標準原価計算の記帳方法1~シングルプランによる仕訳と勘定記入~

標準原価計算の記帳方法1~シングルプランによる仕訳と勘定記入~

これまでは主に標準原価計算の計算方法についてみてきましたが、今回(及び次回)は標準原価計算の記帳方法(仕訳と勘定記入)について学習します。

標準原価計算の記帳方法

標準原価計算の記帳方法にはどの段階で標準原価を複式簿記の中に導入するかによって、日商簿記2級ではシングルプランパーシャルプランという2つの方法が出題されます。

一言で言うと、この2つの方法は当月製造原価を標準原価で記入するか、実際原価で記入するかの違いであると言えます。

シングルプラン(単記法)

シングルプランとは

仕掛品勘定のすべてを標準原価で記入する方法をシングルプランといいます。

SHIBUYA
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仕掛品勘定を標準原価のみで記入するので、シングル(単一の)プランというわけですね。

シングルプランでは仕掛品勘定の借方(各原価要素の貸方)を標準原価で記入するので、標準原価差異は各原価要素の勘定で個別に把握されることになります。

パーシャルプラン(分記法)

パーシャルプランとは

仕掛品勘定において、当月製造原価を実際原価で記入する方法をパーシャルプランといいます。

SHIBUYA
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仕掛品勘定の一部に実際原価が入ってくるので、パーシャル(一部の、部分的な)プランといいます。

パーシャルプランでは仕掛品勘定の借方(各原価要素の貸方)を実際原価で記入するので、標準原価差異は仕掛品勘定で一括して把握されることになります。

ここは注意

月初仕掛品は前月の月末仕掛品が繰り越されてきたものなので、どちらの方法であっても月初仕掛品は標準原価で記入されたものとなります

シングルプランによる一連の記帳方法

それではシングルプランによる仕訳と勘定記入を見ていきましょう。

SHIBUYA
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パーシャルプランについては次のページで説明します。

第10章-2の例題の計算結果を使って説明していきます。

標準原価計算の一連の手続~問題を解きながら理解しよう~ 標準原価計算の一連の手続~問題を解きながら理解しよう~

①完成品原価の振替え

まず、当月完成品原価を標準原価で製品勘定へ振り替えます。

※月初製品原価:原価標準@¥900×月初製品80個=¥72,000

なお、シングルプランでもパーシャルプランでも仕掛品勘定の貸方以降(製品勘定および売上原価勘定)は標準原価で記入します。

借方金額貸方金額
製品360,000仕掛品360,000

②当月製造原価の振替え

シングルプランでは当月製造原価を標準原価で仕掛品勘定へ振り替えます。また、月末仕掛品も同様に標準原価で記入します。

当月製造原価の振替え(勘定記入)

シングルプランでは仕掛品勘定の借方・貸方ともに標準原価で記入されるため、仕掛品勘定において差異は把握されません。

借方金額貸方金額
仕掛品414,000材料150,000
賃金176,000
製造間接費88,000

③標準原価差異の計上

各原価要素の勘定(材料勘定・賃金勘定など)の借方は実際原価で記入されるのに対して、貸方は標準原価で記入されています。この貸借の差額が標準原価差異を意味するので、差異は各原価要素の勘定で個別に把握されることとなります

標準原価差異の計上(勘定記入)

したがって、差異は各原価要素の勘定から標準原価差異勘定へ振り替えられることになります。

直接材料費差異と製造間接費差異は不利差異(借方差異)なので標準原価差異勘定の借方へ振り替え、直接労務費差異は有利差異(貸方差異)なので標準原価差異勘定の貸方へ振り替えます。

借方金額貸方金額
標準原価差異8,100材料8,100
賃金1,400標準原価差異1,400
標準原価差異2,000製造間接費2,000
MEMO

標準原価差異を直接材料費差異勘定・直接労務費差異勘定・製造間接費差異勘定に分けて記入する場合などもあります。試験では解答用紙の形式などに応じて柔軟に対応しましょう。

④売上原価の計上

当月の売上原価を標準原価で売上原価勘定へ振り替えます。また、月末製品原価も標準原価で記入します。

・売上原価:原価標準@¥900×販売品450個=¥405,000
・月末製品原価:原価標準@¥900×月末製品30個=¥27,000

借方金額貸方金額
売上原価405,000製品405,000