貯金」に「(複数口座を開設している場合の管理を含む)」を追加

実務において複数の普通預金口座や当座預金口座等を開設し、管理のために口座ごとに勘定を設定することがある。そのため、従来は得意先および仕入先に限定して人名勘定や補助元帳を用いた細項目の記録の出題を行ってきたが、実務に合わせて銀行預金口座においても口座種別や銀行名などを勘定科目として使用する出題を行うこととした。

4「当座借越」を削除

実務において当座借越の期中取引の記帳を行う際には、煩雑さを避けるために当座借越勘定を設定せずに当座預金勘定の貸方残高としたうえで、決算時まで貸方残高が残っていた場合には決算整理として当座借越勘定など適切な負債勘定に振り替えるのが一般的である。そのため、期中取引の記帳に関して当座預金勘定と当座借越勘定の使い分けを出題範囲から除外することとした。

なお、当座借越取引そのものを出題から除外するものではなく、当座借越契約の締結、期中の当座借越取引(当座預金勘定で処理)および決算整理で当座借越額を負債へ振り替える処理は3級の出題範囲とする。

5有価証券を3級から除外

平成28年度から適用されている前回の改定において3級の有価証券の出題範囲は期中の売買取引のみとなった。しかし、今回の3級を中心とした改定の検討にあたり、売買のみを3級の範囲としても、有価証券に関する学習者の一貫した十分な理解につながらないことから、有価証券はすべて2級以上で取り扱うこととした。

2級については、3級からの範囲の移行および表記の整理のみであり、出題内容の変更はない。

6「他店商品券」を「受取商品券」に改めるとともに、「商品券」を除外

従来の検定試験で出題されてきた自店発行の商品券(負債)は、実務において信用力の高い特定の企業や百貨店など一部でしか扱われていない。そのため、商品券(負債)を3級の範囲から除外し、1級の範囲とした。

これに対し、売上取引に関連した他者発行の商品券(資産)は、ギフトカード、ビール券、商店街・自治体・商工会議所が発行したものなど、小規模の会社であっても小売業を中心に扱う場合がある。そこで、自店発行商品券の存在が前提である「他店商品券」の記載を避けつつ、他者が発行した商品券は3級の出題範囲であることを示すために、「受取商品券」へ改めた。

3・2級においては、他者発行の商品券の勘定科目についても「受取商品券」を標準とし、「他店商品券」は標準・許容勘定科目には含めないことから留意されたい。

なお、実務上は他者発行の商品券に対して「商品券」(資産)勘定を用いることも見られるが、自店発行の「商品券」(負債)勘定との混同を避けるために、これは検定試験において用いないこととした。

73級に「差入保証金」を追加

小規模会社においても不動産の賃借における敷金など保証金を差し入れることがあるため、3級に追加した。なお、長期前払費用が2級の標準・許容勘定科目であることから、保証金の償却は2級以上の出題範囲となる。

8「電子記録債権・電子記録債務」を2級から3級へ移行

電子記録債権・電子記録債務は、利便性や印紙税が不要といった理由から今後も利用件数が増えることが見込まれるため、2級から3級へ変更することとした。

9「債権の譲渡」項目を新たに設け、「クレジット売掛金」を2級から3級へ移行

小規模の会社においても主に小売店ではクレジットカード決済が導入されていることがあるため、2級から3級へ変更することとした。

なお、項目整理のために新たに「6.債権の譲渡」を設定している。そして、クレジットカード売上にともなう売上企業とクレジットカード会社間の取引は売掛債権の譲渡とみることができるため、「クレジット売掛金」をこの項目に含めている。

ただし、実際に売掛債権の譲渡取引とみなして売上額とクレジットカード会社からの受取額との差額を売上債権譲渡損などの勘定科目で処理する出題を行うものではなく、従来の2級の出題どおり差額は支払手数料として処理する。

