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【前払費用・前受収益とは?】費用の前払いと収益の前受け

費用を前払い(収益を前受け)したときは、その一部を翌期に繰り延べなければなりません。今回は前払費用と前受収益に関する仕訳のやり方について独学でもわかりやすく解説していきます。

重要度★★★★★ 日商簿記3級無料講座第6章-5のアイキャッチ画像

さて問題です。1年分の保険料¥120,000を3月1日に前払いしたとします(決算日:3月31日)。このとき、当期の「支払保険料」(費用)の金額はいくらでしょうか?

ボキタロー君の顔(普)

¥120,000払ったんだから¥120,000でしょう。

それは違います。なぜなら、この保険料は3月1日から翌年の2月28日までの1年間に係るものだからです。

ボキタロー君の顔(普)

うん、だから?

会計期間別に見ると、当期はこの保険を1か月間(支払日3月1日~決算日3月31日)しか利用してません。にも関わらず、1年分の保険料をすべて当期だけの費用としていいのでしょうか?

ボキタロー君の顔(普)

ダメなの?じゃあどうやって処理しろっていうの?

はい。今回は将来の費用を前払いしたときや将来の収益を前受けしたときの処理について勉強しましょう。

1.【費用の前払い】一連の処理方法

それではまず、保険料の支払いを例にとって、費用の前払いに関する一連の処理方法を説明していきます。

保険料を支払った時の仕訳

例題1

×2年3月1日に向こう1年分の保険料¥120,000を現金で支払った。なお、当期は3月31日に終了する1年間である。

使用する勘定科目

現金、支払保険料

この仕訳自体には問題ないと思いますが、取引には「”向こう”1年分の保険料」と書かれているので、費用の前払いをしたということになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
支払保険料 120,000 現金 120,000

借方】
「支払保険料」の増加 支払保険料勘定の記入場所

【貸方
「現金」の減少 現金勘定の記入場所

決算整理仕訳

例題2

×2年3月31日、決算となり支払保険料について必要な処理を行う。

この決算整理仕訳は次のようになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
前払保険料 110,000 支払保険料 110,000

借方】
「前払保険料」の増加 現金勘定の記入場所

【貸方
「支払保険料」の減少 支払保険料勘定の記入場所

それではこの仕訳の意味を順番に説明していきます。

当期の費用となるのは支払った金額のうち当期に属する部分のみです。そこで決算において、当期に属さない部分を次期へ繰り延べるための処理を行います。この金額は月割で計算をします。

支払った金額がそのまますべて当期の費用となるわけではないということに注意しましょう。

費用の繰り延べのイメージ

支払額¥120,000は×2年3月1日~×3年2月28日の1年間に係るものですが、そのうち1か月分だけが当期の費用(支払保険料)になり、あとの11か月分は当期の費用とはせずに次期へ繰り延べます。

