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第5章-1:総合原価計算とは



総合原価計算の概要

総合原価計算が適している生産形態

これまで学習してきた個別原価計算は受注生産を行っているメーカーに適した方法と言えます。受注生産の場合、1つ1つの製品に個性があり、製品の原価も注文ごとに異なってくるので、製品(注文)ごとに原価を計算する方が都合が良いからです。

しかし一方で、規格化された標準的な製品を連続大量生産するメーカーではこのような計算方法は不向きです。

ボキタロー たしかに、大量の製品の原価を1つ1つ計算してたらすごくめんどくさいね。

はい。大量生産の場合、製品の原価はどれも同じなので1つ1つの製品の原価を個別に計算するよりも原価計算期間(1か月)に発生した製造原価の総額を集計し、それを生産量で割って完成品の単位原価(1個当たりの原価)を求めたほうが効率的です。

このような方法を総合原価計算と言います。

総合原価計算における製造原価の分類

総合原価計算では、製品原価を計算するにあたって製造原価を直接材料費加工費に分類します。

ボキタロー 直接材料費はこれまでに何度も出てきたから知ってるけど加工費って?

加工費とは製造原価のうち直接材料費以外のものをいいます。

総合原価計算における製造原価の分類

総合原価計算の基本問題(月初仕掛品がないケース)

例題

当工場では、A製品を生産しており、総合原価計算を採用している。次の資料より、以下の問いに答えなさい。

1.今月の生産データ

当月投入量:2,400個 (完成品:2,000個 月末仕掛品:400個)

(注)材料はすべて始点で投入している。また月末仕掛品の加工進捗度は80%である。

2.今月の製造原価データ

直接材料費 ¥960,000
加工費 ¥974,400
¥1,934,400

(問1)当月の完成品総合原価および月末仕掛品原価を求めなさい。

(問2)当月の完成品単位原価を求めなさい。


用語の説明

例題の設定を言葉で表すと「今月はA製品2,400個の製造に着手して、そのうち2,000個が完成し、400個が未完成である」という意味です。

ボキタロー 加工進捗度ってのは?

生産に着手した製品が当月中にすべて完成するとは限りません。通常の場合、一部の製品は加工の途中で月末を迎えることになります。

このような月末仕掛品があるケースでは、製造原価を完成品と月末仕掛品に按分する必要があるのですが、このとき重要となるのが加工進捗度(かこうしんちょくど)という考え方です。

加工進捗度とは作業の進み具合のことを意味し、完成品を100%としたときの仕掛品の仕上がり度のことをいいます。


直接材料費の計算

直接材料費の計算と加工進捗度の関係

直接材料費については資料にあるように、すべて工程の始点で投入されるので、直接材料費の計算においては加工進捗度を考慮する必要がないということになります。

ボキタロー どういうこと?

例えば、折り紙を折って折鶴を製造販売している会社があるとします。直接材料費は紙代のみ、加工費は鶴を折る人の賃金のみと考えてください。

材料となる折り紙は工程の始点で投入されるので、加工進捗度が10%の仕掛品でも100%の完成品でも紙代は1枚分です。つまり、直接材料費に関しては完成品も仕掛品も同じ割合で負担しなければならないということになるわけです。

例)1枚当たりの紙代を¥10とすると

加工進捗度 紙代 完成品に対する負担割合
100%(完成品) ¥10(1枚分)
40%(仕掛品) ¥10(1枚分) 100%(完成品1個分)
80%(仕掛品) ¥10(1枚分) 100%(完成品1個分)

このように(始点投入の場合)直接材料費については加工進捗度を考慮する必要がないので(100%を掛けても同じなので)、加工進捗度は無視してそのままの数量を使って、完成品と月末仕掛品への按分計算をしていけばいいだけなのです。

直接材料費計算のためのボックス図

完成品に含まれる直接材料費

直接材料費¥960,000÷当月投入量2,400個×完成品2,000個
= @¥400 × 2,000個
= ¥800,000

月末仕掛品に含まれる直接材料費

直接材料費¥960,000÷当月投入量2,400個×月末仕掛品400個
= @¥400 × 400個
= ¥160,000


加工費の計算

加工費の計算と加工進捗度の関係

先ほどの折鶴を製造販売している会社の例でいうと、鶴を折る人の賃金が加工費です。このような加工費は、加工が進むにつれて(加工進捗度が大きくなるにつれて)増えていくものなので、加工進捗度が40%のものと80%のものとでは負担割合が異なります。

例)賃率を¥1,000、完成までに1時間かかるとすると

加工進捗度 賃金 完成品に対する負担割合
100%(完成品) ¥1,000(1時間分)
40%(仕掛品) ¥400(0.4時間分) 40%(完成品0.4個分)
80%(仕掛品) ¥800(0.8時間分) 80%(完成品0.8個分)

そこで加工費の計算では、完成品換算量というものを使って按分計算をしていきます。

ボキタロー 完成品換算量ってなんですか?

完成品換算量とは、その仕掛品が完成品量でいうと何個分に相当するかということを意味し、仕掛品量に加工進捗度を掛けて計算したものをいいます。

完成品換算量 = 仕掛品量 × 加工進捗度

例題では月末仕掛品の加工進捗度は80%なので、400個に80%を掛けた320個が完成品換算量ということになります。

なお、完成品の加工進捗度は100%なので、完成品については換算量で計算する必要はありません(100%を掛けても同じなので)。

ボキタロー じゃあ、当月投入量はどうやって計算したらいいの?

はい。当月投入量は貸借の差額で計算します

加工費計算のためのボックス図

※( )内は完成品換算量を示す。

完成品に含まれる加工費

加工費¥974,400÷2,320個(完成品2,000個+月末仕掛品320個)×完成品2,000個
= @¥420 × 2,000個
= ¥840,000

月末仕掛品に含まれる加工費

加工費¥974,400÷2,320個(完成品2,000個+月末仕掛品320個)×月末仕掛品320個
= @¥420 × 320個
= ¥134,400


例題の答え

(問1)の答え

完成品総合原価とは完成品量全体の原価のことをいいます。

完成品総合原価 直接材料費¥800,000+加工費¥840,000
¥1,640,000
月末仕掛品原価 直接材料費¥160,000+加工費¥134,400
¥294,400

(問2)の答え

完成品単位原価は完成品1単位あたりの原価なので、(問1)で求めた完成品総合原価を完成品量で割って計算します。

完成品単位原価 完成品総合原価¥1,640,000÷完成品量2,000個
@¥820

勘定記入

なお、例題の結果を仕掛品勘定および製品勘定へ記入すると次のようになります。

総合原価計算における勘定記入



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INDEX

 第0章:工業簿記のアウトライン
 第1章:費目別計算
 第2章:個別原価計算①
 第3章:製造間接費の予定配賦
 第4章:個別原価計算②
 第5章:総合原価計算①
 第6章:総合原価計算②
 第7章:総合原価計算③
 第8章:総合原価計算④
 第9章:工業簿記の財務諸表
 第10章:標準原価計算
 第11章:CVP分析と直接原価計算
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