10「手形の裏書譲渡、割引」を3級から2級へ移行

資金調達の一環で一般事業会社においても売掛債権の譲渡などが行われるようになっている。そのため、2級に「その他の債権譲渡」を追加した。

また、実務における資金調達手段の多様化を踏まえつつ、債権の売却による資金調達を一括して2級から扱うこととし、「手形の裏書譲渡、割引」を3級から2級へ変更した。そして、今回の改定により電子記録債権・債務を3級へ移行したが、その譲渡や割引は2級のままであることを明示するために、2級の裏書譲渡、割引の項目名に電子記録債権を追加した。

なお、その他の債権譲渡にあたっては譲渡手続きの方法により売買取引処理を行う場合と金融取引処理を行う場合に分かれるが、2級においては簡易な内容に限定し、売買取引処理のみを出題するものとする。

11「仕入および売上の返品、値引」から「値引」を除外

簿記において商品売買の値引という用語は、商品の不良などが事後に発見された場合に当初の売買代価の引き下げを指すものとして扱われてきた。しかし、商品の不良などが発見された場合には返品や良品との交換が行われるのが一般的である。

そして、商品有高帳の作成において、返品は数量の変動がともなうのに対して値引は単価の修正となり、この2つの記録方法や払出単価への影響が異なるため、学習者の負担が重い論点にもなっている。さらに、一般的な「値引」と簿記の「値引」では意味が異なることも学習者の負担となっている。

そこで、実務を踏まえると学習の必要性が低いにも関わらず学習者の負担が重い論点であることから、今回の改定にあたり3級の範囲から除外するとともに、2級以上からも除外することとした。

12減価償却の直接法を3級から2級へ移行

有形固定資産について直接法により記帳されることが全くないわけではないが、財産管理や財務諸表作成目的から取得価額と減価償却累計額を別の勘定として設定することが望ましい。そこで、近年は直接法の出題がほとんどないことや、受験者の学習負担も考慮し、直接法を3級では出題しないこととした。

なお、2級においては無形固定資産の記帳でいずれにせよ直接法の学習が必要で、範囲に残したとしても学習負担への影響が小さいこと、およびすべての企業において有形固定資産の記帳が間接法で行われているとは言い切れないことから、直接法を2級以上の範囲として残すこととした。

133級で「固定資産台帳」を新たに追加

実務においては財産管理や減価償却費計算を目的として固定資産台帳も重要な補助簿として利用されているため、3級の範囲に追加した。3級での出題にあたっては、他の補助簿と同様に、主として今まで第2問で出題実績のある補助簿の選択や補助簿の記載内容から処理を問う問題を予定している。

なお、固定資産台帳の記録対象について、3級では有形固定資産に限定し、2級では無形固定資産等も含むものとする。

14純資産(資本)の項目をすべて除外

3級において小規模の株式会社を前提とした出題に改めたことから、個人商店を想定した資本金および引出金の処理を除外することとした。なお、株式会社の資本に関する処理は一部を2級から3級へ移行している。

153級に「法定福利費」を追加

従来の3級において給料の支払い取引にあたり、社会保険料の従業員負担分を控除して社会保険料預り金として処理する出題を行ってきた。しかし、企業負担分については費用処理するための勘定科目が「勘定科目表」に記載されておらず、3級の出題範囲であるのか明確ではなかったものの、社会保険料は小規模の株式会社でも生じることから、3級で一連の処理を取り扱う必要性が高いと判断し、出題範囲として明示することとした。

なお、健康保険料および厚生年金保険料は当月分を翌月に納付することになっているため、決算において当月の企業負担額を当月の発生費用(未払費用)として処理する出題もあり得る。

16「所得税」を削除。また、簡易な内容に限定して「法人税・住民税・事業税」を2級から3級へ移行

従来の3級の所得税は個人商店における店主の事業所得に対する税金を対象としたものであったことから、今回の改定で株式会社を前提とした出題へ改めることにともない削除した。