この繰り延べた費用(次期に属する支払保険料)は前払保険料勘定を使って処理します。前払保険料勘定は費用の前払いなので資産となります。

前払費用の記載場所

前払費用資産(貸借対照表の借方項目)なので、増加すれば借方、減少すれば貸方に記入します。

仕訳上は「前払保険料」「前払家賃」「前払利息」などの具体的な名称を使いますが、貸借対照表に表示する場合は、すべてまとめて「前払費用」とします。

支払保険料と前払保険料

1か月分の保険料は¥10,000なので、支払保険料は1か月分の¥10,000、前払保険料は11か月分の¥110,000となります。

決算整理仕訳のイメージ

決算整理仕訳によって、当期に属する金額と次期に属する金額とに適切に期間配分されたことになるわけです。

翌期首の再振替仕訳

翌期首(×2年4月1日)には再振替仕訳を行います。

例題3

×2年4月1日、翌期首において再振替仕訳を行う。

ヒント

再振替仕訳は前期末に行った決算整理仕訳の逆仕訳をすればいいだけです。

忘れた方はもう一度復習してください。


使用する勘定科目

前払保険料、支払保険料

借方科目 金額 貸方科目 金額
支払保険料 110,000 前払保険料 110,000

仕訳自体は問題ないと思いますが、重要なのはこの再振替仕訳を行う意味です。

この再振替仕訳により、支払保険料¥110,000が×2年度の期首に計上されます。つまり、×2年度に属する11か月分の費用が×1年度から繰り延べられたわけです。

また、同時に前払保険料勘定の貸方に記入することにより、前期から資産として繰り越されてきた前払保険料の残高はゼロとなって消えます。

2.【収益の前受け】一連の処理方法

続いて収益の前受けについて説明していきますが、基本的な考え方は費用の前払いと同じなので、さらっと見ていくことにします。費用の前払いの一連の処理方法をしっかりと理解してから続きを読んでください。

例題4

×1年7月1日に向こう1年分の貸付金の利息¥36,000を現金で受け取った。なお、当期は3月31日に終了する1年間である。

利息を受け取ったときの仕訳(×1年7月1日)

ヒント

貸付金の利息を受け取ったときは受取利息勘定(収益)で処理します。

使用する勘定科目

現金、受取利息

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 36,000 受取利息 36,000

借方】
「現金」の増加 現金勘定の記入場所

【貸方
「受取利息」の増加 受取利息勘定の記入場所

決算整理仕訳(×2年3月31日)

利息を前受けしたときは、当期に属さない部分を前受利息勘定を使って次期へ繰り延べます。前受利息勘定は収益の前受けなので負債となります。

前受収益の記載場所

前受収益負債(貸借対照表の貸方項目)なので、増加すれば貸方、減少すれば借方に記入します。

仕訳上は「前受利息」「前受家賃」「前受地代」などの具体的な名称を使いますが、貸借対照表に表示する場合は、すべてまとめて「前受収益」とします。

前受収益のイメージ

繰り延べる金額は次期に属する3か月分(×2年4月1日~×2年6月30日)なので、前受利息の金額は次のように計算します。

¥36,000÷12か月×3か月=¥9,000

使用する勘定科目

前受利息、受取利息

借方科目 金額 貸方科目 金額
受取利息 9,000 前受利息 9,000

借方】
「受取利息」の減少 受取利息勘定の記入場所

【貸方
「前受利息」の増加 前受利息勘定の記入場所

決算整理仕訳のイメージ

決算整理仕訳によって収益(受取利息)が適切に期間配分されました。

再振替仕訳(×2年4月1日)

翌期首には再振替仕訳をします。前期末に行った決算整理仕訳の貸借逆の仕訳です。

借方科目 金額 貸方科目 金額
前受利息 9,000 受取利息 9,000

×2年度に属する3か月分の「受取利息」が計上されるのと同時に「前受利息」がゼロとなって消えます。

3.まとめ

ボキタロー君の顔(普)

ところで、以前学習した「前払金」と「前払費用」って何が違うの?

前払費用は一定の契約に従い、継続して役務(サービスなど)の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいいます。前払費用は、このような役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければなりません。

ボキタロー君の顔(困)

わざと難しく言ってるでしょ?

ものすごく簡単に言うと、継続して役務を受ける場合は前払費用、それ以外は前払金で処理をするということになります。

ボキタロー君の顔(困)

あ。説明ごまかした。

はい。これ以上は少し難しい話になってしまうので、日商簿記3級レベルではあまり深く考えなくてもいいです。とりあえず、繰り延べの仕訳と再振替仕訳を理解していれば大丈夫です。

まとめ
  • 決算において、当期に支払った費用のうち、当期に属さない部分を次期へ繰り延べる処理を行う。
  • 費用を次期へ繰り延べる場合は前払費用(資産)の勘定を使って処理する。
  • 決算において、当期に受け取った収益のうち、当期に属さない部分を次期へ繰り延べる処理を行う。
  • 収益を次期へ繰り延べる場合は前受収益(負債)の勘定を使って処理する。
  • 翌期首には再振替仕訳を行うということを忘れずに。
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