また同様に、主に株式会社の利益に対して課税される法人税・住民税・事業税を3級の出題範囲にすることとした。3級の出題にあたっては、決算整理において税引前利益に対して問題文で示した税率を掛け合わせて税額を算出する問題、確定申告による納付(未払法人税等の支払い)および中間納付(仮払法人税等)に関する問題に限定した簡易な内容とする。

なお、削除した所得税に関連する出題を今後一切行わないわけではなく、従業員の給料に対する源泉所得税の処理は3級の出題範囲のまま変更はない。また、2級第139回で出題実績のある利子や配当等に対する源泉所得税なども、法人税・住民税・事業税に関する内容として2級以上での出題範囲に含むものとして維持する。

17「消費税(税抜方式)」を2級から3級へ移行

消費税は企業規模に関わらず必然的に生じるため、3級受験者にとっても重要であると判断し、出題範囲へ含めることとした。

なお、小規模の会社において簡易課税制度を適用して税込方式を採用している場合もあるが、受験者に対して消費税の基本的な仕組みの理解を促すことや複数の処理方法を範囲に含めることによる学習負担を考慮し、3級では税抜方式に限定して出題する。

また、受験者の解答の便宜のため売上高の桁数を小さくすることにより、本来は免税事業者に該当する会社となる場合でも、同じ問題内で消費税を出題した際には課税事業者であることを前提とする。これら小規模の会社の実務で見られる簡易課税制度や免税事業者に関する出題は行わないことに留意されたい。

186桁精算表を除外

6桁精算表は過去に4級において出題しており、4級の終了にともない3級の出題範囲に含めたものである。しかし、今後すべての級において6桁精算表を出題する予定がないため、除外することとした。

19「消耗品棚卸」を「貯蔵品棚卸」へ改めた

従来の3級において、消耗品は購入時に消耗品勘定で処理し決算整理で使用分を消耗品費勘定へ振り替える方法と、購入時に消耗品費勘定で処理し決算整理で未使用分を消耗品勘定へ振り替える方法を出題してきた。

しかし、実務において毎期経常的に購入して消費する消耗品は購入時に費用処理し、たとえ期末に物品が残っていても資産へ振り替えないのが一般的である。そこで、商業簿記・会計学のすべての級において、一般的な消耗品はすべて購入時に費用処理し、資産計上を行わない方法に限定して出題することとした。

また、小規模な会社においても郵便切手や収入印紙など換金性が高い資産は、財産管理や税務申告を目的として厳密な資産計上を行うことがある。そのため、従来は2級の標準勘定科目として明示していた「貯蔵品」を3級の範囲へ移行し、決算において郵便切手や収入印紙などの未使用分を費用から貯蔵品へ振り替える処理を出題範囲とした。

なお、郵便切手等を購入時に適切な費用勘定で処理し決算整理で未使用分を貯蔵品勘定へ振り替える方法に限定して出題することとし、購入時に貯蔵品勘定で処理し決算整理で使用分を適切な費用勘定へ振り替える方法は出題しない。

また、固定資産の除却が2級の範囲であるため、3級において除却済み固定資産を処分価値で貯蔵品に資産計上する出題も行わない。よって、3級における貯蔵品勘定は決算整理および再振替に限定して出題を行う。

20「収益・費用の繰延と見越」を「収益・費用の前払い・前受けと未収・未払いの計上」に改めた

繰延と見越は3級受験者にとって考え方を理解しにくい論点である。また、特に見越という用語の使い方が受験者の理解を妨げる一因になっていることが危惧される。そこで、項目名の記載を改めることとした。今後の出題においても見越という表現を極力避けることとする。

21簡易な内容に限定して「月次決算による場合の処理」を2級から3級へ移行

小規模の株式会社においても企業によっては月次決算により適時に業績を把握することを行っているため、3級の出題範囲とすることとした。ただし、受験者の負担を考慮し、3級においては簡易な内容として減価償却費の見積額を年次決算月以外の月末に計上する処理に限定して出題する。

22「資本金勘定への振替」を、「純損益の繰越利益剰余金勘定への振替」へ変更

今回の改定で株式会社を想定した出題へ変更することにともない、純損益について3級においても資本金とは区別して繰越利益剰余金へ振り替える出題へ変更することとした。

23繰越試算表の項目を除外

繰越試算表は、決算整理仕訳および決算振替仕訳後の勘定残高の貸借一致を確認するとともに、貸借対照表を作成するための資料として作成するものとして従来の出題範囲に含めていた。

しかし、手書きではなく会計システムを利用した実務においては、貸借不一致が生じる可能性は極めて稀であることから一致を確認する必要性が乏しい。貸借対照表も会計システムの各勘定残高から直接出力するか、決算整理後残高試算表から作成するのが一般的である。そのため、繰越試算表を除外することとした。

24資本金、利益剰余金、剰余金の配当など、それぞれ2級の範囲であったものを3級へ移行

3級を小規模の株式会社を前提とした出題に改めることから、株式会社の資本金および利益剰余金を3級の出題範囲に含めることとした。

また、株式会社に関する簿記学習にあたり、設立・資金調達から利益を稼いで株主へ分配するという一連の流れの理解が欠かせないため、剰余金の配当および付随して利益準備金の設定も3級の範囲に含めることとした。ただし、任意積立金および準備金積立額の算定は3級受験者にとって負担となることから、この2つを3級に移行せず2級に残すことを明確にした。

よって、3級の剰余金の処分に関する出題は、繰越利益剰余金からの配当に限定し、利益準備金を積み立てる場合も問題文に金額を明示することになる。2級の出題範囲については、変更はない。

なお、純資産額が300万円を下回る株式会社は会社法の制限で配当を行うことはできないが、分配可能額の算定は1級の範囲であるため、3級ではこの規制を適用した出題を行わない。特に受験者の解答の便宜のため、純資産額の桁数を小さくして300万円を下回った際の出題においても、問題文で配当を行った旨の指示がある場合には適法に配当を行ったものとして取り扱うため、留意されたい。

2016年度の改定内容と改定の趣旨

1為替手形を除外

手形法上、手形の種類としては約束手形と為替手形が存在しているが、実際に流通しているのは圧倒的に約束手形であって、為替手形はほとんどない。 そこで、手形取引に関し、3級および2級においては約束手形を前提とする問題のみを出題することとし、為替手形は出題しないこととした。

2売買目的有価証券を「有価証券」と改めるとともに、評価替(時価法)を2級に移行

従来、3級では売買目的有価証券に限って、その売買取引や期末の評価の処理が問われてきた。しかし、3級が主として想定する個人企業において、短期的な時価の変動によって利益を得るために投機的な売買を頻繁に繰り返しているような「売買目的有価証券」を保有することは極めて稀である。そこで、3級では特に保有目的毎の区分を設けず、単に「有価証券」勘定を用いた売買取引に限定するとともに、期末までには一連の売買取引は完結しているとの前提を置いて期末時点の評価は出題しないこととした。

3伝票から仕入、売上伝票を除外

従来の検定試験では、入金伝票、出金伝票、および振替伝票による3伝票制と、これら3伝票に仕入伝票と売上伝票を加えた5伝票制の両方が3級から出題されてきた。しかしながら、実務上、伝票会計といえば3伝票制を指すことがほとんどであり、5伝票制を採る企業は少ないのが現状である。このような実情に鑑みて、今回の改定では5伝票制を試験範囲から除外することとした。そのため、今後全ての級において伝票に関する出題は3伝票制によることとなる。

4伝票の集計を「伝票の集計・管理」と改めるとともに、2級から3級に移行

従来の3級における伝票の出題は主として伝票の起票を軸としていたが、伝票から得意先元帳や仕入先元帳に転記することにより与信管理等に有用であるため、管理の側面を追加することにした。その結果、3級以上で伝票の起票のみならず集計・管理も出題範囲とすることで一貫性を持たせることによりトータルな理解を問う問題を出題することが可能になる。

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